真夜中の二時になりました。お子ちゃまの七海ちゃんが机に顔を伏せたまま寝てしまったために、部屋では太陽君と咲也君が二人で勉強をしていました。ちなみにここしばらく二人でいると女性陣から「好奇心」の表情を浮かべられるため、二人の距離はやや遠いです。
「・・・なぁ、太陽?」
「なんすか~?何かわからないんすか?」

実は太陽君はなかなか頭がよいのと年齢が上なので一部科目については咲也君に教えられる貴重な人材なのでした。

「・・・わかんねぇんだよなぁ。」

「?珍しいっすね?見せてみるっす!」

太陽君がそう言うと、なぜか咲也君は立ち上がり、勉強用にかけていたメガネをいかにもインテリ風味にクイッとあげて、シャツのボタンを外していくのでした。

「ちょーっと待て!なに始めるんすか!」

身の危険を感じたとか、感じなかったとか。

「はぁ?見せろっていったくせに!」

「なんで俺が咲也の上半身を見ないといけないんすか!?」

無駄にありあまったパワーがどんどん声量となってアップしていくのに気がつかない二人。

「うるさー・・・ぃ。」
七海ちゃんが一瞬起きあがって、すぐにまた机に伏せました。寝起きの七海ちゃんの怖さはハンパないので二人は必然的に近寄ることになったのでした。

「・・・で、なんでいきなり脱ぐんすか?筋肉の構造でも見たいんすか?」

こそこそと話し合う姿は藍音さんがよだれを垂らしかねない様子だった。
「カッコ良く脱ぎたいんだよ!大人の色気がほしいわけ・・・太陽に聞いた俺が悪かったけどさー。」

なんとなくカチンときた太陽君。まだ高校生の咲也君は確かに大学生の太陽君よりも時折見せる仕草などが大人っぽいのでした。

「俺にだってできるっす!」

「じゃあ、手本見せやがれ!」

「・・・いいっすよ!」
もはや、プライドから負けを認めたくなくなった太陽君は立ち上がって、少し下を向いた後に犬の足跡の柄のパジャマのボタンを恥ずかしそうにためらいながらチマチマと・・・

「どこの女の子だよ!」
まさしく、女の子のようにかわいらしくはずし始めたのでした。

「男ならもっとバッと脱げよ!気持ち悪ぃーな!」

ついついあつくなってしまい、太陽君のパジャマを無理やり脱がせようとする咲也君に抵抗する太陽君。

「わ!変態!やめるっす!わー!」

深夜に騒ぎ出したために、意外と声が遠くにまで響いてしまっていることに二人は気がついていなかったのでした。

「男同士だろーが!キモいんだよ!」

「変態ーっす!セクハラっすよ!」

「もぅ・・・なんなんですかぁ・・・うるさ・・・!」

あまりにも騒いだためにトラブルメーカーの七海ちゃんが起きてしまったのでした。そしていつものようにフリーズしたあとに思いっきりドアへとダッシュ!

「わーなんかデジャブっす!」

「まじ既視感だよ!太陽止めろー」

大抵ろくなことにならないので、二人は本気で止めにかかりました。

「あーいにゃー、信也にー・・うにゅ!モゴモゴモゴ!」

なんとか口をふさいだときには一歩遅く、なにごとが起こったのかと団員たちが集まってきてしまっていました。

「ちょ!あんたらなにしてんのよ!」

「・・・変態に制裁です。」

七海ちゃんは亜水弥ちゃんによって、保護されたのでした。状況が理解できずに二人が固まっていると、青い顔をした暁羅さんがやってきました。
「二人とも・・・ちーっとばかし、話がある。」
「へっ?」
「なんっすか?」

そこで二人はようやく気がついたのでした。ここに七海ちゃんを加えると自分たちが半裸な変態にしか見えないことに・・・。

「誤解だ!これには、理由がー!」

「そうっすよ!誤解っす!」

慌てふためく彼らはそのまま暁羅さんからの「教育」をされたとか。


「うふふっ・・・きょーもー可愛いよぉ!」

こんなチャンスを見逃すわけもなく、隙間からばっちりと藍音さんが見ていたことについてはもはや語るまでもないと思います。