それはいきなりのことだった。

「七海、おまえ・・・明日暇だったりしないか?」

いつになく、真っ直ぐに私を見つめたままでの強い口調の黒崎さんに私は正直言葉を失ってしまった。
心が揺れるのを・・・感じた。だって・・・明日はクリスマスイブ。もしかしたらこれは!?・・・って。

「や、その、暇と言ったら暇なような?でもなんだろ、その!」

「付き合ってくれ!!」

「そ!?え!?」

わたわたしている私の手を、黒崎さんは握りしめてもう一度私に語りかけてきた。頭の中には・・・咲也兄さんの顔が浮かんでは消えて・・・。

「七海じゃなくちゃダメなんだ・・・俺と・・・付き合ってほしいんだ。」

「わ・・・。」

そう言えば、去年のクリスマスもその前もろくなことがなかった。命がけだったり、身を張ってみたり・・・これは、もしかしたらついにフラグがたったのでしょうか?とにかく私の頭は、真っ白で・・・知らないうちに頷いていたのでした。

「なーなーみ!大好きだぁ!」

「ひゃ~!」

思いっきり抱き締められた。・・・なんだろ、こんなにぼーってしちゃったのは久しぶりだよ。

「よし、役者と脚本家ゲット!あとは、音響だな!」

フリーズした私の横で携帯電話をいじり始める黒崎さん。え・・・音響って?
ま・・・まさか!

「もしかして・・・イベントですか?」

「そうなんだよ!すっかり忘れててさぁ~。」

あぁ・・・そういうオチなんですね。なんだか私の気持ちを返してほしいですよ。・・・と言うか、真面目に返せよ!
それと同時に、私はほぼ白紙の企画書を渡されたのです。

「こんなの、無理ですよ!」

かなり無茶だった。クリスマス当日?今さら会場だって押さえられるはずがない。だいたいお客だって来ないと思う。

「でもさ・・・今年のはじめに誓ったからさ。」

そうでした。なんか活動が止まっていたからすっかり綺麗に忘れていましたが・・・確か、年のはじめにそんな話をした覚えがあります。

「でも・・・二人じゃ」

「二人じゃない!俺もいる!」

ナイスタイミングで帰ってきた咲也兄さんの言葉に私は、思わず泣いてしまいそうになりました。
こう言うとき、本当に咲也兄さんの力は大きいから・・・安心したのかもしれない。

「webでいこう!パーソナリティーは俺と七海。あとのメンバーもつなぐ!」

「う、webですか!?」

ざ、斬新すぎます・・・。でも確かにそれなら、場所とかいろんな問題をクリアーできてしまいます。
地方にいる団員たちもつなげれば、確かに面白くなりそうです。

「七海、だいたいの流れを作ってくれ!」

「は、はい!」

「黒崎はみんなに連絡!」

「咲也~ありがとな!」

どうしても、こう言うときにリーダーなのは咲也兄さんなのでした。
そして、私たちは走り出したのです。
・・・ネットラジオを放送すべく。
えっ?結果が知りたいのですか?


そうですね・・・ではでは、続きはwebで!
要チェックですわよ!



「って、これすでにwebですよね!?わーーん、今年もろくなことないよぉ!今年こそは、ラブラブデートだったのにぃ・・・」