春樹君が珍しく神主さんの着る袴に袖を通して、亜水弥さんの前にたっていました。亜水弥さんはいつになく真剣な表情で彼を見つめていました。
「それでは・・・あなたの合格を祈願させていただきます。」
しゃんと音が鳴って、春樹君は少し頭を下げた後になにやらつぶやいています。静寂があたりを支配する中、厳かな儀式は続いていきました。
「・・・はい、終わりましたよ。」
一応、口調はいつもより丁寧にして、春樹君は亜水弥さんに合図をしました。ゆっくりと顔を上げた亜水弥さんは嬉しそうに笑っていました。
「はぁ、緊張した。でもこれで次のオーディションもバッチリだよね?」
「んー・・・あくまで俺は見習いだし、厄払いをしただけだからなんともいえないかな。神様が見守ってくれるさ。」
確かに春樹君はまだまだ大学を卒業したての見習いさんらしい。お父さんからはなかなか神主の仕事をさせてもらえないと嘆いていたのでした。
でもやっていることに間違いはないと彼はいつも笑っていました。
「だって、春樹はうちの呪い担当だから亜水弥さんはとっても頼りにしてるよ!」
「亜水弥・・・のろいじゃなくておまじないなんだけど・・・。」
「へ?おまじない?」
確かに涼風の名簿にはそれぞれの役職が記されていて春樹君の場所には
「ひたすらに呪いをする」
となっていました。
「あれってひたすらにのろうって意味じゃないの?」
「ちょ・・・俺はどれだけ人に恨みをもってんだよ・・・。」
春樹君は、いったん部屋を出ると携帯電話を手に戻ってきて「おまじない」と打ち込んで変換させてみせました。
「・・・マジだ!うちらみんな呪いって読んでたよ!」
「・・・それで女の子組が俺を変な目で見ていたんだな。」
特に、七海ちゃんは最近春樹君を明らかに怖がっていたような節がありました。藍音さんにいたっては
「ねぇ、ねぇ?咲也君を女の子より男の子好きにできたりなんかしないのかな?かな?」
などと意味不明なことを聞いてきていました。
「だれか一人くらいは読めると思ったんだけどな・・・」
確かに文字だけを見てしまうと自分でも「呪い」に見えてきてしまうから不思議だと思いました。
「あー、じゃあ訂正しておくよ!」
亜水弥さんの提案に春樹君は 「頼む」と頭を下げました。まさか自分が呪いをかけているなんて誤解を受け続けるのはちょっと切なくなってしまいます。
次の日。
「春樹兄さん、両思いになれるおまじないってないの~?」
「あの!できたら身長が伸びるようなおまじないはありませんか?」
「ねー、テストで良い点数がとれるおまじないってない?」
春樹君は、女の子たちに囲まれてまさに質問の嵐にあっていたのでした。
「な、な?」
なにが起こっているのかがわからずに春樹君は困り切っていました。
彼は大切なことを知らなかったんです。
「女の子はおまじないが好き」
だと言うことを・・・。しばらくの間、春樹君はまるで神様のように女の子たちから慕われていたとかいないとか・・・無邪気な笑顔に彼はずっと困っていたそうです。
「・・・今後は俺じゃなくて・・・ちゃんとした神社に行ってください。」
春樹君は、自分なんかよりもきちんと「神様」を信じるようにと訴え続けたそうです。
「それでは・・・あなたの合格を祈願させていただきます。」
しゃんと音が鳴って、春樹君は少し頭を下げた後になにやらつぶやいています。静寂があたりを支配する中、厳かな儀式は続いていきました。
「・・・はい、終わりましたよ。」
一応、口調はいつもより丁寧にして、春樹君は亜水弥さんに合図をしました。ゆっくりと顔を上げた亜水弥さんは嬉しそうに笑っていました。
「はぁ、緊張した。でもこれで次のオーディションもバッチリだよね?」
「んー・・・あくまで俺は見習いだし、厄払いをしただけだからなんともいえないかな。神様が見守ってくれるさ。」
確かに春樹君はまだまだ大学を卒業したての見習いさんらしい。お父さんからはなかなか神主の仕事をさせてもらえないと嘆いていたのでした。
でもやっていることに間違いはないと彼はいつも笑っていました。
「だって、春樹はうちの呪い担当だから亜水弥さんはとっても頼りにしてるよ!」
「亜水弥・・・のろいじゃなくておまじないなんだけど・・・。」
「へ?おまじない?」
確かに涼風の名簿にはそれぞれの役職が記されていて春樹君の場所には
「ひたすらに呪いをする」
となっていました。
「あれってひたすらにのろうって意味じゃないの?」
「ちょ・・・俺はどれだけ人に恨みをもってんだよ・・・。」
春樹君は、いったん部屋を出ると携帯電話を手に戻ってきて「おまじない」と打ち込んで変換させてみせました。
「・・・マジだ!うちらみんな呪いって読んでたよ!」
「・・・それで女の子組が俺を変な目で見ていたんだな。」
特に、七海ちゃんは最近春樹君を明らかに怖がっていたような節がありました。藍音さんにいたっては
「ねぇ、ねぇ?咲也君を女の子より男の子好きにできたりなんかしないのかな?かな?」
などと意味不明なことを聞いてきていました。
「だれか一人くらいは読めると思ったんだけどな・・・」
確かに文字だけを見てしまうと自分でも「呪い」に見えてきてしまうから不思議だと思いました。
「あー、じゃあ訂正しておくよ!」
亜水弥さんの提案に春樹君は 「頼む」と頭を下げました。まさか自分が呪いをかけているなんて誤解を受け続けるのはちょっと切なくなってしまいます。
次の日。
「春樹兄さん、両思いになれるおまじないってないの~?」
「あの!できたら身長が伸びるようなおまじないはありませんか?」
「ねー、テストで良い点数がとれるおまじないってない?」
春樹君は、女の子たちに囲まれてまさに質問の嵐にあっていたのでした。
「な、な?」
なにが起こっているのかがわからずに春樹君は困り切っていました。
彼は大切なことを知らなかったんです。
「女の子はおまじないが好き」
だと言うことを・・・。しばらくの間、春樹君はまるで神様のように女の子たちから慕われていたとかいないとか・・・無邪気な笑顔に彼はずっと困っていたそうです。
「・・・今後は俺じゃなくて・・・ちゃんとした神社に行ってください。」
春樹君は、自分なんかよりもきちんと「神様」を信じるようにと訴え続けたそうです。
