昼下がり、洗濯物を干している七海ちゃんにバイトから帰ってきた咲也君が話しかけました。
「七海、フランス行く準備ちゃんとしてるのか??」
ぎくって固まる七海ちゃん。準備なんてしていません。なぜなら、なんだかんだと理由をつけてドタキャンするつもりだったから。あげくの果てには、黒崎さんと咲也兄さんが二人で行けばいいのだ!!なんて考えていたりしたのでした。
「・・・ぼちぼち・・かな?」
答えを濁す七海ちゃん。でも、今さら・・・・そんなことを見抜けないような咲也君ではないのです。珍しく少し悲しげに微笑みながら聞くのでした。
「・・・まだ、行きたくない?・・・うん、無理は・・しなくてもいいけど。」
無理やりはよくないとみんなから言われたので、咲也君は少し丸くなったといいますか、なにがなんでも連れて行きたい!!という思いはなくなったみたいです。でも、タイムリミットまであと数日しかありません。黒崎さんも一緒に行くということになり、少しは気が楽になったのですが・・・
「・・・フランス語、心配だよ。」
「俺がずっと付いてるよ。それに英語なら話せるだろ?」
「うん・・・でも、ちゃんとおじさんにフランス語で挨拶したいの。」
意外な答えに言葉をなくす咲也君。内心、珍しくしおらしい態度でツボに入ったらしくか、可愛い!!ってなっていたらしいです。
「それって・・・」
それって・・・ちゃんと結婚を前提に付き合っているんです!!って言ってくれるってことか??とまぁ、いつもどおりに妄想が進むのでした。
「息子さんをお嫁さんに下さい!!ってフランス語でなんて言うんだ?」
「黒崎!!」 「あや、黒崎さん!!」
最近、仕事に行っていないような気のする黒崎さん。ちゃんと行ってはいるらしいのですが・・・職場が近いとか何とかでちょくちょく帰っていたのでした。というか、お昼を食べに帰ってくるという徹底っぷりです。
「また・・・帰ってきたのかよ、お前・・・。」
ちょっとあきれている咲也君。というか、二人っきり→抜け駆けしちゃおうかな??みたいな雰囲気をかんじとったのでした。最近こういうことに関してはたまに空気が読めるのです。
「で、息子さんをお嫁さんに下さいは??」
「イヤ、なんでお前がそれ言うんだよ!!」
「ちなみに私のセリフは息子さんとこの方は結婚を前提に付き合っています!!です
」
「!?親父ショック死するだろ!!」
実は、二人なりに微妙な気分であるだろう咲也君を励まそうという二人なりの気の使い方だったのですが・・・
まぁ、それは禁則事項です。
