一人は楽だけど、ずっと一人でいられるほど強くはない。
家に帰る道もなんとなくいつもより遠く感じる。…やっぱり行けばよかったんだ。なんて後悔してみたり。ついつい買いすぎてしまう夕食の準備も重くても持ってくれる人はいない。
とぼとぼ…なんかつまらないなと歩く。
だからそれは見間違いだと思った。
「お、やっと帰ってきたか~!」
空耳。だっているはずないじゃん。…そろそろ私もヤバいのかな?
「…無視すんなよ!」
強引に抱きしめられた感触が、ソレが幻ではないことを教えてくれた。
なにかがあふれかえって、声が震えた。
「な…んで…。」
「そろそろ七海がお兄ちゃん恋しくなってるかなって思ってさ。」
笑ってる。いつもそうだタイミング良すぎるの…狙ってるとしか思えないよ。咲也兄さんは買い物袋を持ってくれた。
「べ、別に…寂しくなんかなかったもん!もっといなくてもゆーゆーできて…良かったもん。」
可愛くない。最悪だよ。私はいつから素直に嬉しいって言えなくなったんだろ。
「ほー…ところで七海、おまえはこんなに食うのか?」
にやりと笑って、あきらかに三人分の食材のはいった袋を持ち上げる。
「そ…れは…買い置きです!」
なんかもぅ…本当にめちゃくちゃだよ。
なんで素直にお帰りなさいって言えないのかなぁ。
「…分かったよ。七海は俺がいない方がよかったんだな。じゃあ、これ運んだら帰るから安心しろ。」
兄さんはぷいっと背中を向けてしまった。怒ったかな?やっぱり…いい子にしないと、またおいてかれるのかな?そんなの…やだよ!
リミッターがはずれていろんな気持ちが溢れ出してきた。涙も一緒に流れてくる。
そのまま兄さんの背中に抱きついた。
「!?…っと、七海?」
「…ごめんなさい…怒った…よね?」
兄さんが笑っている。
作戦だったのかな…でもなんかもぅいいや。
「怒ってないよ。ごめんな…寂しかったろ?」
ちょっと迷ったけど小さくうなずいた。
「あのね…あのね!…お帰りなさい!」
「…ただいま。しかしやられたな。往人に習ったのか?」
若干、兄さんが赤くなってる。私は訳が分からなくて、背中にしがみついたまま首を傾げた。
「…なにが?」
「え?ツンデレにジョブチェンジしたのかと思ってさ…結構可愛いな。」
可愛い、可愛いとわしゃわしゃと頭をなでられた。どうやら私は、新たな才能を示したらしい。
で、お茶を入れているときに私は重要なことに気がついたのです。
「…あれ?黒崎さんは?」
一回会社にでも行ったのかな?私は入れ立てのお茶を手渡した。
「あー…あいつね。実ははぐれた!」
「はぁ…はぐれたんですか。ってえぇ!?どこで、というかなに落ち着いてるんですか!?」
私は思わずお茶を倒しそうになって、慌てて兄さんの肩をつかんだ。
「七海…落ち着けよ。実は空港ではぐれたんだ。」
「な、なんだ…じゃあ大丈夫ですね。」
東京の大学に通っていたのだから私なんかより、詳しいはずだ。ほっと胸をなで下ろした。
「いや、フランスの空港で犬に追いかけられていなくなった。」
にぱって可愛く笑ってる。…ぽかーん…。また犬かよとか、なんでまた犬なのとか…おいかけろよ…とか言いたいことはたくさんあったけど…
「携帯!けーたい!」
泣きそうになりながら電話をかけるけどつながらない。異国で言葉が通じないつらさはよく分かってる。きっと黒崎さん困ってる!
「携帯は…誰かさんがPSPとともに水没させただろ。直せるとこまでは直したけど…ちょっと前からつながらなくなったらしい。」
あぁ…バレてたんだ。というよりこの人は何でこんなに冷静なの!
「兄さんもなんでおいてきちゃうんですかぁ~!」
少し考えて、兄さんはまた微笑んだ。
「久しぶりだから…おまえを…俺だけの物にしたかった…」
あぁ…あぁ…甘い言葉がもはや胃もたれしそう。兄さんが私にのばした腕を誰かが振り払って、引き寄せてくれた。
も、もしかして…黒崎さん!?私は期待に満ちた瞳で顔を上げた。
「うちの嫁になにするんですか!このエセ金髪!」
黒崎は黒崎でも…母の方だった…。
「にゃ!?お、お母さん帰ったんじゃ…」
というかなんで私の家にいるんですか…いや、もうそういう常識はこの人たちには期待してないけど…さぁ…。
「…誰?」
うわぁーん…咲也兄さんが冷酷な営業スマイル浮かべてるぅ…。
「私は一護の母。そして七海ちゃんの姑になる女よ!あーもぅ…可愛い七海ちゃんが汚れちゃう!」
ごしごしとハンカチで痛いほど顔をふかれた。
「七海は…俺の嫁なんですけど?」
「七海ちゃんは…黒崎家の後継者よ。」
火花ぁ…痛いから、両方から引っ張らないでよぉ…あぅ…ちーぎーれーるー!?
「そんなことしている場合じゃないです~!」
私の悲痛な叫びなんて無視されて、二人の間にはなんだかまずい空気が流れていた。
私は一人取り残された黒崎さんの行方をただ祈るしかなかった…っていうか本当に誰か助けて!
家に帰る道もなんとなくいつもより遠く感じる。…やっぱり行けばよかったんだ。なんて後悔してみたり。ついつい買いすぎてしまう夕食の準備も重くても持ってくれる人はいない。
とぼとぼ…なんかつまらないなと歩く。
だからそれは見間違いだと思った。
「お、やっと帰ってきたか~!」
空耳。だっているはずないじゃん。…そろそろ私もヤバいのかな?
「…無視すんなよ!」
強引に抱きしめられた感触が、ソレが幻ではないことを教えてくれた。
なにかがあふれかえって、声が震えた。
「な…んで…。」
「そろそろ七海がお兄ちゃん恋しくなってるかなって思ってさ。」
笑ってる。いつもそうだタイミング良すぎるの…狙ってるとしか思えないよ。咲也兄さんは買い物袋を持ってくれた。
「べ、別に…寂しくなんかなかったもん!もっといなくてもゆーゆーできて…良かったもん。」
可愛くない。最悪だよ。私はいつから素直に嬉しいって言えなくなったんだろ。
「ほー…ところで七海、おまえはこんなに食うのか?」
にやりと笑って、あきらかに三人分の食材のはいった袋を持ち上げる。
「そ…れは…買い置きです!」
なんかもぅ…本当にめちゃくちゃだよ。
なんで素直にお帰りなさいって言えないのかなぁ。
「…分かったよ。七海は俺がいない方がよかったんだな。じゃあ、これ運んだら帰るから安心しろ。」
兄さんはぷいっと背中を向けてしまった。怒ったかな?やっぱり…いい子にしないと、またおいてかれるのかな?そんなの…やだよ!
リミッターがはずれていろんな気持ちが溢れ出してきた。涙も一緒に流れてくる。
そのまま兄さんの背中に抱きついた。
「!?…っと、七海?」
「…ごめんなさい…怒った…よね?」
兄さんが笑っている。
作戦だったのかな…でもなんかもぅいいや。
「怒ってないよ。ごめんな…寂しかったろ?」
ちょっと迷ったけど小さくうなずいた。
「あのね…あのね!…お帰りなさい!」
「…ただいま。しかしやられたな。往人に習ったのか?」
若干、兄さんが赤くなってる。私は訳が分からなくて、背中にしがみついたまま首を傾げた。
「…なにが?」
「え?ツンデレにジョブチェンジしたのかと思ってさ…結構可愛いな。」
可愛い、可愛いとわしゃわしゃと頭をなでられた。どうやら私は、新たな才能を示したらしい。
で、お茶を入れているときに私は重要なことに気がついたのです。
「…あれ?黒崎さんは?」
一回会社にでも行ったのかな?私は入れ立てのお茶を手渡した。
「あー…あいつね。実ははぐれた!」
「はぁ…はぐれたんですか。ってえぇ!?どこで、というかなに落ち着いてるんですか!?」
私は思わずお茶を倒しそうになって、慌てて兄さんの肩をつかんだ。
「七海…落ち着けよ。実は空港ではぐれたんだ。」
「な、なんだ…じゃあ大丈夫ですね。」
東京の大学に通っていたのだから私なんかより、詳しいはずだ。ほっと胸をなで下ろした。
「いや、フランスの空港で犬に追いかけられていなくなった。」
にぱって可愛く笑ってる。…ぽかーん…。また犬かよとか、なんでまた犬なのとか…おいかけろよ…とか言いたいことはたくさんあったけど…
「携帯!けーたい!」
泣きそうになりながら電話をかけるけどつながらない。異国で言葉が通じないつらさはよく分かってる。きっと黒崎さん困ってる!
「携帯は…誰かさんがPSPとともに水没させただろ。直せるとこまでは直したけど…ちょっと前からつながらなくなったらしい。」
あぁ…バレてたんだ。というよりこの人は何でこんなに冷静なの!
「兄さんもなんでおいてきちゃうんですかぁ~!」
少し考えて、兄さんはまた微笑んだ。
「久しぶりだから…おまえを…俺だけの物にしたかった…」
あぁ…あぁ…甘い言葉がもはや胃もたれしそう。兄さんが私にのばした腕を誰かが振り払って、引き寄せてくれた。
も、もしかして…黒崎さん!?私は期待に満ちた瞳で顔を上げた。
「うちの嫁になにするんですか!このエセ金髪!」
黒崎は黒崎でも…母の方だった…。
「にゃ!?お、お母さん帰ったんじゃ…」
というかなんで私の家にいるんですか…いや、もうそういう常識はこの人たちには期待してないけど…さぁ…。
「…誰?」
うわぁーん…咲也兄さんが冷酷な営業スマイル浮かべてるぅ…。
「私は一護の母。そして七海ちゃんの姑になる女よ!あーもぅ…可愛い七海ちゃんが汚れちゃう!」
ごしごしとハンカチで痛いほど顔をふかれた。
「七海は…俺の嫁なんですけど?」
「七海ちゃんは…黒崎家の後継者よ。」
火花ぁ…痛いから、両方から引っ張らないでよぉ…あぅ…ちーぎーれーるー!?
「そんなことしている場合じゃないです~!」
私の悲痛な叫びなんて無視されて、二人の間にはなんだかまずい空気が流れていた。
私は一人取り残された黒崎さんの行方をただ祈るしかなかった…っていうか本当に誰か助けて!
