七夕は大抵晴れないし、長年願い続けても亀梨和也さんが記憶喪失で道にいてバッタリ運命的な出会いができる訳もない(それでも今年に限ってはKAT-TUNのコンサート初日が7月8日であるという奇跡はあった。残念ながら参戦は仙台までお預けなのだが…)
…そんな現実感とともにやってくるのが加算方式をやめることにした七海ちゃん式誕生日であったりする。
最近、全体的に大人になってきてしまった涼風であり昔みたいに平日に訳のわからないパーティーを開くことも難しくなってきてしまった。

「んでもって、ついには会いに来てくれない一般人になったのね、兄さん。」

こうなると大抵ごねられるのが咲也お兄さん。
梅雨よりもじとじとした雰囲気が受話器越しに伝わってくる。

「い、いや…予定調節してたんだけどさ…というかお前も学会だろうが…」

「ふっ…そんなものは脳内から消し去りまみた!失礼噛みまみま!」

「消し去るな!?というか噛みすぎだろ!!」

「いえいえ、ところで櫻木さん我らがふなっしー様はお誕生日フランスに行ってらっしゃったみたいですよ?」

「我らがふなっしー様はちゃんとお仕事なさってんだよ!!と言うか誰だよ、櫻木さんって…そろそろ怒られるから化物語テンションはやめなさい!!」

「やや、兄さんのツッコミもなかなかでしたよ?」

「…そりゃどーも。」

妹がボケ始めたら、切りがいいとこまで付き合ってくれる優しさはいつまでたっても変わらない。
…と言うかお互いにこれで噛み合うあたり思考レベルが大体シンクロしております。

「はぁ…会いに行けるアイドルが流行っているというのに、兄さんは会いに行けない一般人ですか。」

誕生日なのに鬱々とした魔のオーラが渦巻いている。しかし、この場合本当に会いに行けないのがどっちなのかは極めて謎なラインだったりする。

「往人は夜勤明けだから代表で行こうかと言ってた…」

「よりにもよって、最終兵器投入!?や、嬉しいですけど…」

「…夜な夜な白いスクール水着に名前つきゼッケン縫い付けてたから椅子に縛りつけといた。」

彼なりの心を込めた誕生日プレゼントであって、悪気はない…はずだ、多分、おそらく、きっと。
製作過程はあんまり見たくない…というか見てはいけない。

「危なく、兄さんに会えない寂しさからこの年にもなって白スクール水着で白衣の変態と無意味にひゃっはーなんて…またもや暗黒の歴史を増やしてしまうところでした。」

「うん。警察に捕まりかねないと思って止めておいて本当によかったと実感してるよ。」

「や、白スクール水着だから…白歴史?」

「安心しろ、どう考えても黒歴史だ。」

危なく一日目にして、黒歴史を更新してしまうところでした。

「とりあえず…学会の発表原稿お互いにできたら、黒崎に豪華なご飯でもご馳走してもらおうぜ。」

「…そういえばなのですが、先日くーちゃんに駅前でふなっしーのモノマネして~ってゴネテから、見かける度にふなっしーもビックリなスピードで消えていくのですが…」

「おまっ…黒崎にそれはハードルが高すぎる。暁羅あたりに頼みなさい。」

ある意味暁羅さんの奇行は涼風公式である。
いっそのこと涼風のゆるキャラとして作り上げたらいいのではないだろうかと目下噂されているとか、されていないとか…。
ここにきて、こたつむりん存在の危機である。
めんどくさがりの七海ちゃんの部屋のこたつ布団も取り払われたことですし。

「…咲也兄さんの誕生日には、みんなでまた騒げるといいな。」

「…俺のってのがひっかかるけど…騒げるだろ、そろそろみんな寂しさの限界だってさ。」

さりげなく、信也君の誕生日がスキップされた理由は誰も知らない。
でも、仲間を思う気持ちは変わっていなくていつだって本当はみんな会いたくて仕方がないのだ。

「じゃ、今から張り切って太陽兄さんと咲也兄さんの歯磨きプレイと千枚通し…準備しておかないとですね!」

「なぜ俺らが歯磨きプレイ!?と言うかここまできてまだ、物語シリーズネタは終わってなかったか…」

「伏線は回収しないとですからね!」

「ちょっと待て…いきなりのメタ発言はやめろ…絶対にやらないからな!ってか俺なにポジション?」

「ふふ…すでに藍音さんに相談済みです。喜んでセッティングすると今から張り切ってましたよ?」

「抜け目ねぇ!?…嫌だ…絶対に二ヶ月後にその姿を嬉々として藍音さんから写メられる姿が頭から払拭できねぇ!!」

「あと、しばらくの間渚お姉ちゃんから冷たい目で見られますね。」

一瞬のうちに様々なフラグがたっていくのだった。

「1話と言わず、私たちは1クールかけて、この様子を皆さんにお知らせしていきたいと思います!!」

「どこにその需要がある!?そして長ぇよ!」

「や、こう…正しい歯の磨き方講座?的なのもかねまして…」

「それならせめて、虫歯予防の日にやれ!」

こうして、なんというかネタばかりがつきることなく続いていき、結局のところお前ら、学会大丈夫なのかよ!?という不安を残したまま…珍しく平和な七海ちゃんの誕生日が過ぎていったのだった。
あまりに無駄な時間を過ごしてしまったがために…無理してでも会いに行けばよかったのではないかと咲也君がふかく、ふかく、反省したとかしなかったとか。