亜水弥さんは素直じゃないと思う。もともとあまり素直に感情を言葉にするタイプではなかったけど・・・晴一兄さんが亡くなってからはさらに意地っ張りになった。
気持ちは分かるよ。
みんなに弱い姿を見られたくないんでしょ?
「七海ー聞いて、聞いて!」
その日の亜水弥さんはすごーく機嫌がよかったから、なにか良いことがあったんだなって鈍い私にもわかった。
「どうしたの~?あ、もしかして好きな人ができたとかてすかね?」
ちゃんとした冗談のつもりだった。きっとふざけないの!?って怒られると思った・・・でもいつまでたっても私を怒る声は聞こえてこなかった。私は顔を上げたら・・・亜水弥姉さんは真っ赤になった顔で私を見ていた。
「・・・もしかして・・・図星?」
私が呟くと亜水弥姉さんが頷いた。どうやらこれはマジらしい。
私は詳しい話を聞くために亜水弥姉さんの部屋へと連れて行かれた。
「見てみて~!このサイトなんだー!」
「へっ・・・・サイト?」
亜水弥姉さんの部屋は案外可愛らしい。その中で起動されたパソコンにはなにやら掲示板らしきものがうつっていた。
「えっと・・・?」
「この人!見てみて~この裕二君~のレス!」
カチカチとマウスを動かすと裕二と言う男の人とあすみんと言う女の人の会話が書いてあった。
これって・・・もしかして・・・?
「出会い系サイト・・・じゃないですよね?」
私は乾いた笑みを浮かべるので精一杯だった。このサイトには見覚えがあった。この間間違いで登録されてしまった出会い系サイトだ。
「出会い系サイトだよ!」
亜水弥姉さんはさらっと言い切った。軽くめまいを感じながら私はログを見ていた。裕二さん・・・この人は咲也兄さん以上にクサいセリフを書き続けていた。ちょっと冷静な私が見るとバカバカしく思えてしまうくらいだった。
「・・・亜水弥姉さん・・・」
どーしたら、どーすべき?こんなに楽しそうな亜水弥さんは久しぶりにみたから、とめたくない。でも、でも出会い系サイトはまずいんじゃ??
「裕二君いじめにあってて辛いんだって・・・私、力になりたくって今から会いに行くんだ。」
亜水弥姉さんがあまりに幸せそうに笑うから私は否定なんてできなかった。もちろんやめた方がいいことくらいはわかっているのに・・・。気がついたら亜水弥姉さんはいつもよりおめかしをしていた。
「今からですか・・・?」
「だって、苦しいときには誰かにそばにいて欲しいでしょ?」
亜水弥姉さんの言葉が胸に詰まった。こんなにもまっすぐに相手のために生きている亜水弥姉さんが・・・辛い思いをするのは、耐えられない。
私は影でパソコンをいじくった。
内容を咲也兄さんに添付して送る。
お願い・・・気がついて。
私はなんとか時間を稼ごうととりとめのない話をつなげていった。しかしそれにも限界がある。
「そろそろ時間だな。行ってくるね。」
「あ、亜水弥姉さん・・・」
もう止める方法がない。
「ん?」
「・・・気をつけて・・・行ってらっしゃいです。」
こうなったらこっそりついていこう。危なかったら私が止めるしかない。私は玄関へ向かう亜水弥姉さんのあとをついて行った。
「お?亜水弥可愛いじゃん!」
玄関には咲也兄さんが立っていた。私はほっとした。きっと・・・きっと止めてくれるはずだから。兄さんなら亜水弥姉さんを助けてくれる。
「亜水弥お姉さまと呼びなさい。まぁいいわ。ふふん・・・まーね。じゃ、行ってきます。」
亜水弥姉さんが手を振りながら玄関を開けて出て行った。あれ?あれれ?兄さん止めないの??
扉が閉まったら私は思わず兄さんを見つめていた。
「・・・大丈夫。問題なかったから。」
意味が分からなかった。
「さっきのサイト、ハッキングした。」
前回私が巻き込まれたときに私のデータを消すために開けたセキュリティーホールがまだ開いていたらしくて簡単に入り込めたそうだ。
クラッキングじゃない。ハッキングだからな。
と兄さんは付け加えた。どっちにしろ・・・許されることではない。
「そこから裕二ってやつのパソコンにはいった。あらかた見てみたけど・・・サクラとか嘘をついてるみたいではなかった。」
それでもまったく知らない人なのだから危険なことにかわりはなかった。
「・・・いいの?」
咲也兄さんは笑った。
「危なくなったら、助けにいくさ。でも・・・亜水弥には前を向くいい機会なのかもしれない。」
前を向くための・・・?
「やっと歩き出したんだから・・・・見守ってやろう。」
なんとなく言いたいことは分かったんだ。だから私は、私も・・・見守ろうと思ったんだ。亜水弥姉さんが幸せになることを祈りたいなって・・・思った。
気持ちは分かるよ。
みんなに弱い姿を見られたくないんでしょ?
「七海ー聞いて、聞いて!」
その日の亜水弥さんはすごーく機嫌がよかったから、なにか良いことがあったんだなって鈍い私にもわかった。
「どうしたの~?あ、もしかして好きな人ができたとかてすかね?」
ちゃんとした冗談のつもりだった。きっとふざけないの!?って怒られると思った・・・でもいつまでたっても私を怒る声は聞こえてこなかった。私は顔を上げたら・・・亜水弥姉さんは真っ赤になった顔で私を見ていた。
「・・・もしかして・・・図星?」
私が呟くと亜水弥姉さんが頷いた。どうやらこれはマジらしい。
私は詳しい話を聞くために亜水弥姉さんの部屋へと連れて行かれた。
「見てみて~!このサイトなんだー!」
「へっ・・・・サイト?」
亜水弥姉さんの部屋は案外可愛らしい。その中で起動されたパソコンにはなにやら掲示板らしきものがうつっていた。
「えっと・・・?」
「この人!見てみて~この裕二君~のレス!」
カチカチとマウスを動かすと裕二と言う男の人とあすみんと言う女の人の会話が書いてあった。
これって・・・もしかして・・・?
「出会い系サイト・・・じゃないですよね?」
私は乾いた笑みを浮かべるので精一杯だった。このサイトには見覚えがあった。この間間違いで登録されてしまった出会い系サイトだ。
「出会い系サイトだよ!」
亜水弥姉さんはさらっと言い切った。軽くめまいを感じながら私はログを見ていた。裕二さん・・・この人は咲也兄さん以上にクサいセリフを書き続けていた。ちょっと冷静な私が見るとバカバカしく思えてしまうくらいだった。
「・・・亜水弥姉さん・・・」
どーしたら、どーすべき?こんなに楽しそうな亜水弥さんは久しぶりにみたから、とめたくない。でも、でも出会い系サイトはまずいんじゃ??
「裕二君いじめにあってて辛いんだって・・・私、力になりたくって今から会いに行くんだ。」
亜水弥姉さんがあまりに幸せそうに笑うから私は否定なんてできなかった。もちろんやめた方がいいことくらいはわかっているのに・・・。気がついたら亜水弥姉さんはいつもよりおめかしをしていた。
「今からですか・・・?」
「だって、苦しいときには誰かにそばにいて欲しいでしょ?」
亜水弥姉さんの言葉が胸に詰まった。こんなにもまっすぐに相手のために生きている亜水弥姉さんが・・・辛い思いをするのは、耐えられない。
私は影でパソコンをいじくった。
内容を咲也兄さんに添付して送る。
お願い・・・気がついて。
私はなんとか時間を稼ごうととりとめのない話をつなげていった。しかしそれにも限界がある。
「そろそろ時間だな。行ってくるね。」
「あ、亜水弥姉さん・・・」
もう止める方法がない。
「ん?」
「・・・気をつけて・・・行ってらっしゃいです。」
こうなったらこっそりついていこう。危なかったら私が止めるしかない。私は玄関へ向かう亜水弥姉さんのあとをついて行った。
「お?亜水弥可愛いじゃん!」
玄関には咲也兄さんが立っていた。私はほっとした。きっと・・・きっと止めてくれるはずだから。兄さんなら亜水弥姉さんを助けてくれる。
「亜水弥お姉さまと呼びなさい。まぁいいわ。ふふん・・・まーね。じゃ、行ってきます。」
亜水弥姉さんが手を振りながら玄関を開けて出て行った。あれ?あれれ?兄さん止めないの??
扉が閉まったら私は思わず兄さんを見つめていた。
「・・・大丈夫。問題なかったから。」
意味が分からなかった。
「さっきのサイト、ハッキングした。」
前回私が巻き込まれたときに私のデータを消すために開けたセキュリティーホールがまだ開いていたらしくて簡単に入り込めたそうだ。
クラッキングじゃない。ハッキングだからな。
と兄さんは付け加えた。どっちにしろ・・・許されることではない。
「そこから裕二ってやつのパソコンにはいった。あらかた見てみたけど・・・サクラとか嘘をついてるみたいではなかった。」
それでもまったく知らない人なのだから危険なことにかわりはなかった。
「・・・いいの?」
咲也兄さんは笑った。
「危なくなったら、助けにいくさ。でも・・・亜水弥には前を向くいい機会なのかもしれない。」
前を向くための・・・?
「やっと歩き出したんだから・・・・見守ってやろう。」
なんとなく言いたいことは分かったんだ。だから私は、私も・・・見守ろうと思ったんだ。亜水弥姉さんが幸せになることを祈りたいなって・・・思った。
