~犯人は誰だ!?盗まれたのは…編~
帰りのバスの中では終始咲也君と太陽君には、周りからたくさんの好奇心の視線が浴びせられていました。こうなると涼風は素晴らしい団結力を見せるためもはや・・・何を言っても無駄なので反論する気にすらなりません。
「太陽・・・泣くなよ。」
下を向いたままめそめそしている太陽君の姿に見かねて、咲也君がついつい七海ちゃんに行うように頭を撫でてしまいました。一応この二人は太陽君のほうが年上なはずなのに、まったくそうとは分からないのが売りです。
ぴろりーん!
携帯電話のカメラの特有の音に二人は体を震わせます。恐る恐る上を向くとまさに目がハートな藍音さんが「保存!保存!永久保存!」などと言いながら携帯電話をカチカチとしています。
なにをしているのかなんて聞かなくてもわかります。
「はぅ・・・ディスクトップにしよー。」
それだけはやめてくださいと咲也君は小さくつぶやきました。可哀相にいつもは誰にも負けたことのない彼にすら突っ込む力も残っていないようです。
「・・・いつまで、こうしていなきゃならないんすかね?」
太陽君が握りしめた拳にさらに力を加え血管が浮き出ていました。
彼らは互いにわずかに悲しみの色を帯びた視線をまじらわせました。
「・・・これも、お持ち帰りー!」
ぴろりーん!
鳴り響いた携帯電話ーっと七海ちゃんが前の方で歌っていました。
のどかな空気。
しかしそれは日常の中に巧妙に隠された・・・小さな不和が支配していました。
「どうして・・・誰がこんなことをしたんすかね・・・なにを好き好んで・・・」
「・・・あの場所に入れたのは関係者のみだ。」
ちなみにこの「関係者のみだ」の部分は今風にパクらせていただくなら確実に「赤字」表記になっています。
「!?・・・仲間を・・・疑うんすか?」
まるで、犬が飼い主にいたずらをして怒られたかのように瞳を見開らく。答えがその中にいることを信じたくなかった太陽君。
咲也君は苦しそうに顔をゆがめた後に窓にこぶしを打ちつけながら、言葉を絞り出した。
「俺だって・・・俺だって信じたい。疑うことなんてしたくない。だけど・・・だけど・・・こんなことをするのが他人だとも考えにくい。」
そうなのだ。どうしてもこんなことをするのは自分たちが家族として過ごしてきた「仲間たち」でしかないのだ。
「まだ・・・服が盗まれるのなら外部犯の可能性もある・・・だけど、わかるだろ?盗まれたのは服ではない。」
太陽君が泣きそうになりながら頷くのをみた後に咲也君は立ち上がり、前に座っていた団員たちに向かって声を張り上げたのです。
「俺は、必ず犯人を捜し出して・・・このふざけた事件に幕をおろしてやる!」
どこぞの名探偵のように言い切った咲也君に対してみんながくすくすと笑います。
「・・・っははははは。頑張れよ咲也。」
「あはははははは・・・兄さんカッコいい!」
「くすくすくすくす・・・これもほーぞんと。」
みんなの笑い声が不気味に響きわたる中、腰にタオルを巻いたままの自称名探偵による可憐な推理が展開されていくこととなったのです。
「とにかく・・・せめてズボンがほしいっす。」
横で小さくつぶやいた太陽君のまっとうな要求がかなうのはかわいそうなことにこれからまだまだ時間がかかるのでした。
帰りのバスの中では終始咲也君と太陽君には、周りからたくさんの好奇心の視線が浴びせられていました。こうなると涼風は素晴らしい団結力を見せるためもはや・・・何を言っても無駄なので反論する気にすらなりません。
「太陽・・・泣くなよ。」
下を向いたままめそめそしている太陽君の姿に見かねて、咲也君がついつい七海ちゃんに行うように頭を撫でてしまいました。一応この二人は太陽君のほうが年上なはずなのに、まったくそうとは分からないのが売りです。
ぴろりーん!
携帯電話のカメラの特有の音に二人は体を震わせます。恐る恐る上を向くとまさに目がハートな藍音さんが「保存!保存!永久保存!」などと言いながら携帯電話をカチカチとしています。
なにをしているのかなんて聞かなくてもわかります。
「はぅ・・・ディスクトップにしよー。」
それだけはやめてくださいと咲也君は小さくつぶやきました。可哀相にいつもは誰にも負けたことのない彼にすら突っ込む力も残っていないようです。
「・・・いつまで、こうしていなきゃならないんすかね?」
太陽君が握りしめた拳にさらに力を加え血管が浮き出ていました。
彼らは互いにわずかに悲しみの色を帯びた視線をまじらわせました。
「・・・これも、お持ち帰りー!」
ぴろりーん!
鳴り響いた携帯電話ーっと七海ちゃんが前の方で歌っていました。
のどかな空気。
しかしそれは日常の中に巧妙に隠された・・・小さな不和が支配していました。
「どうして・・・誰がこんなことをしたんすかね・・・なにを好き好んで・・・」
「・・・あの場所に入れたのは関係者のみだ。」
ちなみにこの「関係者のみだ」の部分は今風にパクらせていただくなら確実に「赤字」表記になっています。
「!?・・・仲間を・・・疑うんすか?」
まるで、犬が飼い主にいたずらをして怒られたかのように瞳を見開らく。答えがその中にいることを信じたくなかった太陽君。
咲也君は苦しそうに顔をゆがめた後に窓にこぶしを打ちつけながら、言葉を絞り出した。
「俺だって・・・俺だって信じたい。疑うことなんてしたくない。だけど・・・だけど・・・こんなことをするのが他人だとも考えにくい。」
そうなのだ。どうしてもこんなことをするのは自分たちが家族として過ごしてきた「仲間たち」でしかないのだ。
「まだ・・・服が盗まれるのなら外部犯の可能性もある・・・だけど、わかるだろ?盗まれたのは服ではない。」
太陽君が泣きそうになりながら頷くのをみた後に咲也君は立ち上がり、前に座っていた団員たちに向かって声を張り上げたのです。
「俺は、必ず犯人を捜し出して・・・このふざけた事件に幕をおろしてやる!」
どこぞの名探偵のように言い切った咲也君に対してみんながくすくすと笑います。
「・・・っははははは。頑張れよ咲也。」
「あはははははは・・・兄さんカッコいい!」
「くすくすくすくす・・・これもほーぞんと。」
みんなの笑い声が不気味に響きわたる中、腰にタオルを巻いたままの自称名探偵による可憐な推理が展開されていくこととなったのです。
「とにかく・・・せめてズボンがほしいっす。」
横で小さくつぶやいた太陽君のまっとうな要求がかなうのはかわいそうなことにこれからまだまだ時間がかかるのでした。
