書きためはあるのですが、このままいくとまたクリスマス雪クリスマスツリーキラキラに間に合わない予感がしてきました(-_-;)サンタさんがついになんだかわからなくなってきましたが・・・気にしたら敗けです( ̄ー ̄)


「見習いサンタ募集中②」↓信じる気持ち。それだけが、私を作っている・・・だから、信じて下さい。
私は、ココニイルよ?






日に日に、町は色づく。
そして、暗闇の時間が増す。クリスマスソングなんて流れ始めたら、それはタイムリミットでしかない。

嫌だ。
このまま、おじいちゃんたちみたいにずっとサンタクロースとしてあの土地で暮らすのはまっぴらごめんだ。
変化のない私の体。
変化し続ける人間。

私は、優秀なサンタクロース。若くして、完璧にサンタクロースの力を会得した。みんなが「天才」だと言ったけど、決して天才ではなかった。それなりに苦労もした。
それでも・・・人を幸せにできるならかまわないと思って、次々と試験をこなした。
できることが増えて、毎日が楽しかったこともあった。・・・でも、同時に私は逃れられない運命までもを・・・知らぬ間に、受け継いでいたのだ。


いつになったら、私は解放されるのだろうか。
いや、本来なら昨年あそこであの二人の『幸せ』よりも他を望んだなら・・・この生活は終わっていたかもしれないのに。


「・・・暇だわ。」

もう、ガラスにうつる自分を見てまわる気分にもならなかった。人はみんな、私を気にかけたりしない。
・・・私が見えている人なんてほとんどいないのだろう。
サンタクロースが見える人はいろんな意味で『異常』なのだから。

「聖羅?」

私がそろそろ場所をかえようとしていると、誰かが私の手を掴んだ。振り替えると黒いコートに身を包んだ女の子がいた。

「沙羅!」

「よかった~、聖羅、心配してたんだよ!」

久し振りにあった友人、沙羅は私の手をつかみ、再開を祝うかのように大きく振り回した。・・・学生が戯れているように見えるのだろうか?
いや・・・恐らくもう、そうは見えないだろう。
私と同じ年だったにもかかわらず沙羅は、大人の姿になっていた。

「・・・お仕事中?」

沙羅は、我に変えると焦ってまわりを見回していた。彼女は、私の手を離すと小さく頷いた。・・・彼女はある意味で私と「同業者」だからだ。
人ならざるもの。
・・・彼女がいるということは、あまり良いことはないのだろう。

「これで、最後なんだ。」
「・・・そうなんだ。」

薄々感じてはいたんだ。
沙羅は成長していたから、きっと仕事をこなしていたんだろう。
沙羅はもうすぐ、人間になれるんだ。私よりもキツイ仕事を選んだのだ・・・当然である。
私たちは、ある程度まで仕事をこなせば身体が成長する。そして、個人差はあれど25歳程度で人間へとなれる。仕事はよほど特殊なケースでないかぎりは自己選択できる。
あの日、初めて出会った私たちはそれぞれに職業を選んだ。
私は、サンタクロース。
沙羅は、死神の補佐。


「・・・聖羅、サンタクロースやめる気はないの?」
ずしんと心が揺れた。
サンタクロースは、活動の時期が限られているため危険はないが成長も遅い。
さらに、私には成長をとめる呪いがかかっている。
それは、人材不足のサンタクロースの世界において「優秀なサンタクロース」だった私を逃がしたくなかったために知らぬ間にかけられていたのだ。

「私がいなくなったら、席があくの。・・・どう?」
「・・・ありがとう」

ありがたい話だった。
沙羅がいなくなったら、同期はいなくってしまう。でも、私は・・・恐らく「死神の補佐」にはなれない。
「時間、大丈夫?」

私は、駅の上についている時計を指差した。

「いけない!!聖羅、ここから離れた方がいいよ!」

それは、案にここで誰かが「命を落とす」ということになる。
ガシャーン!!
私がさよならを言おうとした瞬間に、なにかが割れる音がした。とっさに振り替えるとデパートのガラスにヒビが入っていた。

「な!?」

人間たちは気がついていない。まさか自分達の「真上のガラス」が割れる寸前であることに。

「あぶな・・・」

「・・・止めて。」

私が叫ぼうとしたのを、沙羅が止めた。どうして?
今、声をかけたなら助かるはずの命を・・・見捨てるの?

「6人が死亡。3人が重症・・・12人が怪我。これはかえてはいけない。」

目の前にある大きなクリスマスツリーを見上げて、たくさんの人たちが集まっている。
そしてそこにガラスが落下する。しかしそれは運命であり必然・・・だから諦めろと?
ふと、中学生くらいの男がツリーになにかをつけようとしていた。それがキラリと輝いた瞬間に、私は走りだした。

「聖羅!ダメー!」

沙羅が叫んだ。
でもだめた!!私は、その人の手を引っ張りそこから離れた。
次の瞬間に悲鳴が聞こえた、町がざわめいている。

「えっ?」

青年は私と「事故現場」を何度も見比べていた。
赤く染まった世界は見たくない。赤は嫌いだから。
私は、赤の世界に背を向けて、青年に手をさしのべた。

「・・・かなえてあげます。」

青年は、呆気にとられていた。そして、私の視線の先にあるものに気がついたようだ。彼はツリーにつけるつもりだったんだろう「星」を手にしていた。

「かなえてあげる・・・でも、代償はもらうわ。」

私は、微笑んだ。
本当に怖いのは・・・死神なんかじゃないのかもしれない。