気分転換に短編です。
お題は「空」「鳥」「桜」たまたま目に入っただけなので深い意味はありません。普通のお話を目指します。
~未来~
ー未来って知ってる?
ー・・・みらい?
ーそうだよ。未来だ。
目覚めは最悪。また妙な夢を見た。
「未来」
なんてこの国にはない。どうせ、もうすぐ滅びるのだから・・・いつからか、誰もが「明日」がくることを恐れ・・・深い穴の中で眠り続けた。
私だってたまたま目が覚めただけだ。
早く寝よう。最後にみたのが自分の苦しむ姿なんてイヤすぎる。
「どうせ・・・寝てる間にすべては終わるのだから。」
平和だと思っていたこの国はあっけなく壊れた。それは「テロ」だったとか「第三次核戦争」とか様々に呼ばれたが・・・今更そんな「名前」なんて意味をなさない。
人は「他人」を信じられなくなりそのうち「自分」すら信じることができなくなった。
それはたちの悪いウイルスのように人々に「感染」して「絶望」を広めていった。
いつからか「空」は黒く染まり・・・「時」は刻まれなくなった。
そして人々はそれをいつしか「怖がる」ことすらしなくなった。
そんなとき一人の青年が、現れた。
ーあと10年で、この国は完璧に闇に包まれます。
人々は口々に文句を言ったり、彼を嘘つきだと言って・・・ヒドいことをたくさんした。彼はそれでも訴え続けた。
ー空は、未来。未来は空。・・・青い空を思い出してください。
誰も信じなかった。
そのうち、彼は悲しそうな顔をしながら空へと溶けていってしまった。
彼はなにものだったのか・・・私たちがそれに気がついたときにはすべてが遅かった。
誰かの声が毎日よみがえってくる。それは私にだけ聞こえていたらしい。誰に言ってもわかってもらえなかった。
「聞こえる。」
私は、思わず何年も開くことをしなかった窓へと駆け寄った。
ー・・・未来。
「聞こえる!」
開けてはいけないと言われた窓を、私は開けた。
「・・・えっ?」
真っ暗な中を小さな白い鳥が飛んできた。きらきら光ながら・・・私のそばへと飛んできた。
「・・・どうして?」
動物はすべて滅びたはずだった。まだ、空が青かった小さな頃に私は泣く泣くこの「鳥」を「空」へと帰した。
その鳥が・・・私をみながら小さく首を傾げた。
「・・・みら・・・い」
鳥が小さく呟いた。
それは懐かしい声だった。
「そぅ・・・私は未来だよ。」
涙があふれた。
彼がいなくなったあの日から「未来」はなくなった。私の名前は「未来」で、私はその日「自分」を失った。
「みらぃ・・・みらぃは・・・」
「空だよ。未来は空・・・。」
「・・・そうだよ。ありがとう。」
瞬間的に光が広がった。そこにはもう一人の私がたっていた。
「ごめんね・・・あの時、手を離して。」
ずっと一緒にいるって約束したのに・・・あの日私は痛みに耐えかねて「半身」を捨ててしまった。
「大丈夫。思い出してくれたから・・・まだ間に合うよ。」
世界が「ズレた」のは、私たちのせい。
「未来が空を手放したから」
「空が未来を許したから」
もう、二度と・・・離さないから。
「いたぞ!やっぱりこいつらが災いを詠んだんだ。」
私たちは、静かに「手」を握りあった。懐かしいこれは元々「私」であって「あなた」だった。
赤い瞳に金色の髪。
私たちはただでさえ縁起の悪い双子だというのにさらに呪われた双子と言われた。
「こいし・・・こいしや・・・」
「くちおし・・・くちおし・・・」
なだらかなメロディー。これは私たちが母から教わったたった一つの歌だった。
空の声に私の声がのる。心地いい。
私たちは「声」を広げた。「空気」が震え・・・そして「花びら」となり真っ暗な世界を染めていった。
恋しい、桜が恋しい。
口惜しい・・・散っていった桜が口惜しい。
私たちは、この国を守るために・・・小さな木になった。少し距離はあるけど、二人でこの国を守るために・・・北と南に分かれた。
大好きだよ。
空が。
未来が。
この国が。
小さな鳥が私たちの言葉を伝えてくれる。人々は私たちを見て恐れたりしなくなった。
みんなが言ってくれた。
ー綺麗だね。
私たちはきっとこの国で一番の綺麗をもらった。
お題は「空」「鳥」「桜」たまたま目に入っただけなので深い意味はありません。普通のお話を目指します。
~未来~
ー未来って知ってる?
ー・・・みらい?
ーそうだよ。未来だ。
目覚めは最悪。また妙な夢を見た。
「未来」
なんてこの国にはない。どうせ、もうすぐ滅びるのだから・・・いつからか、誰もが「明日」がくることを恐れ・・・深い穴の中で眠り続けた。
私だってたまたま目が覚めただけだ。
早く寝よう。最後にみたのが自分の苦しむ姿なんてイヤすぎる。
「どうせ・・・寝てる間にすべては終わるのだから。」
平和だと思っていたこの国はあっけなく壊れた。それは「テロ」だったとか「第三次核戦争」とか様々に呼ばれたが・・・今更そんな「名前」なんて意味をなさない。
人は「他人」を信じられなくなりそのうち「自分」すら信じることができなくなった。
それはたちの悪いウイルスのように人々に「感染」して「絶望」を広めていった。
いつからか「空」は黒く染まり・・・「時」は刻まれなくなった。
そして人々はそれをいつしか「怖がる」ことすらしなくなった。
そんなとき一人の青年が、現れた。
ーあと10年で、この国は完璧に闇に包まれます。
人々は口々に文句を言ったり、彼を嘘つきだと言って・・・ヒドいことをたくさんした。彼はそれでも訴え続けた。
ー空は、未来。未来は空。・・・青い空を思い出してください。
誰も信じなかった。
そのうち、彼は悲しそうな顔をしながら空へと溶けていってしまった。
彼はなにものだったのか・・・私たちがそれに気がついたときにはすべてが遅かった。
誰かの声が毎日よみがえってくる。それは私にだけ聞こえていたらしい。誰に言ってもわかってもらえなかった。
「聞こえる。」
私は、思わず何年も開くことをしなかった窓へと駆け寄った。
ー・・・未来。
「聞こえる!」
開けてはいけないと言われた窓を、私は開けた。
「・・・えっ?」
真っ暗な中を小さな白い鳥が飛んできた。きらきら光ながら・・・私のそばへと飛んできた。
「・・・どうして?」
動物はすべて滅びたはずだった。まだ、空が青かった小さな頃に私は泣く泣くこの「鳥」を「空」へと帰した。
その鳥が・・・私をみながら小さく首を傾げた。
「・・・みら・・・い」
鳥が小さく呟いた。
それは懐かしい声だった。
「そぅ・・・私は未来だよ。」
涙があふれた。
彼がいなくなったあの日から「未来」はなくなった。私の名前は「未来」で、私はその日「自分」を失った。
「みらぃ・・・みらぃは・・・」
「空だよ。未来は空・・・。」
「・・・そうだよ。ありがとう。」
瞬間的に光が広がった。そこにはもう一人の私がたっていた。
「ごめんね・・・あの時、手を離して。」
ずっと一緒にいるって約束したのに・・・あの日私は痛みに耐えかねて「半身」を捨ててしまった。
「大丈夫。思い出してくれたから・・・まだ間に合うよ。」
世界が「ズレた」のは、私たちのせい。
「未来が空を手放したから」
「空が未来を許したから」
もう、二度と・・・離さないから。
「いたぞ!やっぱりこいつらが災いを詠んだんだ。」
私たちは、静かに「手」を握りあった。懐かしいこれは元々「私」であって「あなた」だった。
赤い瞳に金色の髪。
私たちはただでさえ縁起の悪い双子だというのにさらに呪われた双子と言われた。
「こいし・・・こいしや・・・」
「くちおし・・・くちおし・・・」
なだらかなメロディー。これは私たちが母から教わったたった一つの歌だった。
空の声に私の声がのる。心地いい。
私たちは「声」を広げた。「空気」が震え・・・そして「花びら」となり真っ暗な世界を染めていった。
恋しい、桜が恋しい。
口惜しい・・・散っていった桜が口惜しい。
私たちは、この国を守るために・・・小さな木になった。少し距離はあるけど、二人でこの国を守るために・・・北と南に分かれた。
大好きだよ。
空が。
未来が。
この国が。
小さな鳥が私たちの言葉を伝えてくれる。人々は私たちを見て恐れたりしなくなった。
みんなが言ってくれた。
ー綺麗だね。
私たちはきっとこの国で一番の綺麗をもらった。
