久しぶりに、長らく出せなかった会報再開についての会議が行われることになった涼風で…今年も始まったばかりだと言うのに早速、恐怖のフラグがたってしまった人がでてしまいました。

きっかけは…特集記事のテーマを出しあった何気ない一言。

「うーーん、なんや一度見たような企画ばかりやなぁ~。」

机の上でペンをトントンと叩きながら、出てきたテーマに頭を悩ませる暁羅さん。

「なんだかんだで長年やってるしね~、ま、亜水弥さん的にはそろそろ明るく立ち上がろうぜ!!みたいなのがいいかな☆」

アイドルチックにポーズを決めながら、明るいトーンで話す亜水弥さんは最近、お仕事が順調みたいです。正反対なトーンでかっこつけたように影を作りながら話すのは相変わらずゴーイング・マイ・ウェイ!な往人さん。

「…魔法少女…いや!一緒に運命のかじ…」

なにかをいいかけた彼を遮りながら、サブカルチャー批評紙になりかけた会報を救ったのは、なぜか瞳の色が消え元気がないトラブルメーカー二人でした。

絶対に…なんかあった!!
地雷だけは踏めない!

と他の団員さんたちが気をはるなか無言で、ほぼ同じタイミングで地雷の二人の手があがったのでした。

「なんや?珍しいな。」

訝しげな視線を浴びながら、珍しくローテーションな二人が立ち上がりました。
「咲也と~」
「七海の~」

「「…最近、ショックだったこと」」

長年の絆により、良くも悪くもタイミングはバッチリです。ちなみに発音は「→」「→」「」と言った感じです。

そんなこんなでどこかのラジオみたいなイントロから唐突な話が始まったのでした。
ピラッと咲也君が取り出した一枚の写真…それを目にした瞬間に、みんなの顔が驚き、そして暗くなったのです。

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二人の兄妹記念日。

「は~…疲れた、ただいま!ってみんな寝てるよなぁ。」

ため息混じりに、学校からわざわざ県を越えた場所まで電車で帰ってきた咲也君。携帯で時間を確認して、気持ちトーンを落としてまだ慣れない新しい家へと入っていったのでした。

「あ…あの、おかえ…おかえりなさいませ!!」

ちびっこの七海ちゃんが、死んだように眠りこけている団員たちを飛び越えてピョコン!とジャンプをしながら噛み噛みで、若干メイド喫茶風味にお出迎えをしたのです。

「ただいま…って、もしかしてこんな時間まで待っててくれたのか?」

時計はてっぺんを越えています。小学生が起きているには遅い時間でした。

「あ…あの、なかなか…お話しできないので…迷惑ですよね。」

支離滅裂。
何て言いますか…なんとか可愛らしく訳すなら、
「あなたとお話ししたいから、頑張って一人で起きて待ってたんだよ。」
ってあたりです。
やや上目遣いに、不安そうな瞳でぎゅっと両手を握りしめている…そんな時代もあったのです。
わしゃわしゃと頭を撫でる手にビックリしてはねあがる七海ちゃんに咲也君がしゃがみながら嬉しそうに笑いかけます。

「すげぇ嬉しい…ありがとな、でも、ちゃんと寝る時は寝ないとダメだぞ?」

二歳差なら彼も絶賛成長期のはずだが…二人の成長はあんまりなかった。

「はぃ…でも…私…水無月さんと、お話ししたくて…」

「ダメだよ、七海ちゃん?」

人差し指を立てて七海ちゃんの口を指差すと咲也君は意地悪そうにまた笑うのです。

「水無月さんって誰かな?」

「あの…じゃ…その、さ、咲也さん?」

名前で呼ぶのにはやや抵抗があるのか…不安そうに頭が斜めになっていきます。気に入らないらしく、じーっとみつめています。

「さん?」

「うぅ…咲也…先輩?」

「んーー…俺さ、先輩ってガラじゃないしさ、呼び捨てで良いから」

家族に先輩はおかしいだろ?早くこの特殊な環境になれてほしい…そんな気持ちから、フランクに接すれば、接するほどに七海ちゃんの混乱が増していくので慌てて言い換えたのです。

「じゃあ、お兄ちゃんはどうかな?俺さ、君くらいの妹がいたし…兄さんでもお兄ちゃんでも好きなようにでいいからさ」

これが、始まり。
暗いおうちで待っている意味ができた。
おかえりと言って、ただいまが帰ってくる…お互いが求めていた

『絆』

小さく口の中で呼んでみて、これがピッタリだった。

「さ…咲也…兄さん?」

「どうした?七海?」

呼び掛けに答え、また頭を撫でる姿。
この日から、二人の絆が紡がれていくことになった…そんな大切な出来事。

…二人だけの夜中の誓い。
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なんて回想があって、みんなが口々に
「なんかロマンだね~」
などと言いながらも…どこか笑顔がひきつっている。
そこで咲也君が、核心に触れる問いかけをする。

「これは、俺と七海の二人の大切な出来事だったわけだ…しかしな、なぜか写真があった。」

そうなのです。
『団員たちはみんな寝ていたはず』でした。

「…しかも、素敵なコメントまでついていました…」

七海ちゃんもなにやらアルバムをとりだします。
恐らく、その写真があったであろう空白の下には
・咲也もしっかりシスコンだった
・往人さんの影響?
・俺も兄さんになる!
・…迂闊にも…萌えた
・やばぃ涙が…
・かわぃぃぃ!!
・…歴史になりますね
・驚きの白さ
以下略。

「はじめは…私が書いたものを読んだのかと思ってました…でも」
「なんで、連写されてるんだよ…」

そうなのです。
最初から、最後まで…
『すべてが写真におさめられていた』
のです。
繰り返しますが、団員たちはみんな寝てる中、健気に待っていたのです←ここ重要

「き…記念だね~」
「…昔は…可愛かった」
「くっく、今になるとかなりクサイ展開だったな」
「仲良きことは、やで?」
「さて、今日はもう遅いし、続きはまた今度に…」

そそくさと帰ろうとする団員たち…しかし、部屋の鍵はすでに閉められていてあかないのです。
せまりくる二人。

「正直に答えろ…」
「答えてくださいです…」
…ごくりっ。

「「あの時…起きていた人…」」

静まり返った部屋。
そして…おずおずとほぼ全員の手があがったわけです。
そのあと、咲也君と七海ちゃんがあまりの恥ずかしさと約10年もかかって明かされた事態に騒ぎ出したのは言うまでもないのでした。

ちなみに…もっと切ない人も…

「…俺、完璧に寝てたな」
いつでもどこでもすんなり寝れる!!黒崎さんは、時おり『世紀の瞬間』にも立ち会えなかったりするのでした。

みんなが、騒いでいるなかで一人また会報作りを続けている彼もまた、こっそりとショックを受けていたのもまた言うまでもないのでした。