～世間知らず～

世間知らず。
涼風には世間知らずがたくさんいます。頭はいいのに何かが抜けている・・・いや、基本的な知識がない人がいる。
元祖世間知らず「珱稚先生」
読み方によっては「おうじ」にもなるため、彼の犯した失敗は「王子伝説」と呼ばれている。
そして新たな世間知らず「黒崎さん」彼の失敗は珱稚先生に対抗して「王様伝説」と呼ばれている。

今日だって、危なかったのだ。

「だから、卵は電子レンジにいれちゃだめです！」

台所には料理だけが得意な七海ちゃんが泣きそうになりながら、自分より30センチほど大きな男たちに説教をしていました。二人の手には卵が持たれていました。

「？なんでだよ？」

「電子レンジって便利だよな？」

・・・こいつらは、過去に自分たちがゆで卵を作ろうとして電子レンジの中で爆発をさせたのを忘れたというのだろうか？七海ちゃんは、深くため息をついた。

「卵は・・・レンジにいれちゃだめです。」

・・・二人とも頭がいいんだから、こんくらいは理解してよと泣きたくなった。難しい計算や法律よりも・・・もっと大切なことだ。下手したら火事とか、なにが起こるかわからないんだから。

「だから、今回はアルミホイルで包んだんだ！」
黒崎さんが自信満々に卵をかかげてみせた。
・・・気がついて良かった。七海ちゃんは、真剣に思った。もしかしたら本当に今ごろはここが破壊されていた可能性があった。

「・・・アルミホイルなんて余計だめです。」

もはや説明をするだけの余力もないんです。ごめんなさい・・・あとは誰かに聞いてください。七海ちゃんは二人から卵を取り上げました。

「ゆで卵は、大人しくお湯から作ってください。」

鍋に水をいれて、七海ちゃんは塩をとってきたりするために少しの間二人に背中を向けていました。しかし振り返ったときに・・・地獄をみました。

「！？なにごと！」

鍋の中には卵。
しかしなぜか殻はむかれていました。それをなんとかつかもうと箸でつついている珱稚先生。

「頑張れ！珱稚頑張れ！」

なぜか、黒崎さんが応援をしています。手先が器用な珱稚先生に卵の未来がたくされていたようでした。

「くっ・・ダメだ・・・つかめない。」

もはや、卵はでろでろ・・・と言いますか、まぜられたことにより水と一体化しつつあります。

「・・・なにを・・・作ってるんですか？」

おそるおそる・・・七海ちゃんが口を開きました。残念ながら咲也君の料理もひどいですが・・・むしろ、この二人はもっと違った部分が最悪だったのでした。

「「ゆで卵！」」

・・・あぁ、笑顔が可愛いです。
それでも、彼女は・・・言わなくてはならないのでした。

「・・・これから一切・・・台所にはたたないでください。」

「「なんで！？」」

「・・・なんでもです。」

初めて・・・七海ちゃんのスマイルに潜んでいる暗黒に振れた二人は・・・震えながら

「はい。」
「わかったよ。」

・・・そう答えるしかないのでした。