『猫は家に付く』と昔言われたことがあります。
猫は飼っても犬ほど恩を感じないだろうという昔の考えです。
これは思い出すと酷く泣けて辛くなってしまうので、今まで話せなかったお話。私が小学校2、3年生の頃のことです。
ノラのミーコが子猫を生みました。ミーコはいつの間にか居着いた猫で、ノラとは思えないほど社交的でフレンドリーでした。
生まれた子猫を一匹づつくわえ、見せに来てくれるような猫でした。
夢を見ました。私の悲しみの中心には、いつもこのミーコが中心にいるような気がします。
猫は家につく……本当にそうでしょうか。
ミーコ……いつもどこかで私達を見ていて、学校や仕事から家族が帰ると飛び出してきて、体を擦り付けて喜びを表現していました。
子猫が生まれると母猫は気が荒くなると教えられましたが、ミーコは全くそんなことなく、むしろ人が関わることに喜びを感じてくれていたように思います。
小さい子猫が賑やかに走り出す頃、ノミの大群が家を占拠しました。時期は真夏、暑くて猫の被毛に耐えられなくなったノミがミーコたちから離れ、家族を襲いました。ノミは蚊などと違い、刺されると長い間痒みを伴います。
現在のような速効性のノミ退治の薬などない時代、潰しても潰しても打出の小槌のように湧くノミにやられるだけやられてしまいます。(ちなみにノミは潰してはいけません。卵を持っていたら潰した時に飛び散り、繁殖の手助けになってしまいます。セロハンテープなどに張り付けて挟んでしまうのが正しい方法です)
その後、ミーコがダンボールに入れられていました。
聞くと『このままではこの家で生活が出来なくなる』と……『ミーコはどこかに行ってもらう』と言うのです。
そう言う母も、ノミに食われて茶色い痣だらけでした。
ミーコは何も悪いことしてないよ、ノミなら退治すればいい、連れていかないでと懇願しますが、この時言われたことが後々まで脳裏に残る言葉になったのです。
『猫は家に付く、付かれてもらっちゃ困るから出て行ってもらう』
ミーコは黙ってダンボールの中でこの言葉を聞いていたと思います。
私は泣くことしか出来ない子供でした。子供の私の意見など、大人は聞くはずもなかったのです。この時酷く母を憎みました。でも大人になると母は私を守ったに過ぎないことも分かるようになりました。でももう少しなんとか出来なかったのかとも強く思います。
この事は後の私の格言とも言える言葉を決めた大きな出来事でした。
決めつけて聞かされた話などは、自分で見たり体験したりしない限り、信じない!
すみません、明日に続きます。
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