今となっては黒崎さんは涼風をまとめる団長という立場に立ったため、みんなから慕われるようになりましたが、なぜか彼がいなくなる前のことをしっかりと覚えている人は少ないのでした。
「あー!懐かしい。これっていつの写真だろ?」
珍しく、書斎の手入れをしていた七海ちゃんが小さな冊子を手にしながらニマニマとしていました。それは一年に一度のペースで昔からとられていた集合写真でした。
ちなみに暁羅さんが団長の時にはイヤと言うほどの写真がとられていました。
「・・・これは?」
なんとなく見ていたら、確かにこんな顔してたよなーなんてみんなの今から見たら、幼い顔にちょっと不思議な気分になりました。
そして後ろに一人だけ見たことがない人がいました。
「・・・こんな人いたかな?」
常に、一歩引いたあたりに立っているちょっと真面目な顔をした黒髪の青年がいました。
なんというか存在感がない。まるで優麗だと言われたら信じてしまいそうな顔だったのです。
「なに見てるんすか?」
太陽さんが不思議そうに写真を眺めている七海ちゃんに気がついて、声をかけました。七海ちゃんは一連の少年の写真を見せました。
「ほんとっすね?なんで記憶にないのか・・・。」
どうやら彼にもその人が誰なのかがわからないようでした。まるで空気みたいに自然に周りに溶け込んでいました。少年はなぜか必ず誰かの影にいました。
表にでている写真は一枚もありません。
「背後霊・・・とか?」
「ま、まさか・・・。」
二人は言い知れぬ不安におそわれました。そして、ゆっくりと記憶をたどってみました。どこかでなにかが引っかかることを・・・期待して。
「・・・おかしいよ。まったく記憶にないはずなんてありえないよ。」
どのページにもその少年はひっそりと写り込んでいました。太陽さんも、改めてページをめくりながら顔をしかめていました。二人が入団する前の写真ならわからないこともないのですが、あいにく二人がうつっていた写真にもそれはバッチリうつっているのです。
「・・・身長もあんまし高くないみたいっすね。それからメガネ・・・普段からメガネをかけてたらイヤでも覚えているはずなんっすけど・・・。」
ちなみに涼風は目が悪い人が多いけど、コンタクト普及率も高いのでした。
高くない身長。
メガネ。
今いるみんなに当てはめてはみるが・・・
「だめだ・・・やっぱりわかんないよ。」
「おかしいっすね。」
二人は乾いた笑い声を上げるので精一杯でした。なにせ、それなりに由緒ある劇団なんだから・・・もしかしたら一人くらいは未練を残しているかもしれない。
「・・・燃やそう。」
「ナイスアイデアっす。」
まったくナイスじゃないです。しかし恐がりな二人はもはやまともな思考なんて残っていません。太陽さんがライターを握りしめました。
小さな炎がアルバムに近づきます。
「おまえらーなにしてんだ!」
通りかかった黒崎さんが慌ててアルバムをとりあげました。二人が光のない目で彼を見つめています。
「・・・悪霊だったら・・・大変だよ。」
「供養・・・しないとっす。」
若干おびえながら、黒崎さんが手にしたアルバムを開いていました。
「これは燃やしちゃまずいだろ・・・でも懐かしいなぁ。」
あと少しで涼風の歴史が消えるところでした。
「・・・!?黒髪!」
七海ちゃんが声を上げました。つられて太陽さんもなにかを思い出したみたいで、立ち上がりました。
「メガネっす!」
「な、なんだよ?」
急に鮮明になったイメージに二人は驚きました。
「「黒崎さんだったんだ!」」
そうだったのです。今でこそ逆ナンされるような男になった黒崎さんでしたが、昔は背も低く、メガネをかけた咲也君がジャイアンならまさにのびた君な少年だったんでした。
「人って・・・」
「変わるんすね。」
二人はしばらく意味が分かっていない黒崎さんの顔と写真を見比べていました。
「整形疑惑?」
まさかそんなことを確かめることはできないためこれは太陽さんと七海ちゃんの二人だけの秘密と言うことになりました。
「あー!懐かしい。これっていつの写真だろ?」
珍しく、書斎の手入れをしていた七海ちゃんが小さな冊子を手にしながらニマニマとしていました。それは一年に一度のペースで昔からとられていた集合写真でした。
ちなみに暁羅さんが団長の時にはイヤと言うほどの写真がとられていました。
「・・・これは?」
なんとなく見ていたら、確かにこんな顔してたよなーなんてみんなの今から見たら、幼い顔にちょっと不思議な気分になりました。
そして後ろに一人だけ見たことがない人がいました。
「・・・こんな人いたかな?」
常に、一歩引いたあたりに立っているちょっと真面目な顔をした黒髪の青年がいました。
なんというか存在感がない。まるで優麗だと言われたら信じてしまいそうな顔だったのです。
「なに見てるんすか?」
太陽さんが不思議そうに写真を眺めている七海ちゃんに気がついて、声をかけました。七海ちゃんは一連の少年の写真を見せました。
「ほんとっすね?なんで記憶にないのか・・・。」
どうやら彼にもその人が誰なのかがわからないようでした。まるで空気みたいに自然に周りに溶け込んでいました。少年はなぜか必ず誰かの影にいました。
表にでている写真は一枚もありません。
「背後霊・・・とか?」
「ま、まさか・・・。」
二人は言い知れぬ不安におそわれました。そして、ゆっくりと記憶をたどってみました。どこかでなにかが引っかかることを・・・期待して。
「・・・おかしいよ。まったく記憶にないはずなんてありえないよ。」
どのページにもその少年はひっそりと写り込んでいました。太陽さんも、改めてページをめくりながら顔をしかめていました。二人が入団する前の写真ならわからないこともないのですが、あいにく二人がうつっていた写真にもそれはバッチリうつっているのです。
「・・・身長もあんまし高くないみたいっすね。それからメガネ・・・普段からメガネをかけてたらイヤでも覚えているはずなんっすけど・・・。」
ちなみに涼風は目が悪い人が多いけど、コンタクト普及率も高いのでした。
高くない身長。
メガネ。
今いるみんなに当てはめてはみるが・・・
「だめだ・・・やっぱりわかんないよ。」
「おかしいっすね。」
二人は乾いた笑い声を上げるので精一杯でした。なにせ、それなりに由緒ある劇団なんだから・・・もしかしたら一人くらいは未練を残しているかもしれない。
「・・・燃やそう。」
「ナイスアイデアっす。」
まったくナイスじゃないです。しかし恐がりな二人はもはやまともな思考なんて残っていません。太陽さんがライターを握りしめました。
小さな炎がアルバムに近づきます。
「おまえらーなにしてんだ!」
通りかかった黒崎さんが慌ててアルバムをとりあげました。二人が光のない目で彼を見つめています。
「・・・悪霊だったら・・・大変だよ。」
「供養・・・しないとっす。」
若干おびえながら、黒崎さんが手にしたアルバムを開いていました。
「これは燃やしちゃまずいだろ・・・でも懐かしいなぁ。」
あと少しで涼風の歴史が消えるところでした。
「・・・!?黒髪!」
七海ちゃんが声を上げました。つられて太陽さんもなにかを思い出したみたいで、立ち上がりました。
「メガネっす!」
「な、なんだよ?」
急に鮮明になったイメージに二人は驚きました。
「「黒崎さんだったんだ!」」
そうだったのです。今でこそ逆ナンされるような男になった黒崎さんでしたが、昔は背も低く、メガネをかけた咲也君がジャイアンならまさにのびた君な少年だったんでした。
「人って・・・」
「変わるんすね。」
二人はしばらく意味が分かっていない黒崎さんの顔と写真を見比べていました。
「整形疑惑?」
まさかそんなことを確かめることはできないためこれは太陽さんと七海ちゃんの二人だけの秘密と言うことになりました。
