「コロッケー、ニトロー、肉じゃがー、散歩に行くっすよ!」
太陽君は朝も早くから毎日、たくさんの犬たちに囲まれて目を覚まします。ちなみに太陽君は犬が大嫌いでした。しかし今ではまさにムツゴロウさん状態で・・・犬が嫌いだったとは思いがたい生活を送っているのでした。拾ってきてしまったというか、ついてきてしまったコロッケ(犬名前)が咲也君いわく「細胞分裂」したとのことで、まさかの13匹にまで増えたのでした。
これがまた「細胞分裂」という単語にふさわしくみんながみんなそっくりなので大変です。
「・・・相変わらず、謎なネーミングだな。」
たまには散歩を手伝ってやろうと、言い出した咲也君は苦笑いをしていた。たまたま「コロッケ」がついてきたときに太陽君はスーパーで「コロッケ」を買っていた。
ただそれだけ。
深い意味はない。
他のコロッケジュニアたちだって同じ理由だ。
「おわ!!とーふ、それはかんだらだめっすよ!」
はぁ・・・まったくスゴい力だと咲也君は感心していた。傍目から見たらすべてが「同じ犬」に見える。しかし太陽君にはしっかりと認識ができているのだ。足下にすり寄ってきた犬に視点をうつして名前を呼ぼうと思ったが・・・まったくわからない。
「えーと、ところてんか?」
つい、頭に浮かんできた名前を言ってしまった。瞬間的に犬が悲しそうな顔をして離れていった。
「咲也、その子はニトロっすよ!」
どうやら名前を間違ったらしい。罪悪感が生まれた。せっかく懐いてきてくれたのに間違ってしまった・・・しかし・・・なぜニトロ?他は食べ物なのになぜにこいつはニトロ?危険なのか?
「ニトロは・・・特別なんすよ。俺がつけた訳じゃないんす。」
おそらく・・・聞いてはいけないことなのだ。人には誰にだって聞いてはいけないこと、ふれてはいけないことがある。
「そうか・・・それにしても、おまえはよく見分けがつくよな。」
きょとんとした表情をした。一瞬男が相手だと言うに可愛いと思ってしまった。
「?普通っすよ。俺には咲也が女の子をちゃんと覚えてるほうがスゴいと思うっすよ。」
「いやいや、人間には話し方とか、雰囲気に違いがあるだろ。」
「・・・同じっすよ。」
太陽君がしっかりとした瞳を向けた。彼は観察力が優れている。他人の小さな癖や言葉の使い方、本当に人を良く見ている。そしてそれを再現するだけの力を持っている。
「咲也・・・視線を下げてみるっす。」
「へっ?・・・こうか?」
言われたとおりに膝をついてみる。すると犬たちの「瞳」が同じ高さにあった。
「咲也は背が高いっすから、見えないだけっすよ。」
そこから見たコロッケたちの表情は確かに、一匹一匹違っていた。まさかこんなに、表情を持っていたなんて分からなかった。常に上を目指して・・・上ばかりを見て・・・下を見たことがなかったんだ。
「愛することっす。」
太陽君が優しく頭をなでれば、表情が緩やかになった。まるで笑っているように見えるんだから不思議だった。
「・・・人を愛するように・・・こいつらのことも愛してやってほしいっす。」
太陽は咲也が考えた結果に作り上げた答えをさらっと悪びれもなく言ってのける。
太陽はすべてを愛している。
自分はすべてを愛せないでいる。
考え方の違い。しかしそれは決定的な違いだ。
このままなら・・・いずれ・・・
「いずれ・・・俺はおまえに負けるんだろうな。」
呟いた声。
「・・・簡単に愛されたら俺がかなわないっすよ。」
「「俺たちは表裏一体だからな。」」
短く笑うと・・・二人はそのままコロッケ常にたちを連れて愛の逃避行へとでかけたのでした・・・
「・・・あ、藍音さん。最後のマズくないですかぁ?」
なぜか影から見つめていた七海ちゃんと藍音さん。
「はぅー、問題なしだよ!二人はこれから辺境の地で愛することについて語り合うの!」
「は、はぁ・・・。」
兄さんごめんなさい。
せっかくの友情物語が・・・私たちのせいでおかしな方向へいくみたいです・・・。
太陽君は朝も早くから毎日、たくさんの犬たちに囲まれて目を覚まします。ちなみに太陽君は犬が大嫌いでした。しかし今ではまさにムツゴロウさん状態で・・・犬が嫌いだったとは思いがたい生活を送っているのでした。拾ってきてしまったというか、ついてきてしまったコロッケ(犬名前)が咲也君いわく「細胞分裂」したとのことで、まさかの13匹にまで増えたのでした。
これがまた「細胞分裂」という単語にふさわしくみんながみんなそっくりなので大変です。
「・・・相変わらず、謎なネーミングだな。」
たまには散歩を手伝ってやろうと、言い出した咲也君は苦笑いをしていた。たまたま「コロッケ」がついてきたときに太陽君はスーパーで「コロッケ」を買っていた。
ただそれだけ。
深い意味はない。
他のコロッケジュニアたちだって同じ理由だ。
「おわ!!とーふ、それはかんだらだめっすよ!」
はぁ・・・まったくスゴい力だと咲也君は感心していた。傍目から見たらすべてが「同じ犬」に見える。しかし太陽君にはしっかりと認識ができているのだ。足下にすり寄ってきた犬に視点をうつして名前を呼ぼうと思ったが・・・まったくわからない。
「えーと、ところてんか?」
つい、頭に浮かんできた名前を言ってしまった。瞬間的に犬が悲しそうな顔をして離れていった。
「咲也、その子はニトロっすよ!」
どうやら名前を間違ったらしい。罪悪感が生まれた。せっかく懐いてきてくれたのに間違ってしまった・・・しかし・・・なぜニトロ?他は食べ物なのになぜにこいつはニトロ?危険なのか?
「ニトロは・・・特別なんすよ。俺がつけた訳じゃないんす。」
おそらく・・・聞いてはいけないことなのだ。人には誰にだって聞いてはいけないこと、ふれてはいけないことがある。
「そうか・・・それにしても、おまえはよく見分けがつくよな。」
きょとんとした表情をした。一瞬男が相手だと言うに可愛いと思ってしまった。
「?普通っすよ。俺には咲也が女の子をちゃんと覚えてるほうがスゴいと思うっすよ。」
「いやいや、人間には話し方とか、雰囲気に違いがあるだろ。」
「・・・同じっすよ。」
太陽君がしっかりとした瞳を向けた。彼は観察力が優れている。他人の小さな癖や言葉の使い方、本当に人を良く見ている。そしてそれを再現するだけの力を持っている。
「咲也・・・視線を下げてみるっす。」
「へっ?・・・こうか?」
言われたとおりに膝をついてみる。すると犬たちの「瞳」が同じ高さにあった。
「咲也は背が高いっすから、見えないだけっすよ。」
そこから見たコロッケたちの表情は確かに、一匹一匹違っていた。まさかこんなに、表情を持っていたなんて分からなかった。常に上を目指して・・・上ばかりを見て・・・下を見たことがなかったんだ。
「愛することっす。」
太陽君が優しく頭をなでれば、表情が緩やかになった。まるで笑っているように見えるんだから不思議だった。
「・・・人を愛するように・・・こいつらのことも愛してやってほしいっす。」
太陽は咲也が考えた結果に作り上げた答えをさらっと悪びれもなく言ってのける。
太陽はすべてを愛している。
自分はすべてを愛せないでいる。
考え方の違い。しかしそれは決定的な違いだ。
このままなら・・・いずれ・・・
「いずれ・・・俺はおまえに負けるんだろうな。」
呟いた声。
「・・・簡単に愛されたら俺がかなわないっすよ。」
「「俺たちは表裏一体だからな。」」
短く笑うと・・・二人はそのままコロッケ常にたちを連れて愛の逃避行へとでかけたのでした・・・
「・・・あ、藍音さん。最後のマズくないですかぁ?」
なぜか影から見つめていた七海ちゃんと藍音さん。
「はぅー、問題なしだよ!二人はこれから辺境の地で愛することについて語り合うの!」
「は、はぁ・・・。」
兄さんごめんなさい。
せっかくの友情物語が・・・私たちのせいでおかしな方向へいくみたいです・・・。
