短編なヤンデレさんをまた行います。ちなみにうちのヤンデレさんはさすがに自分から血みどろはしません(-_-;)ちょっとそれらしいことを匂わせても、それをどうとるかはお任せいたします(笑)それでは今回はお花屋さんです。
「トゲは痛くて、赤いバラ」↓お花は好きですか?・・・そうですか。それならきっとこちらがオススメですよ。
キレイナアカデショ?




ここは小さな花屋さん。町の片隅にそっとまるで芝生に生えてしまったスミレのように、ひっそりといつもみなさんを見ています。
そんな小さな花屋ですがここも金曜日はお客さんがたくさんきます。
そして、いつもあなたはくるの。
そう、公園の鐘が八時を教えてくれるとき、あなたはいつも足早にここにやってくるの。

「すいません・・・花束を・・・」

ほらやっぱり今日もきた。あなたの足音で私にはすべてがわかるの。
だから私はとびきりの笑顔を準備するの。

「いらっしゃいませ、いつもの感じでよろしいですか?」

彼は恥ずかしそうに頬を少し赤くするとしっかりと頷いて私に笑い返す。
「いつもすいません・・・お願いします。」

「ふふ、大切なお客様なんですから、頭を下げたりしないでください。」
私は静かに何本かお花を手にした。淡いピンクの小さなマーガレットに純白のかすみ草をアクセントにする。そして丁寧にオレンジのリボンをつける。
可愛い。
小さなブーケはとっても可愛くて・・・これがもらえる人はなんて幸せなんだろうって羨ましくなりながら、最終チェックを行った。

「はい、どうぞ。」

私が花束を手渡すと、彼はとたんに瞳を少年のように輝かせながら、大切そうに握りしめた。
こんなに喜んでもらえるのならきっとお花たちも幸せだろう。そして、私もそんな彼を見ることができて幸せ。

「ありがとうございます。きっと、あいつ喜びます。」

深々と頭を下げた後に彼はそっと一枚の硬貨を取り出した。
この花束は500円。
彼はお金がないのに大好きな人のために毎週お花を買いにくる。他の花屋さんでは断られたそうだ。・・・当たり前だ。
500円でここまでお花を入れたらつぶれてしまう。でも、私は良いと思ったの。この笑顔と、楽しそうな声を聞いたら・・・それすらも高いような気までした。

「喜ばれると良いですね。」

「はい!」

私はいつも彼の背中を見送った。そして、彼に思われている幸せな彼女に嫉妬した。


今日はいつもより片づけに時間がかかってしまったから、私は最終電車に乗ることになった。
そこにあの「オレンジのリボン」が目に付いた。
女の人が、「あのブーケ」をゴミ箱へと投げ捨てていた。なにやら携帯で大きな声で話していた。
「マジ、あいつ金なくてさー今時こんな花束小学生だってよろこばねーって!」

下品な笑い声が響いていた。私の頭には彼の幸せそうな笑顔と幸せになるはずだった「花たち」の姿がなんどもよぎった。
気がついたら電車はいなくなっていた。私はゴミ箱から花たちを拾い上げて、ちょっと遠いけど歩いて帰ることにした。

「・・・来週もくるかしら・・・。」

来週もきたら・・・私はどんな顔をして花束を作ったらいいのだろう。

「ねぇ、どう思う?」

私は花たちに話しかけた。答えてくれるはずなんかないけど、私は花たちに語りかけたのだ。

ー私たちを大切にしない人なんか嫌いー

「そうよね・・私も・・・嫌いよ。」

確かにこの子たちは私にかえしてくれた。そして私は考えたの。

「・・・赤いバラを・・・仕入れよう。」

赤い、赤い・・・そう赤いバラを準備しよう。ちょっとトゲが大きくて堅い奴。いつもなら彼は「高いから」といって「バラ」を拒むけど・・・今回はサービスをしてあげよう。
きっとあの人も気に入るはずだわ。
気高いバラはきっとあの人を許したりなんかしないから・・・うんと赤いバラを用意しておこう。
「そう・・・まるで、私の中を流れているもののような・・・赤。」

私は鼻歌を歌いながら、家へと帰った。早く帰ってお花たちを花瓶に入れてあげなくちゃ。これはきっと「彼からの」プレゼントなんだから・・・。

「・・・大切にするからね。」

花たちが笑っていた。
だから私も笑いかえした。
これからはずっと一緒にいられる。

お花も彼も・・・いらないのなら、私が大切に大切に育ててあげるわ。
あなたはせいぜい指をくわえてみてたらいいわ。
「・・・とげに気をつけて。」

美しさに目をとられてトゲにささることなんかないように、ね。




end.