第10回です。
このコーナーを始めた当初、ここまで続くとは・・・・・・思っていました(°∀°)b

そして、その第10回を記念して、
おススメ♪クラシックがパチンコ台となりました。同じ回の作品が揃うと大当たり!
景品は、当方作曲の交響曲第1番“トタン”調(未完)が収録されたCDです。詳しくは朝刊の折り込みチラシで(嘘)

それでは、この辺で本題に(´_`。)


① ヴェルディ/アッティラ前奏曲
聴いている演奏:ジュゼッペ・シノーポリ指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(411469-2)

$おもひでぺたぺた♪

この作品は、愛憎、そして復讐と裏切りの果てに、婚礼の日の朝、王妃となる女性の刃の前に倒れ息絶えた
フン族の王「アッティラ」を主人公としたヴェルディ作曲のオペラの前奏曲。

演奏時間約200秒程度で、ポップミュージック並みの非常に短い楽曲ですが、
後の「椿姫」などにも受け継がれるヴェルディ独特の悲劇を暗示する旋律が、儚くも美しいのです。


シノーポリ指揮ウィーンフィルの演奏は、
ゆったりとしたテンポでイタリアオペラの特徴である「うた」を存分に聴かせてくれます。


こちらは、リカルド・ムーティ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団の演奏






② チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
聴いている演奏:デニス・マツーエフ(Pf)、ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルクフィルハーモニー管弦楽団(88697002332)

$おもひでぺたぺた♪


当コーナーの第7回でご紹介した「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」と同様に、初演までに紆余曲折のあった作品。

ヴァイオリン協奏曲と違うのは、初演が大成功のうちに終わった点です。
チャイコフスキー34歳のときに作曲。友人でピアニストのニコライ・ルビンシテインに作品を聴かせたところ、
辛辣な言葉で否定され、作品を書きなおすことを促されてしまいます。

チャイコフスキーはその批判を受け入れず、指揮者として有名なハンス・フォン・ビューローに演奏を依頼します。
作品を大変好意的に評価したビューローにより、アメリカのボストンで初演が行われ大成功を収めます。
そのような経緯により本作品は、ビューローに献呈されました。
当初、作品に批判的だったルビンシテインも、
後にチャイコフスキーに謝罪して、この作品を度々演奏会で採りあげるようになりました。


有名な第1楽章冒頭は、シューマンのピアノ協奏曲のように印象的で視覚効果も抜群。
ウクライナ民謡を採り入れるなどして、ロシア情緒にあふれダイナミックな旋律。
終盤のカデンツァは技巧だけでなく、繊細な表現力も要求される箇所です。この楽章だけで曲全体の半分以上を占めており長大です。

続く第2楽章は、
弦楽器のピッツィカートにのって、伸びのある和やかなフルートソロ。それにピアノが続きます。
雨上がりに水溜りを避けながらスキップするかのように、穏やかな旋律の裏でピアノがリズミカルに動きます。

最終楽章は、スラブ舞曲のような(これもウクライナの民謡に基づく)民族色豊かな旋律に続く
ピアノの転がるような上昇・下降が印象的でピアノの技巧に注目が集まる箇所です。
ヴァイオリン協奏曲同様、ピアノとオーケストラの見事な掛け合いの末に、華やかに曲が閉じられます。


マツーエフのピアノは、
迫力ある打鍵と透明感あふれる弱音。その使い分け方が実に巧みです。
指揮とオーケストラは脂分(過剰演出)控えめ、どちらかというとあっさりした演奏です。




③ ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調
聴いている演奏:オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン交響楽団(BX706192)

$おもひでぺたぺた♪


この交響曲の歴史における記念碑的作品は、ベートーヴェンが1808年に完成させた第5作目の交響曲です。

日本では一般的に「運命」と呼ばれる本作品ですが、ベートーヴェンがこのような標題を付けた訳ではありません。
弟子のシントラーによると、作品の冒頭に関してベートーヴェンが
「運命はこのように扉を叩く!」
と語ったとされたことから、そのように呼称され、
冒頭から第1楽章を支配する「ダダダダーン」もまた、運命の動機と呼ばれることがあります。


$おもひでぺたぺた♪


第1楽章。冒頭の八分休符の後、その「ダダダダーン」の動機は不安と苦悩を引き連れ、フォルティッシモ(ff)で突然やってきます。この動機を巧みに使った第1主題と印象的なホルンソロの後につづく緩やかな第2主題(主題が変わってもなお、低音部が冒頭の動機でリズムを刻みます)。この2つの主題で構成されます。

第2楽章は緩徐楽章。
弦楽器の導入部の後、束の間の休息のような美しい旋律が木管楽器そして弦楽器により奏でられます。(第1主題)
その後にあらわれる弦楽器による強奏とティンパニを伴って金管楽器が高らかに鳴らす第2主題が交互に変奏されます。

第3楽章では第1楽章の「ダダダダーン」は、八分休符が除かれた安定した形で堂々と進行していきます。
そして楽章の終盤、ヴァイオリンの射し込む光のようなクレシェンドで目映いほどの威厳をもった最終楽章へアタッカで突入します。

「勝利」や「歓喜」etc.
最終楽章は様々な言葉で表現されますが、このハ長調で奏される曲調には、単に開放的な明るさではなく、やはり
不安や苦悩を乗り越えて掴んだ希望に満ちた明るさを感じます。

ここに交響曲のひとつの大きなテーマとなり得る「苦悩から歓喜へ」のストーリーが完結しました。


オイゲン・ヨッフムの指揮は、たたみかけるような第1楽章から輝かしい最終楽章まで、緊張感を持続させながら、
飾り気のない実直な音作り。ロンドン交響楽団も見事なアンサンブルでこれに応え、素晴らしい演奏が展開されます。
最初の1枚、そしてスタンダードとしてもお勧めできる演奏です。