・・・これ、データ残ってました(爆)わー、続くのかな、かな??とりあえず、続きをアップしてみます。需要なかったらすいませんです(-_-;)
と言うか、このあたりに書いたシナリオにはすべて『皆既月蝕』がかかれてました
自分のなかでブームでした(笑)
今回は、終盤でやや病んでますから読む際にはご注意ください。苦手な方は、あまり気分のよいものではないので、避けてくださることをおすすめいたします。
「見習いサンタ募集中⑧」↓
その日・・・
確かに月が血を流したのです。
赤に染まった月が・・・
照らし出した風景は、まるで絵の具を張り付けたような・・・
とても幼稚で、
デタラメで、
・・・繊細な世界でした。
カレンダーの暦がいよいよクリスマスを示すまで、あと少しとなった。
そうすると夏の間・・・眠っていたサンタクロースたちが目を覚ましだす。
動物たちが冬眠をするのと同じ原理だ。皮肉なことに・・・私たちだけが逆なだけ。
例外は、私のようなスカウトをするサンタとおじいさまに見習いのみだ。
目を覚ました仲間たちが、ハシャイで笑い声をあげて再会を喜んでいる。
ざっと数えて30って所だろうか。・・・また何人か、起きることができなかったようだ。
そんなイレギュラーが年々、増えている。内心では・・・みなそれを恐れている。覚めない眠りには、死に等しい価値がある。
今日は、集会の日だ。
おじいさまも珍しく、広場にやってきている。
「・・・なにしてんの?」
「わわ!せ、聖羅さん・・・あんなにたくさん!」
私は、見習いの姿を見て頭を抱えたくなった。どこの世界に袋の中に隠れるサンタがいるのよ。
「・・・挨拶、考えてきた?」
見習いはここで、はじめてみんなに紹介をされて晴れて仕事に就くことができるようになるのだ。しかし、今回は急な採用だったために・・・残念ながら彼にはまだまだ能力もこの世界の知識もないのだ。
「は、はい!一応・・・あの・・・」
「いいわよ。やって見せて。」
優星のためらいがちの視線は、私に添削してもらいたいと言う気持ちの現れなのだろう。うなずいて見せると、嬉しそうに目を輝かせた。
・・・純粋な子。
純粋すぎるから、もろい。できれば、こんな世界に・・・つれてきたくなかった。
原稿を手に彼は語りだした。
「はじめなして、僕は・・・」
「聖羅さん!」
優星の声を遮るように、一人のサンタクロースが転がり込んできた。
「おはよう。朱里、どうしたの?」
おおよそ一年ぶりの再会だったのにも関わらず、彼女は挨拶をすることもなく私の手を引っ張り出した。
「月が・・・」
「つき・・・月が!」
彼女の意味することは、すぐにわかった。私は、机にぶつかりながらも窓へと向かった。・・・少し躊躇したが、騒ぎ声が耳に入り、息を飲んでカーテンを開いた。
「・・・血が・・・月が血を流してる。」
なんてことだ。
月が赤く染まっていた。
それにより、しんしんと深くふる雪まで赤く染まっていた。
・・・世界が、赤に染まっている。
「皆既・・・月蝕ですか?」
気がついた時には、優星が私の横で空を見上げていた。・・・彼には、この不吉な光景の意味を教えていなかった。
皆既月蝕。
文字のままである。
月が食われてしまっている・・・なんてことだ。
確かに原理は地球上でおこる『月蝕』となにもかわりがない。しかし、この世界で月を食べるのは・・・太陽ではない。
まさか・・・こんなクリスマス間際に起こるなんて。
「朱里、何人が見たの?」
「おそらく・・・直接目にしたのは、12人ほどです。」
「すぐに、捕獲して・・・私の部屋に連れてきて。」
「分かりました!」
赤い月は、サンタクロースを魅了し、惑わせる。
直接見てしまったのならなおさらだ。
12人なら・・・なんとかなる。まだ私の部屋には、アンプルが残っている。
部屋を出ようとする朱里に追加で指示をする。
「他のサンタたちも、地下へ誘導して・・・朱里、あなたもそれをはずして見てはいけないわよ。」
おそらく、朱里も赤い月を見ていたのだろう。しかし、眼鏡というフィルターがあったからこそ・・・魅了されずにすんだんだ。
「はい!聖羅さんも気を付けてください!」
足音が遠ざかっていく。
私は、ため息をついた。
・・・ついていないとしか言えない。まさかこの時期に「皆既」だったなんて。
「聖羅さん、あの人・・・。」
優星が震える指先を、月へと向けていた。
瞬間、私は窓を開けて飛び降りた。サンタには人間よりも体力があるためこの高さなら余裕だ。
「・・・沙羅・・・」
赤い月をバックに空に立っていたのは、沙羅だった。ひどく、疲れたような表情をしていた。
直感的にわかった。沙羅が・・・月を食べている。
この世界で月を食べるのは、死神だ。
「あははははははは!こんばんは・・・だいすきな、だいすきな、せーら。ごきげんはいかがかしら?せーらがわるいんだから。わたしだってもうすぐおわりだったのにね、せーら、がわがまましたから、おわらなくなったのよ。だから、わたしはせーらをゆるさない。許さない。・・・あははははははは!」
どこか違う世界で、彼女は生きていた。悲しいことだけど沙羅は・・・もうここにはいないことがわかった。
赤い涙を流しながら、静かに私の友人は、壊れてしまっていた。
月を食べれば・・・心は、正気を保てなくなる。
「だから、せーらもこわれちゃえ・・・」
私は、自分の犯したの罪の重さを見つめなくてはならないことを知った。
と言うか、このあたりに書いたシナリオにはすべて『皆既月蝕』がかかれてました
自分のなかでブームでした(笑)今回は、終盤でやや病んでますから読む際にはご注意ください。苦手な方は、あまり気分のよいものではないので、避けてくださることをおすすめいたします。
「見習いサンタ募集中⑧」↓
その日・・・
確かに月が血を流したのです。
赤に染まった月が・・・
照らし出した風景は、まるで絵の具を張り付けたような・・・
とても幼稚で、
デタラメで、
・・・繊細な世界でした。
カレンダーの暦がいよいよクリスマスを示すまで、あと少しとなった。
そうすると夏の間・・・眠っていたサンタクロースたちが目を覚ましだす。
動物たちが冬眠をするのと同じ原理だ。皮肉なことに・・・私たちだけが逆なだけ。
例外は、私のようなスカウトをするサンタとおじいさまに見習いのみだ。
目を覚ました仲間たちが、ハシャイで笑い声をあげて再会を喜んでいる。
ざっと数えて30って所だろうか。・・・また何人か、起きることができなかったようだ。
そんなイレギュラーが年々、増えている。内心では・・・みなそれを恐れている。覚めない眠りには、死に等しい価値がある。
今日は、集会の日だ。
おじいさまも珍しく、広場にやってきている。
「・・・なにしてんの?」
「わわ!せ、聖羅さん・・・あんなにたくさん!」
私は、見習いの姿を見て頭を抱えたくなった。どこの世界に袋の中に隠れるサンタがいるのよ。
「・・・挨拶、考えてきた?」
見習いはここで、はじめてみんなに紹介をされて晴れて仕事に就くことができるようになるのだ。しかし、今回は急な採用だったために・・・残念ながら彼にはまだまだ能力もこの世界の知識もないのだ。
「は、はい!一応・・・あの・・・」
「いいわよ。やって見せて。」
優星のためらいがちの視線は、私に添削してもらいたいと言う気持ちの現れなのだろう。うなずいて見せると、嬉しそうに目を輝かせた。
・・・純粋な子。
純粋すぎるから、もろい。できれば、こんな世界に・・・つれてきたくなかった。
原稿を手に彼は語りだした。
「はじめなして、僕は・・・」
「聖羅さん!」
優星の声を遮るように、一人のサンタクロースが転がり込んできた。
「おはよう。朱里、どうしたの?」
おおよそ一年ぶりの再会だったのにも関わらず、彼女は挨拶をすることもなく私の手を引っ張り出した。
「月が・・・」
「つき・・・月が!」
彼女の意味することは、すぐにわかった。私は、机にぶつかりながらも窓へと向かった。・・・少し躊躇したが、騒ぎ声が耳に入り、息を飲んでカーテンを開いた。
「・・・血が・・・月が血を流してる。」
なんてことだ。
月が赤く染まっていた。
それにより、しんしんと深くふる雪まで赤く染まっていた。
・・・世界が、赤に染まっている。
「皆既・・・月蝕ですか?」
気がついた時には、優星が私の横で空を見上げていた。・・・彼には、この不吉な光景の意味を教えていなかった。
皆既月蝕。
文字のままである。
月が食われてしまっている・・・なんてことだ。
確かに原理は地球上でおこる『月蝕』となにもかわりがない。しかし、この世界で月を食べるのは・・・太陽ではない。
まさか・・・こんなクリスマス間際に起こるなんて。
「朱里、何人が見たの?」
「おそらく・・・直接目にしたのは、12人ほどです。」
「すぐに、捕獲して・・・私の部屋に連れてきて。」
「分かりました!」
赤い月は、サンタクロースを魅了し、惑わせる。
直接見てしまったのならなおさらだ。
12人なら・・・なんとかなる。まだ私の部屋には、アンプルが残っている。
部屋を出ようとする朱里に追加で指示をする。
「他のサンタたちも、地下へ誘導して・・・朱里、あなたもそれをはずして見てはいけないわよ。」
おそらく、朱里も赤い月を見ていたのだろう。しかし、眼鏡というフィルターがあったからこそ・・・魅了されずにすんだんだ。
「はい!聖羅さんも気を付けてください!」
足音が遠ざかっていく。
私は、ため息をついた。
・・・ついていないとしか言えない。まさかこの時期に「皆既」だったなんて。
「聖羅さん、あの人・・・。」
優星が震える指先を、月へと向けていた。
瞬間、私は窓を開けて飛び降りた。サンタには人間よりも体力があるためこの高さなら余裕だ。
「・・・沙羅・・・」
赤い月をバックに空に立っていたのは、沙羅だった。ひどく、疲れたような表情をしていた。
直感的にわかった。沙羅が・・・月を食べている。
この世界で月を食べるのは、死神だ。
「あははははははは!こんばんは・・・だいすきな、だいすきな、せーら。ごきげんはいかがかしら?せーらがわるいんだから。わたしだってもうすぐおわりだったのにね、せーら、がわがまましたから、おわらなくなったのよ。だから、わたしはせーらをゆるさない。許さない。・・・あははははははは!」
どこか違う世界で、彼女は生きていた。悲しいことだけど沙羅は・・・もうここにはいないことがわかった。
赤い涙を流しながら、静かに私の友人は、壊れてしまっていた。
月を食べれば・・・心は、正気を保てなくなる。
「だから、せーらもこわれちゃえ・・・」
私は、自分の犯したの罪の重さを見つめなくてはならないことを知った。
