年を越したにも関わらず、見習いサンタさんの残りがあります(-_-;)
季節を無視して、続きを書きますφ(..)
「見習いサンタ募集中⑦」↓いつから、人は夢を語らなくなるのだろう。
いつから人は、少しのことで満たされなくなるのだろう。
いつから人は、幸せを願ったのだろう。
いつから・・・私はここにいるんだろう?
「ただいま帰りました。」
私は扉を開けて、中にいる初老の男性に声をかけた。彼はゆっくりと振り替えると、頷いた。しかしそれと同時に、視線は私を通り越してさらに後ろへと向かっていた。
驚いていた。
・・・私を除いた二人が。二人が固まったままでいるのを横目に見ながら、私は机の中から契約書を探す作業へとうつした。
当たり前だが、重要なものであるために厳重に保管されていたのですぐに契約書は見つかった。
「これに、名前書いて。」
私はいまだに、止まっているサンタクロース見習いになるはずの男に契約書を差し出した。・・・しかし、いつまでたっても返事がない。
「・・・ちょっと、なにしてるの?」
「・・・だぁ!」
まるで夢にうなされるように呟いた声は、聞き取れなかった。
しかし、彼の顔には先ほどまでの怯えきった色は消え、年相応の無邪気な笑顔が溢れていた。先ほどから、感じていたことだが、センスがある。
どうやら順応性がかなり高いみたいだ。
「サンタクロースだぁ!すげぇ!本物だ!本物だ!」
彼は駆け出した。
椅子に座ったおじいさまの膝にすがりつくように飛び付いた男は、まるで絵本の一ページを見ているような気分だった。
おじいさまがそっと、まるでガラスを触るかのように・・・優しく、彼の前髪をあげながら微笑んでいた。
「ほぅ・・・なんて素直な子なんじゃ。」
「スカウトしてまいりました。彼はサンタクロースに・・・なりたいそうです。」
私がそうつけ加えると、彼は焦って立ち上がって頭を下げていた。我にかえったと言うべきなのだろうか。礼儀正しくしなくてはと反射的に思ったのだろう。
・・・本当に素直すぎるくらいに素直な子だ。
「はい!サンタクロースになりたいんです!」
その姿は、まるで進学や就職のための面接に答えているみたいだった。
ふと、可能性の一つが頭の隅をかすめた・・・もしかしたら、この子は受験生だったのかもしれない。
「そうか、そうか・・・君はきっと素敵なサンタクロースになれるよ。」
「本当ですか!!」
「あぁ・・・本当じゃよ。聖羅がつれてきたなら、尚更のことじゃ。・・・おっと?」
私は咄嗟に意思を汲み取ったのに、言葉にならなかった。わからなかったのだ。彼の名前が・・・。
・・・そうだ、まだ聞いていなかったのだ。
順番がおかしくなってしまった。
「改めて、自己紹介するわね。私は聖羅。サンタクロースの業務の他にもスカウトを主に行っているわ。そして、そこにいるのは私たちの『おじいさま』この世界のルールそのものよ。」
私から名乗る。それが礼儀だと言うことを・・・私はどこかで覚えていた。
おじいさまも微笑みながら、私たちを見つめている。
「俺は、田中優介です。」
お辞儀の角度も、完璧だった。・・・やはり、彼・・・いや優介君は絶対に受験生だと私は確信した。
私の手元に視線が移ってきた。
「・・・それ?」
「・・・契約書よ。」
私が説明をしようとする前に、優介はすでにそこに名前を書き込んでいた。
呆気にとられている私を見ながら彼は頭を下げる。
「宜しくお願いします。」
「・・・あなた・・・」
「優介です。」
契約の意味を知らない彼に、私は忠告をしようとしたが・・・それはおじいさまの微笑みで打ち消されてしまった。
ルールが認めたのなら・・・それは『絶対』になる。
「名前をあげよう。優介・・・そうだな。・・・ゆうせいにしよう。優しい星だ。・・・優星。」
「あ・・・ありがとうございます!!」
優しい星。
その名前は・・・できることならつけてほしくなかった。私の懐かしい人と同じ名前だった。
「宜しくお願いします!」
期待に満ちた瞳は・・・やはり、私の心の中にずっと消えることなく残っている・・・誰かに似ていた。
季節を無視して、続きを書きますφ(..)
「見習いサンタ募集中⑦」↓いつから、人は夢を語らなくなるのだろう。
いつから人は、少しのことで満たされなくなるのだろう。
いつから人は、幸せを願ったのだろう。
いつから・・・私はここにいるんだろう?
「ただいま帰りました。」
私は扉を開けて、中にいる初老の男性に声をかけた。彼はゆっくりと振り替えると、頷いた。しかしそれと同時に、視線は私を通り越してさらに後ろへと向かっていた。
驚いていた。
・・・私を除いた二人が。二人が固まったままでいるのを横目に見ながら、私は机の中から契約書を探す作業へとうつした。
当たり前だが、重要なものであるために厳重に保管されていたのですぐに契約書は見つかった。
「これに、名前書いて。」
私はいまだに、止まっているサンタクロース見習いになるはずの男に契約書を差し出した。・・・しかし、いつまでたっても返事がない。
「・・・ちょっと、なにしてるの?」
「・・・だぁ!」
まるで夢にうなされるように呟いた声は、聞き取れなかった。
しかし、彼の顔には先ほどまでの怯えきった色は消え、年相応の無邪気な笑顔が溢れていた。先ほどから、感じていたことだが、センスがある。
どうやら順応性がかなり高いみたいだ。
「サンタクロースだぁ!すげぇ!本物だ!本物だ!」
彼は駆け出した。
椅子に座ったおじいさまの膝にすがりつくように飛び付いた男は、まるで絵本の一ページを見ているような気分だった。
おじいさまがそっと、まるでガラスを触るかのように・・・優しく、彼の前髪をあげながら微笑んでいた。
「ほぅ・・・なんて素直な子なんじゃ。」
「スカウトしてまいりました。彼はサンタクロースに・・・なりたいそうです。」
私がそうつけ加えると、彼は焦って立ち上がって頭を下げていた。我にかえったと言うべきなのだろうか。礼儀正しくしなくてはと反射的に思ったのだろう。
・・・本当に素直すぎるくらいに素直な子だ。
「はい!サンタクロースになりたいんです!」
その姿は、まるで進学や就職のための面接に答えているみたいだった。
ふと、可能性の一つが頭の隅をかすめた・・・もしかしたら、この子は受験生だったのかもしれない。
「そうか、そうか・・・君はきっと素敵なサンタクロースになれるよ。」
「本当ですか!!」
「あぁ・・・本当じゃよ。聖羅がつれてきたなら、尚更のことじゃ。・・・おっと?」
私は咄嗟に意思を汲み取ったのに、言葉にならなかった。わからなかったのだ。彼の名前が・・・。
・・・そうだ、まだ聞いていなかったのだ。
順番がおかしくなってしまった。
「改めて、自己紹介するわね。私は聖羅。サンタクロースの業務の他にもスカウトを主に行っているわ。そして、そこにいるのは私たちの『おじいさま』この世界のルールそのものよ。」
私から名乗る。それが礼儀だと言うことを・・・私はどこかで覚えていた。
おじいさまも微笑みながら、私たちを見つめている。
「俺は、田中優介です。」
お辞儀の角度も、完璧だった。・・・やはり、彼・・・いや優介君は絶対に受験生だと私は確信した。
私の手元に視線が移ってきた。
「・・・それ?」
「・・・契約書よ。」
私が説明をしようとする前に、優介はすでにそこに名前を書き込んでいた。
呆気にとられている私を見ながら彼は頭を下げる。
「宜しくお願いします。」
「・・・あなた・・・」
「優介です。」
契約の意味を知らない彼に、私は忠告をしようとしたが・・・それはおじいさまの微笑みで打ち消されてしまった。
ルールが認めたのなら・・・それは『絶対』になる。
「名前をあげよう。優介・・・そうだな。・・・ゆうせいにしよう。優しい星だ。・・・優星。」
「あ・・・ありがとうございます!!」
優しい星。
その名前は・・・できることならつけてほしくなかった。私の懐かしい人と同じ名前だった。
「宜しくお願いします!」
期待に満ちた瞳は・・・やはり、私の心の中にずっと消えることなく残っている・・・誰かに似ていた。
