ザックスが帰ってきた。もう会えないって思ってたからすごく…嬉しい。
クラウドもすごく良い人。
ちょっとクールだけど本当はすごく優しい。

ザックスの計画はうまく進んでた。スラムにも少しずつ花が根付いていった。
花、見るとみんな笑顔になった。

すごく…嬉しい。



でも…聞こえる…星が…悲鳴を上げている。私にしか聞こえない声で、必死に助け…求めてる。

「エアリス?どーかしたか?」

気がついたら、私の前でザックスが笑顔で手を振っていた。私はつられるように笑った。

「ううん…なんでもない。」

ザックスに言ったらきっと、なにも言わずに戦ってくれる。私たちを救うために、また剣…握らなくちゃならない。

ザックス…帰ってから一度も剣…バスターソードをかまえることなかった。それでも毎日手入れをして、どこに行くときも一緒だった。

ーこれは…俺の夢、希望…そして誇りなんだ。ー
私はもう…その剣を使わないでほしかった。だからソルジャー止めてクラウドと「なんでも屋」を始めるって聞いたとき、本当に嬉しかった。
もぅ…この人は傷つかなくていいんだ…って。

「んじゃ、今日はそろそろ帰ろうぜ!クラウドも待ってることだしさ~。」

花売りワゴン。
ザックスがなおしてくれた。
お花でいっぱい。
お財布も…ちょっといっぱい。
笑顔がいっぱい。

「うん…あっ!?」

「どうした!?」

「あ…頭が…」

私はうずくまってしまった。声が…声が頭に反芻する。
ザックスが駆け寄ってくる。

なに…なにが言いたいの?途切れ途切れに声が聞こえてくる。

ー…げ…にげ…ー

「逃げて…。」

「な?エアリス?」

「逃げて!!」

はっきり聞こえた。星が、悲鳴をあげてる。
それだけじゃない…このままじゃ…。

「逃げて、ザックス!クラウドを連れて、今すぐに!」

私はザックスにすがりついた。早くしなきゃ…早くしないと…体、震えて…力が…。

「エアリス!?どうしたんだよ!落ちついて…落ちついて、な?」

ザックスが私を抱きしめてくれた。
暴れたら、顔をおさえらた。
ザックスの瞳…空色の瞳に…私がうつっていた。

「俺の目…見て。…そぅ、大丈夫…大丈夫だからな。」

優しい声が、私を包み込んでくれる。心臓の音が重なり合って、涙…止まらない。

「ザックス…ザックス…」

存在を確かめるために何度も何度もあなたを呼んだ。ザックスは何度も何度も…答えてくれた。

「ザックス、ここにいちゃ、ダメ!」

「どうしてだ?」

「…ここにいたら…また戦いが起こる…だからその前に…。」

すべてを話している時間はない。とにかく、早く二人を…私は違和感に気がつき顔をあげた…そこには…。

「クラウド!?」

「うぅ…あ…ザッ……クス…。」

クラウドが手錠をかけられてタークスに囲まれていた。私は息、できなくて…ただただ…その姿…見ていた。

「おまえら…なにしてやがる!!クラウドを離せ。」

ザックスの目の色が変わった。
そしてバスターソードに手をかけた。
止めなくちゃ!
ダメ!ザックスはもう、戦っちゃ…ダメなの!


ザックスは軽々とあんなに大きな剣を持ち上げて、躊躇することなく…構えた。
私は…悲劇を止められなかった。せっかくの幸せな世界が…崩れていく…。


星よりも…ザックスの心が大切だったのに…。