「見習いサンタ募集中⑤」↓さぁ、これで・・・体をお隠しなさい。しっかりと隠れないのなら、あなたはミツカッテシマイマスヨ?ほらほら、聞こえてきませんか?
あらあら、まだ聞こえないのですか?
さぁさぁ、もう聞こえているのでしょう?
後ろの正面・・・ダーレ?
やっと、見つけた。
彼の真摯な願いが近くにあれば、私の力は増幅する。ひさしぶりに感じた・・・力が満ちる。
それは満腹ににていた。
暖かさに・・・すべてが満たされる。
真摯な願いがなくては、私たちは存在すら許されず・・・生きていけないから。・・・去年は手を離してしまったけど二度と離したりなんかしない。
「あの・・・どこに行くんですか?」
震えているのか、声にいかにも元気がない。
そうね・・・無理もないか・・・彼は、おそらくあの「赤い世界」を見てしまったんだろうから。
私だって、始めてみたときにはしばらく吐き気が止まらなかった。
カツン・・・カツン・・・なんにもない階段には、私たち二人の足音が響く。
「・・・実習施設よ。」
「実習・・・施設?」
不思議そうな声だった。
そうね。
あなたのことを回想するとしたなら・・・サンタクロースの実習をこんな廃墟で行うなんておかしい!やはりお前なんか、頭がおかしい!とでも言いたいのだろうけど・・・私は、あえて言葉を返さなかった。
今は、それどころじゃないから。
「・・・悪いけど、無駄口をはたいている時間はないの。来たくないなら来ないでいいわ。」
私は振り返ったりしなかった。・・・彼が帰る道を選ぶ可能性はほぼ0%と言うことはできるから。
予想通り・・・彼は、手を固く握りしめながら私の後をついてくる。
まるで小鳥のようだった。
ー心が、満たされるー
「・・・かわい・・・」
「え?」
「なんでもないわ。」
内心では、楽しくてしかたがなかった。
あふれでてしまった気持ちで私は笑ってしまっていた。人間は、未知の世界を見たがるくせに・・・ひどく『異質』なものを嫌う傾向がある。
それからしたら、ここは確実に『異質』としか言えないだろう。
不安でたくさんの彼は、私に頼るしかない。
そうなんだ・・・今、彼が頼れるのは私だけしかいない。
コツン・・・なにか、違った音が混じった。私は一気に気持ちをしっかりと持たなくてはならないことを悟り、まだ遠い世界を見つめた。
なんとしても・・・たどり着かなくてはならない。
ここでゲームオーバー・・・それだけは避けなくてはならない。
「後ろ・・・振り返らないでね。」
どうやら、まだ人間のままの彼も気がついたらしい。センスはあるわ。
・・・なかなかいい耳をしているのね。なんて・・・今は、誉めるような場合ではない。迂闊に距離を詰められれば、それだけ危険が増すだけだ。
「・・・はい。」
「大丈夫。・・・しっかりついてきて。」
素直で助かった。
・・・ないとは思うけど、こんなところでパニックを起こされたら、私だって回避できなくなる。
少し、足を早くした。
・・・しかし、思ったように距離が離れてくれない。これでは、追い込まれてしまう。
「・・・着てなさい。」
私は、サンタクロースの証である赤い上着を彼に差し出した。・・・幸い、大きめのものだったからなんとか、彼を隠せるだろう。
あっけにとられたように彼は、私を見つめていた。
上着がないと・・・やはり少し寒いかもしれない。
この白いブラウスはそろそろ買い替えが必要かもしれない。
・・・お気に入りだったのに、残念だわ。
「これは・・・?」
「隠れてなさい。私が話を終えるまで。」
猶予はない。
確実に、沙羅は私を見つけるに決まっている。そして、私が沙羅に謝っても足りないくらいのことを・・・してしまったことも理解している。
一際、足音が大きくなってきた。
彼は言われるがままに、上着の中になんとか体を押し込んでいた。
「・・・聖羅!」
やっぱり来たんだね。
泣きそうな顔をしながら、沙羅は私を見ていた。
・・・泣きそうな顔をしながら、沙羅は私だけを見ていた。
「沙羅・・・」
「わかるでしょ?お願い・・・やめて・・・」
「・・・できない」
「できなくないよ!やめて!でないと・・・でないと!」
主語を失った会話は「彼」にはどんな風に聞こえていたのだろう?
でも、確かに言えることがある。
「沙羅は・・・優しいね。」
振り返っちゃダメだよ。
それは、私であって私じゃないから。
怯えてはいけない。
信じたものだけを・・・見ていればいい。
天使は悪魔にもなり、
悪魔は天使にもなりえる。
あなたの目には、私はどううつるのかしら?
ーさあ、答えて後ろの正面・・・ダーレ?ー
あらあら、まだ聞こえないのですか?
さぁさぁ、もう聞こえているのでしょう?
後ろの正面・・・ダーレ?
やっと、見つけた。
彼の真摯な願いが近くにあれば、私の力は増幅する。ひさしぶりに感じた・・・力が満ちる。
それは満腹ににていた。
暖かさに・・・すべてが満たされる。
真摯な願いがなくては、私たちは存在すら許されず・・・生きていけないから。・・・去年は手を離してしまったけど二度と離したりなんかしない。
「あの・・・どこに行くんですか?」
震えているのか、声にいかにも元気がない。
そうね・・・無理もないか・・・彼は、おそらくあの「赤い世界」を見てしまったんだろうから。
私だって、始めてみたときにはしばらく吐き気が止まらなかった。
カツン・・・カツン・・・なんにもない階段には、私たち二人の足音が響く。
「・・・実習施設よ。」
「実習・・・施設?」
不思議そうな声だった。
そうね。
あなたのことを回想するとしたなら・・・サンタクロースの実習をこんな廃墟で行うなんておかしい!やはりお前なんか、頭がおかしい!とでも言いたいのだろうけど・・・私は、あえて言葉を返さなかった。
今は、それどころじゃないから。
「・・・悪いけど、無駄口をはたいている時間はないの。来たくないなら来ないでいいわ。」
私は振り返ったりしなかった。・・・彼が帰る道を選ぶ可能性はほぼ0%と言うことはできるから。
予想通り・・・彼は、手を固く握りしめながら私の後をついてくる。
まるで小鳥のようだった。
ー心が、満たされるー
「・・・かわい・・・」
「え?」
「なんでもないわ。」
内心では、楽しくてしかたがなかった。
あふれでてしまった気持ちで私は笑ってしまっていた。人間は、未知の世界を見たがるくせに・・・ひどく『異質』なものを嫌う傾向がある。
それからしたら、ここは確実に『異質』としか言えないだろう。
不安でたくさんの彼は、私に頼るしかない。
そうなんだ・・・今、彼が頼れるのは私だけしかいない。
コツン・・・なにか、違った音が混じった。私は一気に気持ちをしっかりと持たなくてはならないことを悟り、まだ遠い世界を見つめた。
なんとしても・・・たどり着かなくてはならない。
ここでゲームオーバー・・・それだけは避けなくてはならない。
「後ろ・・・振り返らないでね。」
どうやら、まだ人間のままの彼も気がついたらしい。センスはあるわ。
・・・なかなかいい耳をしているのね。なんて・・・今は、誉めるような場合ではない。迂闊に距離を詰められれば、それだけ危険が増すだけだ。
「・・・はい。」
「大丈夫。・・・しっかりついてきて。」
素直で助かった。
・・・ないとは思うけど、こんなところでパニックを起こされたら、私だって回避できなくなる。
少し、足を早くした。
・・・しかし、思ったように距離が離れてくれない。これでは、追い込まれてしまう。
「・・・着てなさい。」
私は、サンタクロースの証である赤い上着を彼に差し出した。・・・幸い、大きめのものだったからなんとか、彼を隠せるだろう。
あっけにとられたように彼は、私を見つめていた。
上着がないと・・・やはり少し寒いかもしれない。
この白いブラウスはそろそろ買い替えが必要かもしれない。
・・・お気に入りだったのに、残念だわ。
「これは・・・?」
「隠れてなさい。私が話を終えるまで。」
猶予はない。
確実に、沙羅は私を見つけるに決まっている。そして、私が沙羅に謝っても足りないくらいのことを・・・してしまったことも理解している。
一際、足音が大きくなってきた。
彼は言われるがままに、上着の中になんとか体を押し込んでいた。
「・・・聖羅!」
やっぱり来たんだね。
泣きそうな顔をしながら、沙羅は私を見ていた。
・・・泣きそうな顔をしながら、沙羅は私だけを見ていた。
「沙羅・・・」
「わかるでしょ?お願い・・・やめて・・・」
「・・・できない」
「できなくないよ!やめて!でないと・・・でないと!」
主語を失った会話は「彼」にはどんな風に聞こえていたのだろう?
でも、確かに言えることがある。
「沙羅は・・・優しいね。」
振り返っちゃダメだよ。
それは、私であって私じゃないから。
怯えてはいけない。
信じたものだけを・・・見ていればいい。
天使は悪魔にもなり、
悪魔は天使にもなりえる。
あなたの目には、私はどううつるのかしら?
ーさあ、答えて後ろの正面・・・ダーレ?ー
