【公示】
当コーナーの存続の是非を国民投票で決めることとなりました。
至急、近隣小学校に設置されている投票所にてご投票願います(嘘)

2月が逃げてしまわないうちに早速。



2月に記事を用意していたのに、結局3月になってしもた~(T▽T;)


① バーンスタイン/「キャンディード」序曲
聴いている演奏:レナード・バーンスタイン指揮ロンドン交響楽団(4297342)

$おもひでぺたぺた♪


稀代の指揮者レナード・バーンスタインは精力的な指揮活動とともに、音楽家としても「ウエストサイド物語」など数多くの作品を残しました。

この「キャンディード」は、
フランスの哲学者ヴォルテールによる小説「カンディード或いは楽天主義説」が原作のオペレッタ(ミュージカル)です。

家庭教師パングロスから「この世の中の事象はすべて最善である」というライプニッツの楽天主義を教わり、
それを信じて生きる主人公のキャンディード(←天真爛漫という意味)

しかしながら、生まれ故郷を追い出され、放浪の旅では船が難破、大地震に遭遇し、果ては宗教裁判にかけられるなど、様々な災厄に見舞われる。

やがて、キャンディードは「楽天主義とは如何なる悲惨なことに遭遇しても、それが最善であると言い張ることだ」と言って楽天主義と訣別。

さらに悲観主義者のマルチンと実りのない議論を繰り返しながら、ヨーロッパ諸国を旅するキャンディード。

結局、旅路の果てに手に入れた小さな土地を耕し、楽天主義でも悲観主義でもなくあるがまま、
日々の労働に幸せを見出すという自身の生き方に目覚めるといったお話。

オペレッタそのものは、登場人物の多さや感情移入し難いストーリーなども災いし、決してヒットしたとは言えません。


ただ、序曲についてはド派手な演奏とコミカルな展開で、
短い演奏時間ながらも各パートに見せ場があり、管弦楽の魅力が凝縮された作品です。

作曲者自身の指揮により躍動感が最大限に引き出されています。







② メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
聴いている演奏:レオニード・コーガン(Vn)、ロリン・マゼール指揮ベルリン放送交響楽団(COCO‐70843)

$おもひでぺたぺた♪


説明不要の名曲ですが、一応簡単に触れておきます。

メンデルスゾーンがこの作品の作曲を始めた当時、彼はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者でした。

その楽団のコンサート・マスターであったフェルディナンド・ダヴィッドの助言を採り入れ、
このようなヴァイオリンの特徴を活かし、また弾き手の目線においても充実した内容の作品が完成しました。

また、それぞれの楽章間に、はっきりとした「終わり」がなく、一体となっている点も大きな特徴の一つで、
それにより流れが寸断されることなく、統一感をもたせることに成功しています。

第1楽章では弦楽器による短い序奏のあと、
いきなり「津軽海峡・冬景色」のような演歌調の主題を独奏ヴァイオリンが奏でます。哀傷的な名旋律であると同時に、
いきなり主題が登場する構成も当時としては非常に斬新な手法です。
印象的なフレーズはこのパートだけでなく、各楽章にそれぞれ登場します。

ヴァイオリンの音域を目一杯使い奏でられる、流れるように美しい旋律。そして無駄のない構成。
ヴァイオリン協奏曲の女帝と呼ばれるほど高い完成度です。


コーガンによる独奏ヴァイオリンは、ややおとなしい印象を受けますが、ロマンの世界に溺れることなく抑制が効いていて、一方カデンツァではしっとりと歌うバランスのとれた好演。滑らかな高音部は特に素晴らしく、オケも安定したサポートで魅せます。




③ シューベルト/交響曲第5番
聴いている演奏:ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団(POCL-5164)

$おもひでぺたぺた♪


ブラインドテストの結果、10人中7人が、この作品をモーツァルト作曲と勘違いしました。
…というのが冗談に思えないほど、モーツァルト風なシューベルトの交響曲です。

そして、さらなる特徴のひとつに楽器の編成が非常に小規模で室内楽のような点があげられます。
楽器編成は、フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2そして弦5部。
ティンパニもクラリネットもないですね。

しかし小編成ゆえに各楽器間の掛け合いやアンサンブルを堪能できる交響曲であり、
シューベルト特有の流れるような歌にもあふれています。
後の交響曲第7番「未完成」や第8番「グレート」なども素晴らしい作品ですが、
まずはこの作品から聴きすすめてみてもいいのではないでしょうか。

ソナタ形式の第1楽章は、心も華やぐ軽やかな歌に思わず体が横揺れします。
高弦と低弦の掛け合いは、まるで山彦のよう。
緩徐楽章の第2楽章は、穏やかで優美。中間部伸びやかに歌われる管楽器も聴きどころ。
メヌエットの第3楽章。前の2楽章とは一変し、シリアスな曲調の舞曲。
迫力ある低音と楽章中間部の哀愁漂う旋律は、作品のアクセントとなっています。
そして最終楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェが第1楽章同様の明快さで疾走し、華やかに交響曲全体を締めくくります。


ブロムシュテットの指揮は、奇をてらうことや誇張は決してありませんが、物腰の柔らかい、しなやかな音作りは魅力的。オケのアンサンブルも見事です。