さて、また気分転換な衝突なショートストーリを書いてみますかね。
夏なので、ホラーにチャレンジ!してみますよ(-_-;)怖さは期待しないでください→本人がホラーが苦手なので(苦笑)
一応、ホラーなので苦手な方はスルー推奨します。あくまで自己責任で・・・。気分が悪くなっても、責任はおえません!!
それでは↓
~お片付け~
子どもは時として残虐である。
これは、私が保育士になって痛感したことである。
きっとみなさんにも覚えがあるのではないだろうか?人形の髪を切ったり、時には体を傷つける。
無邪気に、笑いながら。
はじめてその光景を目にしたとき、私は思わずその子を叱ってしまった。
結果として子どもが大泣きをし、あとから園長先生に呼び出され、私が怒られることになった。
「子どもはこうやって倫理を築くの。・・・逆にこのようなことをしない子の方が心配なのよ。」
そうなのか。・・・子どもはまだ、「自我」が確立されていない。「自我」が狭いと言うことは「イド」のなかみがそのまま外へと出るのだ。
つまりは「人形のお片付け」と称して残虐な行為をするのは・・・避けては通れない発達課題なんだという。
それでも手足を失った人形の姿を見るのは・・・辛かった。
だから、私はその人形たちを集めて直せる限りは直してしまっておいた。・・・この子達だって、もう遊んでもらえないのは悲しいだろうから。
そんなあるとき、私は用事があって遅くまで園に残ることになってしまった。子どもたちの声のしない保育園は妙に不気味だった。
ー・・・たぃよ・・・痛いよ。ー
ふいに小さな声が聞こえた。それは・・・女の子の泣き声のようだった。
私は疲れからの幻聴だろうと気にせずに、帰宅の準備を始めた。
ー・・・れた・・・もう・・・いたぃ・・・やー
「えっ?」
はっきりと聞こえた。
女の子の苦痛にあえぐ声が。私は廊下に飛び出した。しかし、誰もいないのだ。
「・・・やだ、疲れてるのかしら。」
振り返り、また職員室へもどり急いで鞄をつかんだ。早く家に帰って寝て休める、そうすることがいいと思った。
ーせ・・・せー、せん・・・せ・・・ー
「聞こえない!」
自分の叫び声が響く。
心なしか、声が近くなってきた。・・・幼い声が「先生」と私を呼んでいる。
ーせんせ・・・ー
声が、私の真後ろで・・・止まった。・・・こんなの気のせいだ。振り替えったってなんにもない!
私は振り替えった。
「・・・にこ?」
そこには私がなんかいも直したにこという女の子の人形が、転がっていた。
この子は人気で、直しても直しても、次の日には「お片付け」されてしまうのだ。
瞬間、私の意識は真っ黒に染まった。
ー痛いよ、痛いよ・・・ー
にこが泣いている。
ーせんせ・・・痛いよ・・・ー
私は、走りよった。にこはバラバラにされていた。
「すぐに、直してあげるから!」
ーやめて・・・よ。ー
「・・・え?」
ーせんせ・・・大嫌いー
「な・・・んで?」
声が震えた。
にこは私を鋭いビー玉のような目で睨み付けていた。
ーなんか・・・も・・・なんかぃも・・・痛いー
気がつくと私のまわりにはバラバラになった人形たちが恨みに満ちた表情を向けていた。
震えた・・・体が。
ーやめ・・・命・・・ー
声が重なる。
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて。
体に痛みが走った。
まるで・・・引き裂かれるような痛み。気を失ってもまた目が覚める・・・繰り返される「お片付け」。
暗いから、私は私の体がどうなっているのかわからなかった。
「先生!安達先生!」
痛みから解放された私は、ゆっくりと目をあけた。
・・・にこはいない。
「・・・園長先生・・・私は、間違っていました。」
「どうしたの?」
私は泣きながら、夢を話した。人形たちは何回も何回も「死ぬ痛み」を感じたのに、私が「直した」ためにまた「死ぬ痛み」を味わったのだ。
園長先生はなにも言わなかった。
それから、私は人形たちを神社に持っていき・・・もう「お片付け」された人形を直すことはしなかった。
「命は・・・ひとつなのよ。」
それから私は子どもたちに、「命は無限ではないこと」を語った。
ーせんせ・・・ありが・・・とー
にこ、ごめんね。
安らかに・・・眠ってください。
夏なので、ホラーにチャレンジ!してみますよ(-_-;)怖さは期待しないでください→本人がホラーが苦手なので(苦笑)
一応、ホラーなので苦手な方はスルー推奨します。あくまで自己責任で・・・。気分が悪くなっても、責任はおえません!!
それでは↓
~お片付け~
子どもは時として残虐である。
これは、私が保育士になって痛感したことである。
きっとみなさんにも覚えがあるのではないだろうか?人形の髪を切ったり、時には体を傷つける。
無邪気に、笑いながら。
はじめてその光景を目にしたとき、私は思わずその子を叱ってしまった。
結果として子どもが大泣きをし、あとから園長先生に呼び出され、私が怒られることになった。
「子どもはこうやって倫理を築くの。・・・逆にこのようなことをしない子の方が心配なのよ。」
そうなのか。・・・子どもはまだ、「自我」が確立されていない。「自我」が狭いと言うことは「イド」のなかみがそのまま外へと出るのだ。
つまりは「人形のお片付け」と称して残虐な行為をするのは・・・避けては通れない発達課題なんだという。
それでも手足を失った人形の姿を見るのは・・・辛かった。
だから、私はその人形たちを集めて直せる限りは直してしまっておいた。・・・この子達だって、もう遊んでもらえないのは悲しいだろうから。
そんなあるとき、私は用事があって遅くまで園に残ることになってしまった。子どもたちの声のしない保育園は妙に不気味だった。
ー・・・たぃよ・・・痛いよ。ー
ふいに小さな声が聞こえた。それは・・・女の子の泣き声のようだった。
私は疲れからの幻聴だろうと気にせずに、帰宅の準備を始めた。
ー・・・れた・・・もう・・・いたぃ・・・やー
「えっ?」
はっきりと聞こえた。
女の子の苦痛にあえぐ声が。私は廊下に飛び出した。しかし、誰もいないのだ。
「・・・やだ、疲れてるのかしら。」
振り返り、また職員室へもどり急いで鞄をつかんだ。早く家に帰って寝て休める、そうすることがいいと思った。
ーせ・・・せー、せん・・・せ・・・ー
「聞こえない!」
自分の叫び声が響く。
心なしか、声が近くなってきた。・・・幼い声が「先生」と私を呼んでいる。
ーせんせ・・・ー
声が、私の真後ろで・・・止まった。・・・こんなの気のせいだ。振り替えったってなんにもない!
私は振り替えった。
「・・・にこ?」
そこには私がなんかいも直したにこという女の子の人形が、転がっていた。
この子は人気で、直しても直しても、次の日には「お片付け」されてしまうのだ。
瞬間、私の意識は真っ黒に染まった。
ー痛いよ、痛いよ・・・ー
にこが泣いている。
ーせんせ・・・痛いよ・・・ー
私は、走りよった。にこはバラバラにされていた。
「すぐに、直してあげるから!」
ーやめて・・・よ。ー
「・・・え?」
ーせんせ・・・大嫌いー
「な・・・んで?」
声が震えた。
にこは私を鋭いビー玉のような目で睨み付けていた。
ーなんか・・・も・・・なんかぃも・・・痛いー
気がつくと私のまわりにはバラバラになった人形たちが恨みに満ちた表情を向けていた。
震えた・・・体が。
ーやめ・・・命・・・ー
声が重なる。
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて。
体に痛みが走った。
まるで・・・引き裂かれるような痛み。気を失ってもまた目が覚める・・・繰り返される「お片付け」。
暗いから、私は私の体がどうなっているのかわからなかった。
「先生!安達先生!」
痛みから解放された私は、ゆっくりと目をあけた。
・・・にこはいない。
「・・・園長先生・・・私は、間違っていました。」
「どうしたの?」
私は泣きながら、夢を話した。人形たちは何回も何回も「死ぬ痛み」を感じたのに、私が「直した」ためにまた「死ぬ痛み」を味わったのだ。
園長先生はなにも言わなかった。
それから、私は人形たちを神社に持っていき・・・もう「お片付け」された人形を直すことはしなかった。
「命は・・・ひとつなのよ。」
それから私は子どもたちに、「命は無限ではないこと」を語った。
ーせんせ・・・ありが・・・とー
にこ、ごめんね。
安らかに・・・眠ってください。
