もうすぐバレンタインという涼風の男たちにとっては自分の人気をはかる一種の戦いの日がやってきます。咲也君と黒崎さんはどっちがたくさん貰えるかを楽しみにしているようでした。
ちなみになぜか女性陣宛のチョコレートが届いたりすることもあるのですが、それ以上に女性陣にはたいへんな仕事があるのでした。
それは…お客さんへのチョコレート作りでした。毎年それの指示をしている料理担当の七海ちゃんは早くもブルーな気分なのでした。
「はぁ…今年のチョコレートはなににしよう。」
お菓子の本とにらめっこをしながら七海ちゃんははぁ~っとため息をつくのでした。横で見ていた咲也君がパラパラとページをめくりながらハート型のチョコレートケーキを指出すのでした。
「ふ~ん…なるほど俺これが良いな!」
ちなみに咲也君はあまり甘いものが得意ではありません。七海ちゃんはもちろん、劇団のメンバーにはそれぞれの好きなものを考慮した上で特別なチョコレートを作る気でいました。しかし、七海ちゃんは今考えているのはあくまでお客様用のなるべくコストを落として大量に作れるものを考えていました。
「…これは、兄さんのぶんじゃありませんから…。」
その言葉に咲也君は目を丸くしました。そして大げさに頭を抱えるのでした。
「じゃあ、誰にやるって言うんだよ!まさか…」
「もちろん、俺にだよなぁ??」
ドアの隙間から黒崎さんは歯磨きをしながら二人に声をかけました。
「…や、これは黒崎さんの分でもありませんよ。」
「そうそ…!?…げぇっ!!七海なんてことだ…あまりの驚きで飲み込んでしまったじゃないか!」
どうやら、歯磨き粉を飲み込んでしまったらしく恨めしそうに七海ちゃんに駆け寄るのでした。
「うわっ…汚ねぇ!」
「早く、口ゆすいできてください!」
とりあえず、洗面所へと走る黒崎さんでした。
そして口をゆすぐと、走って戻ってきました。
「はぁはぁ…いったい…誰にやるんだ!?お父さんに言ってみなさい!」
いや、あなたお父さんじゃないしとつっこみをいれたい七海ちゃん。
「お兄ちゃんにも言いなさい!」
…確かにあなたはお兄ちゃんだけど…とまたしてもつっこみをいれたい七海ちゃん。
「…あ、あれか?友チョコとかいうやつか!」
黒崎さんが実はイマイチ意味は分かっていない「友チョコ」という単語を口にしました。
「…いえ、友達にはもっとちゃんとしたの作りますよ。」
突然咲也君が頭を抱えてしゃがみこみました。
「俺は…知ってるんだ…なながクッキーを作って好きな奴に渡せなくて、机の中につっこんだことがあることを…。」
「なんだって!?」
「ちょ!?なんて懐かしいネタをぶり返すんですか!」
必死になって作ったのに、渡せなかったクッキー…試しに食べてもらった先生からは「お菓子屋が開ける」とまで誉められたのに…渡せなくて机につっこんだのはもはや良い思い出です。ちなみにその後に来たメールとプレゼントにさらにドラマ?というか青春のヒトコマがあったのは秘密です。
「俺がいない間に…そんなことがあったなんて…。なんかななが一気に大人になった気分だ。」
落ち込む黒崎さんの頭の中での七海ちゃんは小学生くらいでとまっています。
「俺より良い男じゃないと、認めないからな!」
この二人を越える人はなかなかいない。…なんというか常識はずれという意味で。
「もー!いい加減にしてください!これは来てくれたお客様用です!」
相手にしていられないと思った七海ちゃんは、机をバン!と叩きました。
「あ、なるほど。」
「そうだよな…あはは。」
ほっと胸をなでおろす二人の横で携帯が鳴ります。
「…あ、先輩からだ!」
複雑そうな表情をする七海ちゃん。
「なんだって!」
「ダメだ!あいつはダメだ!」
目の色を変える二人を前になんというか、自分がちゃんと恋愛ができるのか…言い切れない不安にかられるのでした。
そしてこれからくるバレンタインにひたすら、ぬぐい去ることのできない不安を覚える三人なのでした。
ちなみになぜか女性陣宛のチョコレートが届いたりすることもあるのですが、それ以上に女性陣にはたいへんな仕事があるのでした。
それは…お客さんへのチョコレート作りでした。毎年それの指示をしている料理担当の七海ちゃんは早くもブルーな気分なのでした。
「はぁ…今年のチョコレートはなににしよう。」
お菓子の本とにらめっこをしながら七海ちゃんははぁ~っとため息をつくのでした。横で見ていた咲也君がパラパラとページをめくりながらハート型のチョコレートケーキを指出すのでした。
「ふ~ん…なるほど俺これが良いな!」
ちなみに咲也君はあまり甘いものが得意ではありません。七海ちゃんはもちろん、劇団のメンバーにはそれぞれの好きなものを考慮した上で特別なチョコレートを作る気でいました。しかし、七海ちゃんは今考えているのはあくまでお客様用のなるべくコストを落として大量に作れるものを考えていました。
「…これは、兄さんのぶんじゃありませんから…。」
その言葉に咲也君は目を丸くしました。そして大げさに頭を抱えるのでした。
「じゃあ、誰にやるって言うんだよ!まさか…」
「もちろん、俺にだよなぁ??」
ドアの隙間から黒崎さんは歯磨きをしながら二人に声をかけました。
「…や、これは黒崎さんの分でもありませんよ。」
「そうそ…!?…げぇっ!!七海なんてことだ…あまりの驚きで飲み込んでしまったじゃないか!」
どうやら、歯磨き粉を飲み込んでしまったらしく恨めしそうに七海ちゃんに駆け寄るのでした。
「うわっ…汚ねぇ!」
「早く、口ゆすいできてください!」
とりあえず、洗面所へと走る黒崎さんでした。
そして口をゆすぐと、走って戻ってきました。
「はぁはぁ…いったい…誰にやるんだ!?お父さんに言ってみなさい!」
いや、あなたお父さんじゃないしとつっこみをいれたい七海ちゃん。
「お兄ちゃんにも言いなさい!」
…確かにあなたはお兄ちゃんだけど…とまたしてもつっこみをいれたい七海ちゃん。
「…あ、あれか?友チョコとかいうやつか!」
黒崎さんが実はイマイチ意味は分かっていない「友チョコ」という単語を口にしました。
「…いえ、友達にはもっとちゃんとしたの作りますよ。」
突然咲也君が頭を抱えてしゃがみこみました。
「俺は…知ってるんだ…なながクッキーを作って好きな奴に渡せなくて、机の中につっこんだことがあることを…。」
「なんだって!?」
「ちょ!?なんて懐かしいネタをぶり返すんですか!」
必死になって作ったのに、渡せなかったクッキー…試しに食べてもらった先生からは「お菓子屋が開ける」とまで誉められたのに…渡せなくて机につっこんだのはもはや良い思い出です。ちなみにその後に来たメールとプレゼントにさらにドラマ?というか青春のヒトコマがあったのは秘密です。
「俺がいない間に…そんなことがあったなんて…。なんかななが一気に大人になった気分だ。」
落ち込む黒崎さんの頭の中での七海ちゃんは小学生くらいでとまっています。
「俺より良い男じゃないと、認めないからな!」
この二人を越える人はなかなかいない。…なんというか常識はずれという意味で。
「もー!いい加減にしてください!これは来てくれたお客様用です!」
相手にしていられないと思った七海ちゃんは、机をバン!と叩きました。
「あ、なるほど。」
「そうだよな…あはは。」
ほっと胸をなでおろす二人の横で携帯が鳴ります。
「…あ、先輩からだ!」
複雑そうな表情をする七海ちゃん。
「なんだって!」
「ダメだ!あいつはダメだ!」
目の色を変える二人を前になんというか、自分がちゃんと恋愛ができるのか…言い切れない不安にかられるのでした。
そしてこれからくるバレンタインにひたすら、ぬぐい去ることのできない不安を覚える三人なのでした。
