なんだかんだでウダウダしてしまったのでここらでいったん切ろうと思います。消化不良はいつものことですから、申し訳ありません(-_-;)
前はどこにあるのかも怪しいくらいです。
そのうちまとめますからおまちください!
「ヤンデレさんの欲しいもの・9」↓きっとあなたは忘れるでしょう。私のことなんか…。でも、もしも忘れなかったのなら永遠に終わらないゲームに導いたげる。



目が覚めたら、俺は普通にベッドの上で眠っていた。時計を見たが、いつも通りにお昼を過ぎていた。
だるい体を、ゆっくりと起こしながら、とりあえずパソコンの電源をつけることにした。

ーちゃんと学校に行くんだよ!ー

電源ボタンを押そうとした手が止まった。無意識のうちに…ずっと手を通してなかった制服を探していた。
いまさら学校なんて…行く気にはならない。学校に行ったって…どうせ浮くだけだ。
なのに、手が止まらなかった。袖を通して、ボタンをしめていく。

「弘樹ー、あんたいいか…」

姉貴がドアを開けて入ってきて固まっている。

「…ノックしろよ。」

まったく…プライバシーもなにもあったもんじゃない。
そのままの流れでネクタイをしめていく。姉貴は固まったままだった。

「…時間割…」

今から行っても午後の授業しか受けれないな。確か、今日は化学から始まるんだっけか。

「…教科書…」

一回も開いていない教科書を手にとって鞄に詰めた。最後に筆箱を探し当てて、鞄を背負う。

「じゃ、行ってきます。」

「あ、え…行ってらっしゃい…ってーお母さん!!弘樹が、弘樹がー!」
我が姉ながらうるさい。そして母親が血相を変えてやってきた。そして俺の姿を見て同じように固まる。まったく…似たもの親子だよ。

「ひ…ろき?あなたその格好…。」

母さんは、今にも泣き出しそうだった。俺は時間がないからちょっとだけ笑って手を振った。

「行ってきます。」

ー弘樹!頑張って…頑張って…大丈夫。ゆゆが一緒だからね。ー

そうだ。俺は一人じゃない。俺にはゆゆがいる。だから、大丈夫。一緒にいれば俺は強くなれるんだ。







「まさか…あのゲームがここまで効果があるなんて…」

残された姉は、弟の変わりぶりを見て自分がプレゼントしたゲームが、どれだけの効果があるのかをやっと知った。
ふと、パソコンを見るとそこには真っ暗な画面の中になにか文字が浮かんでいた。
気になったから目を凝らしてみたがよくわからない。

「えっと…どーやるんだっけ?」

自慢じゃないが、パソコンはまったく使えない。携帯だってやっと使っているくらいの古代人なのだ。
とりあえず、カチカチと画面をクリックしてみた。すると文字が大きくなった。

ーつづけますか?ー

「つづけますか?なんのことだろ?」

そのまま吸い寄せられるように、その文字をクリックしてみた。

「はじめまして!」

「うわっ!?な、なんだ…ゲームか。えっと…はじめまして!」

画面では女の子が可愛らしく微笑んでいた。特に、興味はなかったけど…なんとなく返事をしてしまった。

「…弘樹のお姉さんですね。」

感心した。最近のゲームは本当によくできたものだ。そんなことまでわかるなんて…。

「えっと…そうよ。弘樹の姉です。」

画面の女の子が笑った。なにか、気味の悪い笑い方だった。

「…交換しましょ…。」
「こう…かん?」

意味が分からずに、繰り返してしまった。その瞬間にモニターに光が溢れた。

「弘樹は一人じゃ何にもできないから…これからはゆゆがずっとついててあげないと!」

あれ?私の声が…どこか遠くで聞こえる。おかしいな…なんだか、自分じゃないみたい。

「この体、結構いい感じですよ~。でも、これからゆゆがもっと可愛くしちゃいますね!」

くるくると鏡の前で「私」が楽しそうに回っている。

「これからは…お姉ちゃんが…ずっとそばにいるからね。」

階段を楽しそうに降りていった。そして、思い出したかのように私が戻ってきた。

「お姉さん…これからは、あなたがゆゆよ。頑張って…ね?」

やっと理解した。
私は信じられないことに…ゲームに吸い込まれたんだ…そして、そこにいる私はもう私じゃない…。

「やだ!?だして…!出してよ!」

画面をはたくけど全く意味はない。
イヤダイヤダイヤダ…どうして私がここにいなきゃなの?

「…うるさぃ…えーぃ!きょうせーしゅーりょー!」

「私」がパソコンのコンセントを手に笑っている。

「やめ…!」

「えぃ!」

すべての明かりが消えた…私にはなにも残らなかった。意識が沈んでいく中で…「私」の声が聞こえてきた。

「大丈夫…きっとまた誰かが…あなたまでたどり着くから…。」

永遠に終わらないゲームの世界。
私はそこに住むことになった。


ーend。