七海ちゃんの家族が忙しいときには涼風のみなさんがお父さんだったり、お兄ちゃんだったりしました。
毎回のことですが授業参観のお知らせのハガキが学校から届くと、涼風では「誰が保護者か会議」が行われるのでした。
「俺が行く!兄として勉強風景を見守る任務があるからな!」
最初に手をあげたのはもちろんミスターシスコンが板についてしまった咲也君。彼も学校があったのに譲ろうとはしません。
「や、咲也は前もいったやろ?次はお父さん的な俺の出番や!」
「・・・変質者で捕まるからやめてください。」
手をあげた暁羅さんに咲也君が冷たくいいはなちます。確かに和服しか着ない彼はちょっと怪しいのでした。
「しかたがない・・・俺が・・」
次に手をあげたのは予想にしていなかった往人さんでした。いつも三次元は苦手だと言うのでみな考えていませんでした。
「おいおい・・・ついに犯罪に走る気か?」
「ふっ・・・リアルには興味はない。」
それってつまり七海ちゃんが心配なのかとみなが顔を見合わせたあとに彼は呟きました。
「・・・声・・・声だけなら癒しだ。」
結局彼は彼の欲望に忠実に生きていたのでした。
「でていけー!!」
「・・・消えろ。」
自分の欲求に正直なために即座に退場させられた往人さん。狭い部屋の中だと言うのに見えない火花が幾重にも飛び交っていました。
「・・・金髪に近い兄・・・そんなチャラチャラしたやつより俺の方が・・・兄だ。」
クールだったころの信也君が今回は珍しいことにひっそりと参戦していました。
「確かに金髪はあかんなー。」
普段はみな、咲也君の髪を褒めるのに今日はそんなことすら却下するための要素とされたのです。
「それなら、染めてやる!ついでにメガネとスーツもだ!」
・・・受験の時すら染めなかったのに、なぜにそこまで授業参観に行きたいのかは謎だったのでした。
「一時的に直しても・・・意味ない。」
「はぁ?おまえみたいに怖い顔したお兄ちゃんより優しいお兄ちゃんのがいいに決まってんだろ?」
「おまえらは若すぎや!ここは俺に任せるべきやろ?」
「社会なら行ってみたいかなあ。」
ちなみに最後のは話すタイミングがわからなかった黒崎さんの一言でした。
一触即発の雰囲気の外側で、七海ちゃんがミーティングルームを通りすぎて違う部屋の扉をノックしました。
「あら・・・どうしたの?」
暁那さんが上品に振り返りました。七海ちゃんが背中に隠していたプリントを緊張しながら手渡しました。
「あら、授業参観なの?」
頷きます。
「そうね、私が行ってもいいかしら?」
「やったー!」
緊張が解れて七海ちゃんが嬉しくて飛び上がる姿を見ながら、暁那さんはいまだに話し合っているであろう兄たちに向けて呟くのでした。
「・・・愛がからまわりしてるのよね。」
まったくもってその通りです。なにも知らない彼らの不毛な話し合いはまだまだ続いていくのでした。
毎回のことですが授業参観のお知らせのハガキが学校から届くと、涼風では「誰が保護者か会議」が行われるのでした。
「俺が行く!兄として勉強風景を見守る任務があるからな!」
最初に手をあげたのはもちろんミスターシスコンが板についてしまった咲也君。彼も学校があったのに譲ろうとはしません。
「や、咲也は前もいったやろ?次はお父さん的な俺の出番や!」
「・・・変質者で捕まるからやめてください。」
手をあげた暁羅さんに咲也君が冷たくいいはなちます。確かに和服しか着ない彼はちょっと怪しいのでした。
「しかたがない・・・俺が・・」
次に手をあげたのは予想にしていなかった往人さんでした。いつも三次元は苦手だと言うのでみな考えていませんでした。
「おいおい・・・ついに犯罪に走る気か?」
「ふっ・・・リアルには興味はない。」
それってつまり七海ちゃんが心配なのかとみなが顔を見合わせたあとに彼は呟きました。
「・・・声・・・声だけなら癒しだ。」
結局彼は彼の欲望に忠実に生きていたのでした。
「でていけー!!」
「・・・消えろ。」
自分の欲求に正直なために即座に退場させられた往人さん。狭い部屋の中だと言うのに見えない火花が幾重にも飛び交っていました。
「・・・金髪に近い兄・・・そんなチャラチャラしたやつより俺の方が・・・兄だ。」
クールだったころの信也君が今回は珍しいことにひっそりと参戦していました。
「確かに金髪はあかんなー。」
普段はみな、咲也君の髪を褒めるのに今日はそんなことすら却下するための要素とされたのです。
「それなら、染めてやる!ついでにメガネとスーツもだ!」
・・・受験の時すら染めなかったのに、なぜにそこまで授業参観に行きたいのかは謎だったのでした。
「一時的に直しても・・・意味ない。」
「はぁ?おまえみたいに怖い顔したお兄ちゃんより優しいお兄ちゃんのがいいに決まってんだろ?」
「おまえらは若すぎや!ここは俺に任せるべきやろ?」
「社会なら行ってみたいかなあ。」
ちなみに最後のは話すタイミングがわからなかった黒崎さんの一言でした。
一触即発の雰囲気の外側で、七海ちゃんがミーティングルームを通りすぎて違う部屋の扉をノックしました。
「あら・・・どうしたの?」
暁那さんが上品に振り返りました。七海ちゃんが背中に隠していたプリントを緊張しながら手渡しました。
「あら、授業参観なの?」
頷きます。
「そうね、私が行ってもいいかしら?」
「やったー!」
緊張が解れて七海ちゃんが嬉しくて飛び上がる姿を見ながら、暁那さんはいまだに話し合っているであろう兄たちに向けて呟くのでした。
「・・・愛がからまわりしてるのよね。」
まったくもってその通りです。なにも知らない彼らの不毛な話し合いはまだまだ続いていくのでした。
