「見習いサンタ募集中③」↓契約をしましょう。真っ赤な文字で・・・あなたと私の約束を。それはまるで・・・二人を繋ぐ、赤い糸のように・・・深い赤。
私たちは、仕事を選ぶ前に必ず研修期間をへる。たいていは、先輩から仕事を習ったり、学校のように世界の仕組みを知らなくてはいけない。
そこで、なによりも重視されることがある。私たちは毎日それを口にすることを義務づけられていた。
人ならざるものが、変えてはならない、理がある。
それは人の「命」。
確定した死は、変更してはならない。それを叶えてしまうことがあれば世界のバランスは一気に崩壊するからだ。
私たちはその事を、何度も何度も教えられた。
しかし、私はその約束を破って彼の手をとった。
沙羅が慌てていたが、恐らく他の人たちを導かなくてはならないからしばらく、こちらには来れないだろう。
「あの!これは・・・」
酷く動揺している。
当たり前だ。ほんの少し前まで、自分がいたはずの場所が変わり果てたのだから。そこには、クリスマスを楽しみにしていたであろう人たちがいたのだから。
「・・・助けたの。あなたが真摯な願いを持っていたから。」
「真摯な・・・願い?」
不思議そうにしている。
無理もない。
日常が、いきなり非日常に変わったのだから。
でも、私は彼から確かに「強い信念」を感じ取った。
「それ、願いでしょ?」
ハッとして手に持った小さな飾りを握りしめている。
そこには、彼の思いが詰まっている。だからこそ、私はリスクをおかしてまで彼を助けたのだから。
「・・・バカみたいですよね。サンタクロースになりたいなんて・・・。」
彼は「自分の幸せ」ではなく「他人の幸せ」を「自分の幸せ」と感じとれる人間なのだ。
こんな人間はなかなかいない。だから、私は彼を助けることにした。
「そうでもないわよ・・・いい?見ていて。」
私は、小さく指を鳴らした。瞬間に私の体はいつものサンタクロースの衣装へと変化する。
呆気にとられたように、彼は私を見つめていた。
「な・・・マジックかなにかですか?」
信じられない気持ちはよくわかる。
私も・・・ずっと昔に同じ体験をしたから。私に「聖羅」と名前をくれた、先輩を思い出す。
そう言えば、・・・彼は、先輩にどこか似ている。
「違うわ。私は、正真正銘のサンタクロース。」
「でも!さっきまで普通の姿を・・・」
「今はね、スカウトの期間だったのよ。人間に混じって、探していたの。」
まだ、信じられないみたいだった。
「なにを・・・ですか?」
私は、両手を広げてくるりとまわって見せた。短めのスカートがふわりと揺れる。サンタらしくないと怒られるけど・・・少し位なら、オシャレしてみたい。
「あなたみたいな・・・真摯な願いを持つ人よ。」
まだ、信じられていないのか・・・彼は、そのまま動こうとしなかった。沙羅が来たら大変なことになる。それまでに、なんとかしなくちゃ。
「私は、聖羅。サンタクロースになりたいのなら、あなたを守り・・・サンタクロースになれるように教育するわ。」
一歩、前へと踏み出した。彼の目からは怯えの色は消えていた。そして、そこには少しずつ光が宿っていたのを私は、見落とさなかった。
私は、手をさしのべた。
「あとは・・・あなた次第よ。」
彼は、戸惑いながらも・・・震える手で、私の手を握り返してきた。
私はざわめく街の中で、高らかに、声をあげて宣言をした。
「契約、終了!」
さぁ、新米のサンタクロースさん。私はあなたを必ず、サンタクロースにしてあげる。
だから・・・これから、宜しくね。
私たちは、たった今から決してほどけることのない、運命の赤い糸で結ばれたのだら。
私たちは、仕事を選ぶ前に必ず研修期間をへる。たいていは、先輩から仕事を習ったり、学校のように世界の仕組みを知らなくてはいけない。
そこで、なによりも重視されることがある。私たちは毎日それを口にすることを義務づけられていた。
人ならざるものが、変えてはならない、理がある。
それは人の「命」。
確定した死は、変更してはならない。それを叶えてしまうことがあれば世界のバランスは一気に崩壊するからだ。
私たちはその事を、何度も何度も教えられた。
しかし、私はその約束を破って彼の手をとった。
沙羅が慌てていたが、恐らく他の人たちを導かなくてはならないからしばらく、こちらには来れないだろう。
「あの!これは・・・」
酷く動揺している。
当たり前だ。ほんの少し前まで、自分がいたはずの場所が変わり果てたのだから。そこには、クリスマスを楽しみにしていたであろう人たちがいたのだから。
「・・・助けたの。あなたが真摯な願いを持っていたから。」
「真摯な・・・願い?」
不思議そうにしている。
無理もない。
日常が、いきなり非日常に変わったのだから。
でも、私は彼から確かに「強い信念」を感じ取った。
「それ、願いでしょ?」
ハッとして手に持った小さな飾りを握りしめている。
そこには、彼の思いが詰まっている。だからこそ、私はリスクをおかしてまで彼を助けたのだから。
「・・・バカみたいですよね。サンタクロースになりたいなんて・・・。」
彼は「自分の幸せ」ではなく「他人の幸せ」を「自分の幸せ」と感じとれる人間なのだ。
こんな人間はなかなかいない。だから、私は彼を助けることにした。
「そうでもないわよ・・・いい?見ていて。」
私は、小さく指を鳴らした。瞬間に私の体はいつものサンタクロースの衣装へと変化する。
呆気にとられたように、彼は私を見つめていた。
「な・・・マジックかなにかですか?」
信じられない気持ちはよくわかる。
私も・・・ずっと昔に同じ体験をしたから。私に「聖羅」と名前をくれた、先輩を思い出す。
そう言えば、・・・彼は、先輩にどこか似ている。
「違うわ。私は、正真正銘のサンタクロース。」
「でも!さっきまで普通の姿を・・・」
「今はね、スカウトの期間だったのよ。人間に混じって、探していたの。」
まだ、信じられないみたいだった。
「なにを・・・ですか?」
私は、両手を広げてくるりとまわって見せた。短めのスカートがふわりと揺れる。サンタらしくないと怒られるけど・・・少し位なら、オシャレしてみたい。
「あなたみたいな・・・真摯な願いを持つ人よ。」
まだ、信じられていないのか・・・彼は、そのまま動こうとしなかった。沙羅が来たら大変なことになる。それまでに、なんとかしなくちゃ。
「私は、聖羅。サンタクロースになりたいのなら、あなたを守り・・・サンタクロースになれるように教育するわ。」
一歩、前へと踏み出した。彼の目からは怯えの色は消えていた。そして、そこには少しずつ光が宿っていたのを私は、見落とさなかった。
私は、手をさしのべた。
「あとは・・・あなた次第よ。」
彼は、戸惑いながらも・・・震える手で、私の手を握り返してきた。
私はざわめく街の中で、高らかに、声をあげて宣言をした。
「契約、終了!」
さぁ、新米のサンタクロースさん。私はあなたを必ず、サンタクロースにしてあげる。
だから・・・これから、宜しくね。
私たちは、たった今から決してほどけることのない、運命の赤い糸で結ばれたのだら。
