もはやみんなの共通概念となりつつあるのが、七海ちゃんは極度のブラコンである。悲しいことにもはや誰もそこは疑ったりしない。
だから、何かがあってもたいていは七海と咲也がまたバカやっているですまされてしまうのだった。
しかし・・・
「~・・・なの、兄さんはー・・・・?」
太陽君が真夜中の真っ暗な廊下を歩いているとどこかの部屋から妙に鼻にかかった甘い声が聞こえてきました。・・・また七海と咲也がらぶらぶしてるんすか?まったくーと思いながら太陽君は、部屋の前を通り過ぎようとして・・・「違和感」に気がついたのでした。
あれ?おかしい・・・だって七海は「俺が出てきた部屋」で寝ていた。さらには咲也は「今日は合宿だから七海を頼む」そう言いながら、朝出て行った。
「えー、ひど・・・いーじーわーるぅ!」
幻聴?いや、違う・・・太陽君は息をのんだ。
はっきり聞こえた。これが間違いであるはずがない!?
誰か・・・もっと「ブラコン」がいる!?
おそるおそる、明かりの漏れる部屋へと足を運んだ。隙間から少しだけ覗いてみた。
「ーなのにぃ、でもでもでしょ?ねぇ、お兄ちゃん。」
・・・誰?
だれかが男の首に甘えるように手を回しながらなにかを訴えていた。しかし、緊張のせいか二人が誰なのかがわからない。もう少し、あと少し・・・!
「私が一番でしょ?も、頑張ってるんだよ?」
その瞬間に・・・雲が流れて月明かりがカーテンから優しく部屋を照らした。
「!?」
そこにいたのは、団長と副団長だった。彼らは血のつながった「兄弟」であり・・・ある意味、「あり得ない」話ではなかった。
しかし・・・常々のクールな暁那さんの態度を考えるとこれはやはり「認めがたい」現実でしかなかった。
「・・・夢っすか?」
悪い夢なきがしてきた。やはりあまりに「現実」ではない。
立ちすくんでいた太陽君に・・・中から小さな声がかかった。
「そう、これは夢よ?」
いつの間にか、暁那さんが目の前にいて、そのまま彼の意識は・・・ブラックアウトしたのだった。
「太陽?なにこんなとこで寝てるんだ?」
朝になって、帰ってきた咲也君によって彼は発見された。なぜか廊下で寝ていたらしく体があちこち痛かった。
しかし、なんであんな所にいたんだっけかと頭をフル回転してみたが・・・。
「?あれ・・・なにがあったんだっけ?」
何かが引っかかって分からなかった。咲也にあきれたような目で見られて・・・太陽君はもはや「ブラコンな妹」の存在なんて忘れてしまった。
「・・・迂闊だったわ。」
曲がり角の先では暁那さんが小さく息を吐いていた。
「やはり・・・公私混同はいけなかったわね。」
もう一人の「ブラコン」。なにも兄に甘えたいのは「お子ちゃま」だけではないのだ。たまには「お姉さん」だって甘えてみたくなる。
「・・・たまによ。」
にやりと笑いながら、暁那さんはまた「旅にでた」兄に笑いかけた。またしばらくは彼女が実質の「リーダー」とならなくてはならないのだ。
「甘え」は許されない。年長者の自分はみなの「目標」でなくてはいけないのだ。
それでも、リーダーであってもなんであっても・・・彼女だって本当は
「まだ迷いのある女性」でもあるのだ。
帰ってきたら・・・またうーんと甘えてやろう。それくらいは誰にもバレさえしなければきっと許されるはずだ。
「・・・兄さん。」
小さくつぶやいた。
兄さん。
それはある意味彼女にとっての強くあるためのおまじないでもあった。
どんなに兄らしくなくても世界に一人しかいない・・・大切な兄。
「早く、帰ってきなさい。」
私だって本当は、不安なのよ。そうつけ加えたかったが、それは飲み込むことにした。
みんなが彼女の思いを知ったのはそれからさらに、時間がたった頃の時だったのだった。
だから、何かがあってもたいていは七海と咲也がまたバカやっているですまされてしまうのだった。
しかし・・・
「~・・・なの、兄さんはー・・・・?」
太陽君が真夜中の真っ暗な廊下を歩いているとどこかの部屋から妙に鼻にかかった甘い声が聞こえてきました。・・・また七海と咲也がらぶらぶしてるんすか?まったくーと思いながら太陽君は、部屋の前を通り過ぎようとして・・・「違和感」に気がついたのでした。
あれ?おかしい・・・だって七海は「俺が出てきた部屋」で寝ていた。さらには咲也は「今日は合宿だから七海を頼む」そう言いながら、朝出て行った。
「えー、ひど・・・いーじーわーるぅ!」
幻聴?いや、違う・・・太陽君は息をのんだ。
はっきり聞こえた。これが間違いであるはずがない!?
誰か・・・もっと「ブラコン」がいる!?
おそるおそる、明かりの漏れる部屋へと足を運んだ。隙間から少しだけ覗いてみた。
「ーなのにぃ、でもでもでしょ?ねぇ、お兄ちゃん。」
・・・誰?
だれかが男の首に甘えるように手を回しながらなにかを訴えていた。しかし、緊張のせいか二人が誰なのかがわからない。もう少し、あと少し・・・!
「私が一番でしょ?も、頑張ってるんだよ?」
その瞬間に・・・雲が流れて月明かりがカーテンから優しく部屋を照らした。
「!?」
そこにいたのは、団長と副団長だった。彼らは血のつながった「兄弟」であり・・・ある意味、「あり得ない」話ではなかった。
しかし・・・常々のクールな暁那さんの態度を考えるとこれはやはり「認めがたい」現実でしかなかった。
「・・・夢っすか?」
悪い夢なきがしてきた。やはりあまりに「現実」ではない。
立ちすくんでいた太陽君に・・・中から小さな声がかかった。
「そう、これは夢よ?」
いつの間にか、暁那さんが目の前にいて、そのまま彼の意識は・・・ブラックアウトしたのだった。
「太陽?なにこんなとこで寝てるんだ?」
朝になって、帰ってきた咲也君によって彼は発見された。なぜか廊下で寝ていたらしく体があちこち痛かった。
しかし、なんであんな所にいたんだっけかと頭をフル回転してみたが・・・。
「?あれ・・・なにがあったんだっけ?」
何かが引っかかって分からなかった。咲也にあきれたような目で見られて・・・太陽君はもはや「ブラコンな妹」の存在なんて忘れてしまった。
「・・・迂闊だったわ。」
曲がり角の先では暁那さんが小さく息を吐いていた。
「やはり・・・公私混同はいけなかったわね。」
もう一人の「ブラコン」。なにも兄に甘えたいのは「お子ちゃま」だけではないのだ。たまには「お姉さん」だって甘えてみたくなる。
「・・・たまによ。」
にやりと笑いながら、暁那さんはまた「旅にでた」兄に笑いかけた。またしばらくは彼女が実質の「リーダー」とならなくてはならないのだ。
「甘え」は許されない。年長者の自分はみなの「目標」でなくてはいけないのだ。
それでも、リーダーであってもなんであっても・・・彼女だって本当は
「まだ迷いのある女性」でもあるのだ。
帰ってきたら・・・またうーんと甘えてやろう。それくらいは誰にもバレさえしなければきっと許されるはずだ。
「・・・兄さん。」
小さくつぶやいた。
兄さん。
それはある意味彼女にとっての強くあるためのおまじないでもあった。
どんなに兄らしくなくても世界に一人しかいない・・・大切な兄。
「早く、帰ってきなさい。」
私だって本当は、不安なのよ。そうつけ加えたかったが、それは飲み込むことにした。
みんなが彼女の思いを知ったのはそれからさらに、時間がたった頃の時だったのだった。
