私はこの話を思い出すと、なす統べなく酷く咽び泣いてしまうので、自分でも封印しておきたい記憶の、中でも一番奥深くに仕舞い込んでいたように思います。ですが子供の頃の記憶とは残酷で、思いとはうらはらに、まるで昨日のことのように鮮やかに思い出すことがあります。


『猫は家に付く』……この言葉にはいつも首を傾げてしまいます。




今もミーコは間違いなく私の心の片隅にいます。でもいい話ではないし、家族の恥でしかないこの話を、私自身が恥じて誰にも話せずにいました。


自分が体験し感じたことを伝えたい。ブログを始めて四年目に突入、せっかく伝える手段を得ているというのに、人様の反応が怖くて封印していたのです。情けない……


遠い昔のことなので、記憶を掘り起こしながらとりあえずイメージの絵を描いてみよう。出すか出さないかはそれから考えればいい。出来れば伝えたい、上手く言えるかどうか分からないけど……そう思い描いてはみるものの、ミーコの気持ちを思えば思うほど、辛くて涙で前が見えなくなってしまいます。




そんな時、すずが私に囁いてくれたのです。




なかなか手は進まず、想いにふけってしまう私にこう伝え、背中を押してくれました。




あたちは小春ママが好き。




ママがいい……。




温かくて柔らかい布団より、ママがいいんだよと……




猫は家に付く動物なんかじゃありません。ちゃんと人を見て、自分を愛してくれてる人を慕い、一緒に居たいと願っていてくれる心ある動物です。




私のそばには柔らかい座布団も、すずやまる、胡桃が好きなおやつもおもちゃも、今はありません。でも私のそばで喉を鳴らして目を細めるのです。




ミーコもきっとそうだった。ミーコもそばに居たかった……家なんかじゃなく人をちゃんと見て、感じてくれていたはずなのに……それなのに!!




ミーコを野に放した時、立ち止まっては振り返るを繰り返し去って行ったと聞かされました。私はもういないミーコの姿を必死に想像するしか出来ませんでした。


全く音がしない静寂な空間、白くハレーションを起こすほど眩しい空、周りには何にもない青々と草が繁る野原に、ポツンといるミーコと子猫たち。名を呼ぶとスローモーションのようにゆっくりと消えていってしまう姿が……。実際見た訳ではないのに、40年経つ今も、この時浮かんだ印象はほぼ変わることなく脳裏に焼き付いているのです。いや、むしろ鮮明になっている気がします。


やっぱり猫は恩などないんだね、捨てておきながらそんな勝手な言い分を、大人たちは私の前で話しています。話を黙って聞きながら、子供ながらに煮えくり返える思いでいたことを、大人たちは知らないでしょう。


ミーコ……どんな気持ちで振り返った?憎かったよね?悲しかったよね?私がもっと大人だったら……



ごめん、守ってやれなくてごめん……ミーコ……




猫はクールかも知れないけど、決して恩義を感じない動物なんかじゃありません。


愛情を持って接すれば、ちゃんと応えてくれる尊い動物です。如何なる理由があるとしても、自分本意なだけの決断をする人にならないでください。どこかを断絶せねば苦渋の選択が出来ないことも、大人になった今なら苦しいほど分かります。でも最後の最後まで自問自答してください。それで本当にいいのかと……


これは多分、当時の大人たちに言いたい言葉なんですね……分かってるんです。この場を借りて言わせてくれて、そして読んでくれて、ありがとう……。




昔、頭の中で思い描いた野原の真ん中で、いつもミーコは佇み、ずっとこちらを見ています。近寄れば、名を呼べばフッと消えてしまいます。でも思い出せばいつもミーコはそこにいるのです……。



これは私の数ある罪のひとつです。この想いを胸に、これからも猫と共に生きていきます。






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