夏は夏らしく、冬は冬らしく生きることが大切だとみなわかっていました。しかし、一人だけ自然の力に刃向かう人物がいたのでした。
「・・・大人なんですからいい加減にあきらめたらどうですか?」
部屋の中に渚さんの凛とした声が響いていました。気温は30℃に近いというのになぜかクーラーはついておらず、季節はずれなこたつが置かれていました。
「これは・・・いくら渚さんに言われても、譲れないです!」
こんなに暑いのに、なぜかカタツムリのようにこたつの中から春樹さんがまさしくにょっきりといった感じで顔を出したのでした。
彼が、渚さんに対して刃向かうことなんてほとんどありません。そうとうにこたつが大切なようでした。
「・・・暑苦しい。」
確かにこの季節にこたつがあるのは見ていて思わず汗をかきたくなるくらいです。
「・・・俺にはこたつがないと生きていけないんです。」
「それならば・・・こたつと結婚したらよいのではないのですか?」
グサッと刺さる一言。
まさに「神社の跡取り」としてお嫁さんを見つけなくてはいけない春樹さんには痛すぎる忠告でした。
しかし、彼もこれだけは譲れないのでした。
「みんなクーラーかけすぎなんだよ!・・・かえって寒くて・・・俺には耐えられない!」
沖縄生まれな彼は、なぜか「寒い」ことが本当に苦手なのでした。冬に沖縄に帰り、春に戻ってくる姿はまるで「渡り鳥」の一種のようにも見えてきました。
「・・・春樹さん。」
「えっ?」
「・・・沖縄に帰れ。」
カナカナカナカナ・・・っとひぐらしが鳴いていたかどうかは定かではありませんでしたが、彼は確かに彼女の中に眠っている「巫女さん」としての姿を見たそうでした。
あまりマンガなどに興味を示すことがない渚さんにまでひぐらしが影響を与えていたことは驚きでした。
「・・・沖縄には帰れない。」
「・・・なぜですか?あなたは沖縄にいたほうが幸せになれると思いますよ。」
確かに、寒さも暑さも厳しい東北地方にいるよりかは確実に沖縄にいる方が彼のためになるのは分かり切ったことでした。しかし、彼は帰りたくなかったのでした。
なぜなら少し離れただけで、涼風の状況が変わるから・・・そしてなにより渚さんがいないから・・・。
「渚さんが一緒にきてくれるなら・・・沖縄に住むのになぁ。」
ボソッと呟いた言葉に、渚さんはそっぽを向いてしまったのでした。
「・・・一生こたつと過ごしてください!」
そのまま振り返ることなくいなくなってしまった渚さんを見送りながら、春樹さんはまたこたつの中へとこもってしまったのでした。
ほんの少しだけ、彼女の頬が赤かったのは・・・あんまりにも太陽が照らしすぎたから?
「・・・これだから、男の方は・・・」
その先にいつもついている「嫌いです」は言葉にされず、渚さんは静かに少しだけ微笑んでいたのでした。
しかしその小さな変化に春樹さんが気がつける日はどうやら、まだまだかなり遠い時代のお話みたいでした。
「・・・大人なんですからいい加減にあきらめたらどうですか?」
部屋の中に渚さんの凛とした声が響いていました。気温は30℃に近いというのになぜかクーラーはついておらず、季節はずれなこたつが置かれていました。
「これは・・・いくら渚さんに言われても、譲れないです!」
こんなに暑いのに、なぜかカタツムリのようにこたつの中から春樹さんがまさしくにょっきりといった感じで顔を出したのでした。
彼が、渚さんに対して刃向かうことなんてほとんどありません。そうとうにこたつが大切なようでした。
「・・・暑苦しい。」
確かにこの季節にこたつがあるのは見ていて思わず汗をかきたくなるくらいです。
「・・・俺にはこたつがないと生きていけないんです。」
「それならば・・・こたつと結婚したらよいのではないのですか?」
グサッと刺さる一言。
まさに「神社の跡取り」としてお嫁さんを見つけなくてはいけない春樹さんには痛すぎる忠告でした。
しかし、彼もこれだけは譲れないのでした。
「みんなクーラーかけすぎなんだよ!・・・かえって寒くて・・・俺には耐えられない!」
沖縄生まれな彼は、なぜか「寒い」ことが本当に苦手なのでした。冬に沖縄に帰り、春に戻ってくる姿はまるで「渡り鳥」の一種のようにも見えてきました。
「・・・春樹さん。」
「えっ?」
「・・・沖縄に帰れ。」
カナカナカナカナ・・・っとひぐらしが鳴いていたかどうかは定かではありませんでしたが、彼は確かに彼女の中に眠っている「巫女さん」としての姿を見たそうでした。
あまりマンガなどに興味を示すことがない渚さんにまでひぐらしが影響を与えていたことは驚きでした。
「・・・沖縄には帰れない。」
「・・・なぜですか?あなたは沖縄にいたほうが幸せになれると思いますよ。」
確かに、寒さも暑さも厳しい東北地方にいるよりかは確実に沖縄にいる方が彼のためになるのは分かり切ったことでした。しかし、彼は帰りたくなかったのでした。
なぜなら少し離れただけで、涼風の状況が変わるから・・・そしてなにより渚さんがいないから・・・。
「渚さんが一緒にきてくれるなら・・・沖縄に住むのになぁ。」
ボソッと呟いた言葉に、渚さんはそっぽを向いてしまったのでした。
「・・・一生こたつと過ごしてください!」
そのまま振り返ることなくいなくなってしまった渚さんを見送りながら、春樹さんはまたこたつの中へとこもってしまったのでした。
ほんの少しだけ、彼女の頬が赤かったのは・・・あんまりにも太陽が照らしすぎたから?
「・・・これだから、男の方は・・・」
その先にいつもついている「嫌いです」は言葉にされず、渚さんは静かに少しだけ微笑んでいたのでした。
しかしその小さな変化に春樹さんが気がつける日はどうやら、まだまだかなり遠い時代のお話みたいでした。
