気分転換にまたもやあまり意味がない短編を書きます。文章書く力が残っているかとリハビリなので内容はいつも以上にヒドイです。ちなみにテーマはミステリー!!・・・ここにいたって書いたことない分野なのは私なりの挑戦?です。

~密室。~
気がついたら、私はここにいた。いつからいた・・・とか、どうしていたとか・・・ここがどこかとか・・・分からないけど、私は確かにここにいた。

「・・・いつになったら出られるのかな・・・」

横にいた少女が呟いた。
小さな体をさらに小さくして、目を伏せていた。彼女が誰なのかはわからない。それでも彼女は確かにそこにいた。

「・・・帰りたい。」

呟く彼女に私はなにも返せなかった。ただ、彼女を見つめているだけで精一杯だった。
帰りたい。
私はそんなこと思っていなかった。むしろ、ずっとここにいたい・・・そんな気持ちが浮かんでは消えた。
「・・・帰りたいよ。」

・・・どこへ?
彼女は、どこへ帰るのだろう?彼女がいなくなったら・・・私はどうなるのだろう。
私たちはどうしてここにいるんだろう。

「ゆぁ~ちゃん・・・ゆぁ~ちゃん」

ドアの外から、誰かの声が響いてきた。少女が顔をあげる。
ペタペタ・・・ペタペタ。そして・・・足音が閉ざされた扉の前で止まる。

「みさ!」

少女がドアに飛び付く。
ダメ!声をたてたらバレてしまう!
私は、止めたかった。
それなのに私の体はまるで凍りついたかのように・・・動かなかった。

「ここにいるの・・・ゆぁ~ちゃん?」

「います!ここに・・・」
ガチャリ・・・なにかが開く。
少女が「何か」に気がついたらしく・・・一歩下がる。

「みーつけたぁ♪」

ここは密室。
鍵はあかない。
なら・・・ならどうして、今、少女の前の扉はこんなにも簡単に・・・

「あぁ・・・そんな・・・」

簡単に開いてしまったのだろうか。
月明かりに何かが鈍く・・・しかし美しく銀色の光を放った。

目の前が・・・真っ暗になる。なんで簡単に鍵があいたのか・・・答えは簡単だった。
鍵をあけられるのは・・・
「・・・泣いてる・・・の?」

コトリと床に倒れた私の目には、赤い水をこぼしながらこちらへ手を伸ばす少女が見えた。
私も・・・手を伸ばす。
そっと触れた指先で私はすべてに気がついたのだった。

「・・・邪魔だね。」

ガシャン・・・。
その瞬間に、私は粉々になった。
月明かり。
赤い涙。
割れた鏡。

「・・・キレイだね。」

歪んだ笑みが・・・私を見ていた。
涙に歪んだ瞳にはなにもうつらない。
そう、私にはもう・・・空は見えない。