大変なことに、間に合いません
今日にはラストにつながることをアップするはずでしたが・・・おそらくまた、伸びます(-_-;)
それでもよければ、続きを書きましたのでどうぞ。
「見習いサンタ募集中④」↓一瞬を大切にするもの。過去を大切にするもの。
未来を大切にするもの。
ねぇ、教えて?
あなたはなにを信じ、なにを大切にするの?
早く・・・気がつくといいな。あなたに選択肢はないことに。
「これは、どういうことですか?」
指をおりながら、『命』の数を数えていた真っ黒なフードをかぶり、イラツキを隠せずに足をせわしなく動かしている長髪の男。彼が見かけによらず甲高いヒステリックな声をあげる。
「あの・・・その、イレギュラー・・・が・・・おこりました・・・」
反対に、小柄な女性がその前で今にも泣きそうな目をしながらなにやらモゴモゴと口を動かしている。
そこには明らかに、隠しきれない恐怖の色が浮かんでいた。
そして、それ以上に彼女のなかには様々な思いが込み上げていた。
本来ならこれが、彼女にとっての最後の仕事のはずだった。運命の輪から抜けられるはずだったのだ。
その仕事が「一瞬」の判断の遅れで失敗に終わった。・・・しかも、その原因は彼女の同期のサンタクロース・・・「人ならざるもの」が引き起こしたのだ。
「どうせ、くだらない感情に流されたのでしょう・・・沙羅君、だからあなたは甘いと言ったはずだ。」
どうしてこうなったのか。原因については話していなかった。
しかし、話していなかったとしてもそれが上官がわかっていなかったには単純には、結び付かない。
・・・彼女にとって聖羅は「同期のライバル」であり「親友」でもあったからだ。もしも、彼女のしたことがバレたとしたら・・・永久的に聖羅はこの世界の輪から外されてしまう。
それは、できなかった。
見過ごせなかった・・・彼女の友人として、同じ痛みをわかちあってきた者として、それだけはできなかった。
「・・・すいません。」
上官は、はっきりしない沙羅の様子に明らかに、不快感をあらわしている。
沙羅は終始、下を向いているしかなかった。
そこには、自分の「未来」への言い知れぬ不安も含まれていた。さっきまで、薔薇色だったはずのものが、真っ黒に染まったのだ。
「沙羅君・・・あなたにひとつ忠告をしてあげましょう。・・・「過去」にとらわれているかぎり、永遠にあなたは失敗をする。」
びくんと体が波打つのを感じた。
続く言葉は、なんとなく予想がついていた。
「過去、今、未来・・・なにを大切にするか・・・決めなさい。」
友人としてともに励まし合った聖羅との「過去」。
死神の補佐として、人々の『命』を安らかな世界へと導いている「今」。
そして真っ黒にそまって、先の見えない「未来」。
「・・・選択肢は・・・ありませんよ。」
この世界にとらわれたときから、彼女たちに選択肢はなかったのだ。「職業」だって自分で決めているといいながらも、圧力がかかっていたのだから。
そして、「今」も沙羅には一件選択肢があるように見えてそんなものは、存在しなかったのだ。
「・・・はい。」
力なく、頷くしかなかった。・・・どうしようもならない「運命」に流されているのは、残念なことに人間だけではなかった。
「それなら、早く仕事をしてください。・・・期待していますよ。」
にっこりと笑った顔が、妙に頭に残る。
沙羅は、泣きたい気持ちを押しこらえて「ありがとうございます」と頭をさげた。
そして、次の瞬間には「違反者」を連れ戻すために、走り出すしかなかった。
そう、彼女には「今」を生きることしか許されてなどいなかったのだ。
甘い「思い出」。
明るい「未来」。
・・・そんなものは、彼女たちには、はじめからないに等しい。
手に入れたいのなら・・・
「二人を・・・さがしだすしかないのか・・・。」
犠牲をはらわなくてはならないのだ。
今日にはラストにつながることをアップするはずでしたが・・・おそらくまた、伸びます(-_-;)それでもよければ、続きを書きましたのでどうぞ。
「見習いサンタ募集中④」↓一瞬を大切にするもの。過去を大切にするもの。
未来を大切にするもの。
ねぇ、教えて?
あなたはなにを信じ、なにを大切にするの?
早く・・・気がつくといいな。あなたに選択肢はないことに。
「これは、どういうことですか?」
指をおりながら、『命』の数を数えていた真っ黒なフードをかぶり、イラツキを隠せずに足をせわしなく動かしている長髪の男。彼が見かけによらず甲高いヒステリックな声をあげる。
「あの・・・その、イレギュラー・・・が・・・おこりました・・・」
反対に、小柄な女性がその前で今にも泣きそうな目をしながらなにやらモゴモゴと口を動かしている。
そこには明らかに、隠しきれない恐怖の色が浮かんでいた。
そして、それ以上に彼女のなかには様々な思いが込み上げていた。
本来ならこれが、彼女にとっての最後の仕事のはずだった。運命の輪から抜けられるはずだったのだ。
その仕事が「一瞬」の判断の遅れで失敗に終わった。・・・しかも、その原因は彼女の同期のサンタクロース・・・「人ならざるもの」が引き起こしたのだ。
「どうせ、くだらない感情に流されたのでしょう・・・沙羅君、だからあなたは甘いと言ったはずだ。」
どうしてこうなったのか。原因については話していなかった。
しかし、話していなかったとしてもそれが上官がわかっていなかったには単純には、結び付かない。
・・・彼女にとって聖羅は「同期のライバル」であり「親友」でもあったからだ。もしも、彼女のしたことがバレたとしたら・・・永久的に聖羅はこの世界の輪から外されてしまう。
それは、できなかった。
見過ごせなかった・・・彼女の友人として、同じ痛みをわかちあってきた者として、それだけはできなかった。
「・・・すいません。」
上官は、はっきりしない沙羅の様子に明らかに、不快感をあらわしている。
沙羅は終始、下を向いているしかなかった。
そこには、自分の「未来」への言い知れぬ不安も含まれていた。さっきまで、薔薇色だったはずのものが、真っ黒に染まったのだ。
「沙羅君・・・あなたにひとつ忠告をしてあげましょう。・・・「過去」にとらわれているかぎり、永遠にあなたは失敗をする。」
びくんと体が波打つのを感じた。
続く言葉は、なんとなく予想がついていた。
「過去、今、未来・・・なにを大切にするか・・・決めなさい。」
友人としてともに励まし合った聖羅との「過去」。
死神の補佐として、人々の『命』を安らかな世界へと導いている「今」。
そして真っ黒にそまって、先の見えない「未来」。
「・・・選択肢は・・・ありませんよ。」
この世界にとらわれたときから、彼女たちに選択肢はなかったのだ。「職業」だって自分で決めているといいながらも、圧力がかかっていたのだから。
そして、「今」も沙羅には一件選択肢があるように見えてそんなものは、存在しなかったのだ。
「・・・はい。」
力なく、頷くしかなかった。・・・どうしようもならない「運命」に流されているのは、残念なことに人間だけではなかった。
「それなら、早く仕事をしてください。・・・期待していますよ。」
にっこりと笑った顔が、妙に頭に残る。
沙羅は、泣きたい気持ちを押しこらえて「ありがとうございます」と頭をさげた。
そして、次の瞬間には「違反者」を連れ戻すために、走り出すしかなかった。
そう、彼女には「今」を生きることしか許されてなどいなかったのだ。
甘い「思い出」。
明るい「未来」。
・・・そんなものは、彼女たちには、はじめからないに等しい。
手に入れたいのなら・・・
「二人を・・・さがしだすしかないのか・・・。」
犠牲をはらわなくてはならないのだ。
