困っていた。
七海ちゃんは今までにないくらいに困っていたのです。それというのも原因はやはりこの二人。

「七海~コーヒー飲みたいな。」

「ななちゃん、お紅茶をいれてもらえるかしら?」

すっかり、この二人がリラックスして帰ってくれないからです。コーヒーも紅茶も断ればいいのになぜか断れない…。
そしていまだに連絡が付かない黒崎さん。
もぅ何止めか分からないくらいのため息をつきました。
二人のためにコーヒーと紅茶をいれると、ふいに玄関のチャイムが鳴りました。宅配便かなにかかな?っと思って玄関のドアを開けると…

「七海、黒崎さん見つかったっすか??」

もはやその笑顔が…天使にしか見えませんでした。

「太陽兄さん~!」

ようやく…話の通じる人がやってきた感じです。事態を説明しようとしていると、黒崎さんのお母さんがかけてきました。いきなりのことに太陽兄さんは怯えていました。
「まぁまぁまぁまぁ…可愛い!可愛いすぎる!うちの嫁にこない??」

確かに太陽兄さんは可愛いけど…私は用済みってことですか?
なんかムカつきー!

「およっ?太陽どーした?」

声に気がついた兄さんが顔を出しました。…ってなんでこの人は今の時期に半裸なんでしょうか?まずはあんたがどーしたって感じですよ→毒吐き度マックス!

「…咲也寒くないんすか?」

あぁ…太陽兄さんありがとう。私もうこの二人につっこむ元気なかったの。私は思わず太陽兄さんに抱きつきたい衝動に駆られました!

「いや、腹筋鍛えようかと思ってさぁ。」

それなら脱がなくても良いじゃん!あ、太陽兄さんもため息ついてる…分かるよ、その気持ち。

「太陽君って言うの?可愛いわね~!ねぇ、黒崎の家に来る気ない?」

「は…はぁ?」

あ、太陽兄さんが押されてる。負けないで!

「お、それ良いじゃん。太陽さぁ、黒崎の嫁になれよ!…そしたら七海は俺が…。」

「あら、ダメよ!七海ちゃんには七海ちゃんで嫁いでもらうんだから!」
えーっと…一夫多妻(?)制ですか??スイマセン、よく分かりません。
というかたぶんソレができてたらすでに横の男が勇んでやってますよ。そりゃもうハーレム作って毎日にたにたへらへらしてますよ。

「その前に俺は女じゃないっす!」

まぁ、そうですよね。あぅ…泣きそうな太陽兄さん可愛いよぉ~!むしろ私のお嫁さんにほしいよ!一生大事にするよ!

「大丈夫よ!」

「へっ?」

「可愛いは正義だから!」

言い切った…言い切っちゃったよぉ…。この人…往人さんなみだ…うわ…太陽兄さんマジ泣きしそうだよ…。

「認めない…ダメだ!太陽もやれない。こいつは俺の大切な人だ!」

「さ…咲也…。」

太陽兄さんを咲也兄さんが抱きしめる…えっえー!?あの咲也兄さんが、まさかのBLルートなの?やっぱりあの怪しい儀式で目覚めちゃったの?

「…黒崎より…太陽とのからみの方が評判が良いからな…。」

ぼそっと呟いた。
そうですよね…兄さんは人気のためなら何でもしますよね。でもね…心の中でだけつぶやいてほしかった…。

「七海!」

もはや涙が頬を伝っている太陽兄さんが私の手を引っ張った。

「俺は…黒崎さんが心配だからきたんすよ!でも…こんなところに七海をおいてけないっす!」

行こう!といわれて私はうなずいた。きっとここにいたって、事態は進展しないから、というか太陽兄さんのがまともだから…私は行くよ!

「七海!ちょっと待てー話を聞けって!」

「やだやだ!可愛い二人がいなくなっちゃうー!」


二人の声が聞こえたけど、私たちにはもう関係なかった。
黒崎さんを探そう。
そして、回収してもらおう。お母さんを…。
私たちは…うなずきあった。幸せな明日を捕まえるために…。