入れ替わりにまんまと騙された男二人は無事にフランスへと旅立とました。

一人日本に残った七海ちゃんは茉莉ちゃんのおうちにお泊りしたりしていました。


「フランスかぁ・・・・七海ちゃん、本当は寂しいんじゃないんですか??」


なんだかんだで気の合う、極度のブラコン二人組。実は仲良しさんでよくお互いの兄について相談したりしています。茉莉ちゃんは5人から溺愛されているわけですから、ちょっとお手本になります。往人さんいわく茉莉ちゃんは「腹黒さのない理想の妹」だそうです。ちなみに七海ちゃん「は腹黒いだけの妹」だそうです。


「うーーん、寂しくないって言ったらウソになるけど・・・いつまでも三人でいれるわけじゃないからね。」


ちょっと笑いながら水人さんのいれてくれたお茶で言葉を濁します。咲也君が大学院にいってしまったら必然的に三人ではいられなくなります。


「・・・確かにね・・・いつまでも『兄妹』じゃいられないもんね。」


「うん・・・ここが辛いとこだよね。」


しみじみ。おそらく二人にしかわからない感覚です。近すぎて・・・でも遠くて・・・なんともいえない距離感。

兄と妹、でも血はつながっていない。でも大切な家族。


「茉莉ちーーーん!!あっくーがケーキを作ったのだ・・・ってななみん!!いつの間に来ていたのだ!!」


元気いっぱいに部屋に飛び込んできたヒューレ君に二人の会話は止まります。いつもハイテンションなヒューレ君は茉莉ちゃんのお兄ちゃんでありボディガードです。ちなみに趣味はあだ名をつけることで「ななみん」なわけです。


「あ、おひさしです。遊びに来ちゃいました。」


話しやすいヒューレ君と七海ちゃんは実は仲良しです。


「じゃ、ななみんも来るのだ!あっくーのケーキはおいしいのだ。」


有無を聞かせずに二人を引っ張ります。ちょっと困りながら立ち上がる二人。あっくーこと明人さんの料理がおいしいのは確かなので断る理由はありません。


「・・・兄さんもちょっとは料理ができたらな・・・。」


七海ちゃんがつぶやいた一言にヒューレ君は顔色を変えて立ち止ります。


「ななみんは・・・死にたいのだ??」


肩を掴まれて、咲也君を台所に立たせちゃいけない!!!っとたっぷり叱られるのでした。もちろんヒューレ君と咲也君も仲良しです。


ー兄さんの料理って・・・万国共通にまずいんだ。さすがグローバル・・・。ー


妙に納得した七海ちゃんでした。