~犯人は誰だ!?容疑者③編~
さて、そろそろ朝日が昇り始めるような時間にまでなってきてしまっていた。咲也君はいまだに犯人を見つけることに対して情熱を抱き続けていた。
結論から言えば、他の人たちはすでにあきてきていたということは確かだった。三人目の容疑者はある意味では一番怪しかったはずなのにスルーされてきた「藍音」さんだった。
「はぅ?もー、2人ともそんなに怖い顔しないでほしいな。お姉さんは無実なんだよ、だよ。」
看護師の彼女は夜勤にも慣れているため、こんな時間になってもぽやぽやした笑顔を崩さないでいられるのは彼女の立派な「美徳」の一つなんですよね。
「藍音さん・・・俺もあなたを疑いたくはないんです。でも、藍音さん・・・あなたは知っているはずなんです・・・知ってちゃいけない、いや、知っているはずのないことを。」
空気に重みが増し、なにか生暖かいものを帯びてきました。
小さくバレないようにつばを飲む咲也君。
「えー・・・知らないよ。なんのことかな、かな?」
藍音さんの笑顔にはなんの変化も見られない。それはまるでそういう表情のマスクをかぶったかのように完璧なんです。
言い知れない、恐怖がそこには確かにあったのです。
「・・・白状してください。今日の太陽のはいていたパンツの柄を!」
「なんで俺なんすか!」
静寂に包まれていた部屋の中に咲也君の声が響きわたり、すっかり熟睡していた七海ちゃんもなにごとかと起きあがったのでした。ちなみにそれよりも次の太陽君の嘆きの声が大きかったとか、大きくなかったとか・・・。
「・・・犬の足跡プリントの黄色・・・」
「はい、では太陽正解を頼む!」
七海ちゃんの好奇心にあふれた瞳に見つめられながら太陽君はしぶしぶ口を開きました。
「・・・あたりっす・・・なんでばれてるんすか・・・」
顔を真っ赤に染めながらまいりましたって感じで太陽君は答えを言いました。
「すごーぃ!藍音さんなんでわかるの!」
すっかり意識が覚醒した七海ちゃんがパチパチと拍手をしながら、藍音さんに駆け寄りました。
藍音さんはまるでお母さんのような慈愛に満ちた表情を浮かべながら、七海ちゃんに教えてあげるのでした。
「なな・・・あのね、考えないの・・・考えるんじゃなくて感じてみて。地球に聞くんだよ、だよ。」
「・・・地球・・・?」
「そう、地球はなんでも知ってるんだよ。なながちゃんと話しかけたら・・・ちゃんと答えてくれる。」
・・・頭を抱えるお兄ちゃんたちの横でまさしく新たな宗教団体が生まれそうな瞬間でした。
しいて名前を付けるなら「藍音・自然教」って感じです。
「私、頑張ります!地球とお友だちになります!」
楽しそうに宣言する七海ちゃんをとめることができないことくらいは咲也君には分かり切っていました。深くため息をつきながら、小さく藍音さんに耳打ちをします。
「・・・犯人だから知ってるんですよね?」
「咲也君・・信じてほしいことがあるの。今回は私の犯行じゃない・・・なんなら私のパソコンの中のゲームをすべてかけてもいいわ。」
言い切った。
少しまじめそうな表情にはとても「嘘」をついているとは思えませんでした。そしてなにより彼女がゲームをかけるなんて、往人さんがゲームを捨てる次くらいに大きな事件です。
「・・・すいません・・・誤解だったみたいです。」
「えっ!?」
驚きから口をぱくぱくしている太陽君に咲也君は小さく首を振りました。
「あはは、誤解がとけてよかったんだよ、だよ!」
くるっと一回転をしながら部屋を出ていく藍音さんの後ろ姿をどこか悲しそうな表情で見送りながら咲也君は呟いたのでした。
「・・・藍音さんならもっとひどい事態になってた。」
「・・・同感っす。」
二人は太陽があがりはじめたのをカーテンの間から感じながら、まだとけないこの事件に思いを巡らせたのでした。
さて、そろそろ朝日が昇り始めるような時間にまでなってきてしまっていた。咲也君はいまだに犯人を見つけることに対して情熱を抱き続けていた。
結論から言えば、他の人たちはすでにあきてきていたということは確かだった。三人目の容疑者はある意味では一番怪しかったはずなのにスルーされてきた「藍音」さんだった。
「はぅ?もー、2人ともそんなに怖い顔しないでほしいな。お姉さんは無実なんだよ、だよ。」
看護師の彼女は夜勤にも慣れているため、こんな時間になってもぽやぽやした笑顔を崩さないでいられるのは彼女の立派な「美徳」の一つなんですよね。
「藍音さん・・・俺もあなたを疑いたくはないんです。でも、藍音さん・・・あなたは知っているはずなんです・・・知ってちゃいけない、いや、知っているはずのないことを。」
空気に重みが増し、なにか生暖かいものを帯びてきました。
小さくバレないようにつばを飲む咲也君。
「えー・・・知らないよ。なんのことかな、かな?」
藍音さんの笑顔にはなんの変化も見られない。それはまるでそういう表情のマスクをかぶったかのように完璧なんです。
言い知れない、恐怖がそこには確かにあったのです。
「・・・白状してください。今日の太陽のはいていたパンツの柄を!」
「なんで俺なんすか!」
静寂に包まれていた部屋の中に咲也君の声が響きわたり、すっかり熟睡していた七海ちゃんもなにごとかと起きあがったのでした。ちなみにそれよりも次の太陽君の嘆きの声が大きかったとか、大きくなかったとか・・・。
「・・・犬の足跡プリントの黄色・・・」
「はい、では太陽正解を頼む!」
七海ちゃんの好奇心にあふれた瞳に見つめられながら太陽君はしぶしぶ口を開きました。
「・・・あたりっす・・・なんでばれてるんすか・・・」
顔を真っ赤に染めながらまいりましたって感じで太陽君は答えを言いました。
「すごーぃ!藍音さんなんでわかるの!」
すっかり意識が覚醒した七海ちゃんがパチパチと拍手をしながら、藍音さんに駆け寄りました。
藍音さんはまるでお母さんのような慈愛に満ちた表情を浮かべながら、七海ちゃんに教えてあげるのでした。
「なな・・・あのね、考えないの・・・考えるんじゃなくて感じてみて。地球に聞くんだよ、だよ。」
「・・・地球・・・?」
「そう、地球はなんでも知ってるんだよ。なながちゃんと話しかけたら・・・ちゃんと答えてくれる。」
・・・頭を抱えるお兄ちゃんたちの横でまさしく新たな宗教団体が生まれそうな瞬間でした。
しいて名前を付けるなら「藍音・自然教」って感じです。
「私、頑張ります!地球とお友だちになります!」
楽しそうに宣言する七海ちゃんをとめることができないことくらいは咲也君には分かり切っていました。深くため息をつきながら、小さく藍音さんに耳打ちをします。
「・・・犯人だから知ってるんですよね?」
「咲也君・・信じてほしいことがあるの。今回は私の犯行じゃない・・・なんなら私のパソコンの中のゲームをすべてかけてもいいわ。」
言い切った。
少しまじめそうな表情にはとても「嘘」をついているとは思えませんでした。そしてなにより彼女がゲームをかけるなんて、往人さんがゲームを捨てる次くらいに大きな事件です。
「・・・すいません・・・誤解だったみたいです。」
「えっ!?」
驚きから口をぱくぱくしている太陽君に咲也君は小さく首を振りました。
「あはは、誤解がとけてよかったんだよ、だよ!」
くるっと一回転をしながら部屋を出ていく藍音さんの後ろ姿をどこか悲しそうな表情で見送りながら咲也君は呟いたのでした。
「・・・藍音さんならもっとひどい事態になってた。」
「・・・同感っす。」
二人は太陽があがりはじめたのをカーテンの間から感じながら、まだとけないこの事件に思いを巡らせたのでした。
