~コープスパーティーイマジナリーフレンドchapter0&1~


コープスパーティーの二次創作SSです…天神小シリーズ完結作のBDにて、仲良しのしほりゅんが…二度目の出演をされていたことから私も参加したくて仕方がなくなった…そんな思いだけで書き始めてしまったものですので、設定やらなにやら…突っ込みどころ満載です。
許せる方のみのご観覧?を宜しくお願いします。
キャラもほぼオリジナルです。
ちなみに、原作が原作なので…多少グロくなる…かも((((;゜Д゜)))


【登場人物】

☆芦奈 詩衣(あしなしい)☆
武森商業高校二年生 BDにおいて別館1F 東階段前で刺殺による出血死をされていた子…17歳、強気で可愛いもの好き。ウサギの髪飾りが可愛い。

★夏目麻凪(なつめまな)★絶叫に定評ありのアホの子。一人っ子…のくせに類い稀なブラコン…というか兄キャラ萌え。
詩衣が大好き。

☆一条和人(いちじょうかずと)☆
詩衣と同じクラス。強気な詩衣と言い争いになることも多々あったが、実は単にほっとけなくて構ってしまうというお子ちゃま。

★榊原智(さかきばらとも)★
和人の幼なじみ。少し前にこのクラスに転校してきた。年のわりに大人びている。昔から霊感のようなものがあり、幸せのサチコさんについてもなにか知っているような様子を見せる。



~chapter0~
-----------------------
【幸せのサチコさん】
ずっと仲良しでいたい友達と、ずっと仲良しでいられる…そんなどこかで聞いたようなちょっとしたお呪い。

単純な好奇心。
もうすぐはじまる夏休みを前に、みんなでお祝いをかねた軽い気持ちではじめたお呪い。

紙で作った依代をみんなで掴み、目をとじ人数分だけ心のなかで唱える。

*「サチコさんお願いします」*「サチコさんお願いします」*「サチコさんお願いします」詩衣「サチコさんお願いします」


梅雨はあけたというのに…その日も、雨が降っていた。漠然と何故か夏はいつくるのだろう…などと考えていた。
やけに暗く…静かな教室に依代を引き裂く音だけが響いた。
次の瞬間雷がおちたかのような光と衝撃に私たちは思わず悲鳴をあげながらしゃがみこんだ。

視線の端…私の鞄につけていた小さい頃からずっと一緒にいた可愛い可愛い小さな人形と目があった。
人形の丸々とした目のなかで自分の顔がぐにゃぐにゃと歪んでいく。

それが…私の覚えている…その日の全てだ。


~chapter1~
-----------------------私はバカだ。
昨日は詩衣と大切なお呪いをする予定だったのに…そんな日に限って、夏風邪をひいて学校を休むなんて…本当に夏風邪をひくのはなんとやらってやつだ。

「うー…詩衣、麻凪がいなくてもやっちゃったよね…ううん、大丈夫だもん!お呪いなんかしなくても詩衣と麻凪の友情は永遠だから!」

そう…私たちはずっと一緒。なのに、なんでだろう。心がぞわぞわするのは…。いやいや、気のせい、私は胸にわく不安をぬぐい去るように首をふると教室へと元気に突入した。

「詩衣~、おはよー、昨日はごめんね~!!」

窓際の後ろの席、詩衣の席へとむかって声を張り上げる。

「…詩衣…?」

そこに詩衣はいない。
辺りを見渡してみても、詩衣はいない。
それどころか、他のみんなも内緒話をしていて私になんか気がついていないみたいだった。

どうしたんだろう…もうすぐ先生が来る時間、詩衣が遅刻することなんてない。

*「え、じゃあまだ詩衣ちゃんたち…帰ってきてないの」

*「…らしいよ?なんか先生たちが焦って職員会議してるとかって…」

*「でも昨日だって普通にしてたよね?」

*「うん…それに夜遊びとかするキャラじゃないし…」

微かに聞こえてきた内容に私の心が凍っていく。
…詩衣が…帰ってきてない??

グラリッ…
目の前が揺れる。
見たことのない学校のような場所…詩衣が何かから逃げるように必死に走っている。息が苦しい。でも止まれない。
右手に紙の切れ端のようなものをしっかりと握りしめながら。
グルグル景色が変わる。
体のあちこちを…赤に染めながら。足がもつれる。
グシャッという気持ち悪い音とともに目の前には…目の前には…白い何が転がっている…それは…白く細い……


「あれ?麻凪じゃん、なに落っこってんの?」

「ぎゃーーーー!!」

立っていられず、膝をついてしまった私の肩をクラスメイトの一条がひょぃっと持ち上げた。

「落っこちてない!!うがー物あつかいすーるーなーっていつも言ってるでしょ!!」

「へいへい、指定席まで運んでやるよ。」

「だーかーらー、話を聞けー!!」

一条は、軽く無視しながら、首根っこを引っ張って詩衣の隣の席へと引きずっていく。

「あれ?おはよう、和人…それに麻凪ちゃん」

「…智君…おはようございますです!!」

一条…和人に引っ張られて乱れた制服を智君が優しく撫でてくれる。
智君…優しくて、気がきいて、大人で…まさにまさにまさに!!麻凪の理想のお兄ちゃん!!

「詩衣ちゃん、昨日家に帰らなかったの心配だね?なにもないといいんだけど…」

「ハッ、詩衣のことだから余計な正義感とかお節介やいてなんかしてるか…可愛いものでも見つけて夢中になってて、今頃焦ってんじゃね?」

「やめろよ、和人…麻凪ちゃん、大丈夫だよ。他の子達も一緒なんだからきっとすぐに帰ってくるよ。」

…私は、なにも言葉がでなかった。
ずっと一緒…離れるはずなんてなかったのに…詩衣がすごく遠く感じるから。

それに、さっきの気味の悪いイメージが頭から消えてくれない。

「ん?なんだこれ…紙人形の頭?気持ち悪ぃ」

和人が拾い上げたそれは、間違いなく詩衣がさっき握りしめながら走っていたものの一部だった。

「紙人形…まさか、ちょっと和人、それ見せてみろよ?」

智君がまじまじとその紙を見つめ、心なしか顔色が悪くなっていくように感じた。

「まさか…幸せの…サチコさん…」

そのフレーズには、聞き覚えがあった。
だってなぜなら、それは…昨日、私も詩衣たちと一緒にやるはずだった…ずっと仲良しでいられるお呪いの名前だったから。

「なんだよ、それ?」

「あ…あぁ…ネットでちょっと有名なお呪い…いや、都市伝説みたいなものだよ。」

「はぁ、高校生にもなってお呪い?くだらねー。」

違う!!
くだらなくなんかない。
一緒にいたいって気持ちを託して何が悪いの!!
願って何が悪いの!!

私が、怒鳴り始めるよりも早く智君が小さな声でなにかを呟いていた。

「もし…あの噂が本当だったとしたら、詩衣たちはもう…生きていないかもしれない。」

終わりのない始まりを告げるように、空に一筋の稲妻が走った。
…梅雨はあけたというのに…その日も、雨が降り続けていた。
まるで、誰かが助けを求め苦しみながら窓ガラスを叩くかのように…。



To Be Continued.