突然ですが、もしもあなたの目の前に・・・まさに理想にぴったりの人がいて、さらにその人に好きです。なんて言われたらどうしますか?

今、往人さんは生きてきた中で最大級に困っていました。

「私、往人さんのことがしゅーきです!はぅ・・・かんじゃった。」

告白された。
知らない子に。というか彼を知っている人は間違いなく彼に告白なんかしない。だから往人さんはとまっていた。
しかも舌をかんだ。
今時珍しい。ドジッ子だ。

「あれあれ??あの~?」

あまりに返事がなかったために女の子が心配そうに往人さんの顔をのぞき込んでいました。
ツインテールは神業だ。いつしか呟いた自分のせりふは立証されたと往人さんは思いました。
なんで告白なんてされているのかはわからないが・・。

「・・やっぱり私なんかじゃ、だめだめ??」

往人さんはじーっと少女を見つめていました。身長はだいたい145センチ胸はないに等しく、ランドセルから見ても小学生だと思われる。

「・・理想・・・だ。」
まるでゲームの中から飛び出してきたような少女の姿には正直心を打たれました。まさしく、理想の少女だったのです。
診察室にはその子と二人。当たり前だ、この子は患者なのだから。そして自分は小児科医だ。

「ねぇー、往人さん?やっぱり・・・お子ちゃまだから・・・だめなのかにゃ・・・。」

・・・狙っているのか?素なら、素晴らしい子どもだ。
なによりも「人間の子ども」が苦手なはずの自分が普通にはなせている。特殊なシチュエーションだな。

「・・・君は・・・。」
なにかを聞きかけて、隣のカーテンから見ていたらしくほぼ、同じサイズの女が二人の間にわってはいった。

「だめだよ!あなた、もっと自分を大切にしなきゃ。医者がいいなら、もっと素敵なお医者さんだっているから!」

この子を守らなくちゃ。七海ちゃんからはひしひしと往人さんに対する「ロリコンになっちゃだめ!」光線がでていた。

「でも・・・私、往人さんが・・・」

もじもじ・・・なんと可愛らしい子なんだろう。迂闊にも、咲也の気持ちが分かってしまった。
このくらいの子ならなんとか許せる気がする。

「!?・・・それは気持ちの誤りだよ。」

悟りを開いたような表情で七海が、女の子に語りかけていた。

「女の子にはね、大人の男に興味がでちゃう時期があるの・・・でもそれは、気の間違いよ。」

「え、でも・・・でも。」

・・・それはおまえだけだろと言いたかったけどなぜか言わなかった。

「それから、白衣もポイント高いよね。」

「はい!高いです。」

なにやら同調している。どうやら七海は、心もまだまだ小学生レベルだと言うことだ。二人は楽しそうに笑っていた。
それからいろんな話をしていた。
次の患者はどうしようか・・・ため息しかつけなかった。

「すっごーく、勉強になりましたぁ!またきます!七海さんありがとうございます。」

結局二時間後まで二人は楽しそうに話し合っていた。止めるのは無粋だよな。往人さんにはもはや用はないらしく、女の子は元気になって帰って行ってしまった。

「営業妨害・・・だ。」
今日はあまり患者がこなかった。かわりにとなりの医師が大変だったらしい。あとから恨めしそうに見られた。

「失礼な、カウンセリングです!」

・・・もしも、なにかがあって開業したとしてもこの脳内お花畑なカウンセラーだけは、雇わないようにしよう。
静かに決意をした瞬間だった。

「明日もこよー。」

「・・・誰か、引き取ってくれ。」

咲也と珱稚のありがたさが身にしみた瞬間だった。