黒崎さんは戻ってこない。本来なら3日間の滞在のみで帰ってくるはずだったのに・・・・。
なんだか・・・疎外感???うーーーん・・・自分で招いたことなのに、なんだかちょっと反省。
やっぱりいきなり一人になるのは寂しかった。
たはは・・・・こんな恥ずかしいこと口が裂けても言えないけど、ね。
「っと・・・確か書類って戸棚の一番上って言ってたかな??」
予想外に帰ってくるのが遅くなってしまったために黒崎さんの勤めている事務所から連絡が入ったのです。
どうやら、今日つかうはずだったはずの書類を黒崎さんが持ったままらしい。
「はぁ・・・もぅ、ちゃんとお仕事はしてくださいよ。」
これは帰ってきたら一度びしっと怒らなくちゃいけないなってため息をついた。
ちなみに会社からは連絡がつかなかったらしい。確かにここ数日連絡が取れない。
でも、咲也兄さんからはちゃんとメールが来るから大丈夫だって思ってた。
「えっと・・・これかな?・・・これだな。」
あまりにもしっかりと日付がメモしてあったため変なところで律義なんだから・・ってちょっと笑ってしまった。
しかし・・・ここまでしっかり書いてあるのに忘れたりするのかな??ちょっと違和感があった。
それにしても・・・いつも思うけど、生活感のない部屋。すぐにでもいなくなれそうな部屋。
なんか・・・気に入らないって思った。とりあえず、書類を抱いて部屋を出た。
すると綺麗な女の人が部屋の前に立っていた。優しい笑顔を浮かべた落ち着いた大人の女性。
「あら?あなたこの部屋の子?」
ちょっとしゃがみこまれて女の人が話しかけてきた。む・・・なんか子ども扱いされた??
「・・・いえ・・・違いますけど・・・。」
なんだろ?もしかして彼女さんとか??じゃないよね・・・。とりあえずどこまで信用していいのかわからなくて私は警戒心を解けなかった。「でも、この部屋から出てきたよね?この部屋の人いないの?」
うっ・・・・そうだよな。これで関係ないとか言ったら・・・私は泥棒か何かになっちゃうよ。思わず大きく息を吐いた。
「この部屋の人、今旅行に行ってるんです。で・・・私はその・・・なんといいますか・・・そう!!妹なんです!!」
女の人の表情が変わった。驚いてる・・・っというか・・・あきれてる??
「あのね・・・私あなたを生んだ覚えはないの。ごめんなさいね。」
「へっ・・・・もしかして・・・黒崎さんのお母さんですか!?」
びっくりして、声を張り上げてしまった。そういえばしっかり見たらどことなく・・・黒崎さんに似ている。目元とか、鼻筋とか・・・口元とか・・。
「はーーい!その通り、一護の母です!」
あ、明るい・・・。そしてこの細かいことを気にしないあたりとか・・・まさに黒崎さん!!
「あ、あの、すいません!!私、黒崎さんにお世話になってます!七海っていいます!!」
焦りすぎて・・・なんか日本語がおかしくなってしまった。ど、どうしよう・・・こんな展開ならもっとちゃんとした服着てきて、ちゃんとお化粧もして・・・って!!
「へ・・・!?えっ!!」
いきなりぎゅーーーっと抱きしめられてしまった。びっくり・・・。これって、これって、ど、どういう展開!!
「あなたが七海ちゃんなのね!!きゃーーーー、嬉しい!!私のことお母さんって呼んでいいからね!」
もはや・・・どうしたらいいのかわからなすぎて、しばらくされるがままになっていた。
まさかの事態に、確かに七海ちゃんの中の時は止まっていました。
