YouTubeで「後味の悪い映画」と調べたときに出てきた「シネマンション」さんというチャンネルで紹介されていた映画です。

ちなみに私は安定のAmazonプライムで観ましたが。

その「シネマンション」さんで紹介されていた通り、なかなかの胸糞具合でした。

でも、前回感想を書いた「主よ、永遠の休息を」みたいな救いの無さではなかった印象です。

 

では、前回と同じく起承転結で内容を書いていきたいと思います!

ネタバレ注意ですよ〜。

主人公が林遣都くんに似ているなーと個人的には思ったので、主人公を林と名付けます(人物名覚えてない)。

で、その林をいじめているボスは、そのままボスとします。

ではでは内容をさらっと書いていきます〜。

 

 

 

 

〈起〉

林とボス(&取り巻き達)は、「林がクラスのお金を盗んだ疑惑」で色々ともめたことのペナルティのような感じで、老人ばかりが住むマンション的なところにボランティアに行くことに。

林達は、何やらお宝がありそうだ、と夜中に再びマンションに忍び込み、そこで「人を喰らっている二人の怪物」に出会う。

パニックになりながらマンションから出て行こうとする林達を追いかける怪物姉妹。

しかし、マンションから出たところで、怪物姉妹の妹が車にはねられ気を失う。

林達は意識のない妹を誘拐して溜まり場である学校のプールに連れていき、妹をいたぶり尽くす(見ていられなくて飛ばしました)。

 

 

〈承〉

妹について分かったのは以下の4点

①妹は元々人間だったが、虫に寄生され?怪物のようになってしまった

②日光に当たると体が燃える

③異常な自己治癒能力

④妹の血は人間の血と混ざり合うと、人間の血を妹の血と同じものとし、日光によって消滅してしまう

 

話変わってクラスでは、林の後ろの生徒が林の椅子に細工をし、座った林は盛大に床に落ちてしまうという出来事が起きた。

その様子を見て、ボスは椅子の破片で細工をした林の後ろの生徒を何度も殴打。

この事件のせいで、担任の女教師に色々と嫌味を言われ、ボスは静かにキレ、女教師の飲み物に妹の血を混ぜる。

 

学校内でのバスケの試合を観戦する林達。

林「この前助けてくれてありがとう」ボス「お前を虐めていいのは俺だけだからな」

林、ちょっとモヤッとする。

 

体育館には女教師もおり、何やらひどい腹痛に襲われているらしい。

女教師は保健室に行こうとするが、血をびたびたと落とし(下痢みたいな感じで)、その後、太陽に焼かれて火に包まれて死んでしまう。

 

 

〈転〉

女教師の件がニュースで報道され、怪物姉は、妹の失踪に林達の学校の生徒が関わっていることを突き止め、その学校の生徒達を無差別に殺していく。

その姉が襲撃したスクールバスに、たまたまボスの彼女も乗っていた。

パニックになる生徒達、次々と殺されていく生徒達、という光景を見ながらも冷静なボス彼女。

しまいには、姉の写真をスマホで撮り、妹から抜いた歯をつけたアクセサリー?ストラップ?を姉に見せつける。

もちろんボス彼女は姉によって殺されます。

 

彼女が姉によって殺されたボスは姉に復讐をしようとする。

姉妹は鼻が効くため、妹の血を使って姉をプールにおびき寄せ、妹の居る部屋に閉じ込めてガソリンで焼き殺そうとする。

それぞれ役割分担をするわけだが、林が一番危険な役割をさせられ、モヤる。

計画は進んでいくが、元々妹をいたぶることにも強い抵抗を感じていた林は、怪物達の逃げ道として木で塞いでいた窓のネジを緩め、お姉さんがきたらここから逃げるんだよ、と妹に言う。

 

さあ決行、という時に、林が取り巻きの一人に「足をくじいた。役割を変わってくれ」というが、拒否され、「なぜいじめるのか」と尋ねると「面白いから」と答えられる。

林はここで、完全にボスたちを見限ることを決意。

見張り役の男子の携帯に連絡をして着信音を響かせ、姉が注意を引かれている隙に妹のいる部屋へ入り、ロックする。

そして、外にいるボスと取り巻きは姉によって殺されてしまう。

 

 

〈結〉

妹に「俺を殺さないよう頼んでくれ」と言うが、そんな話が通るわけもなく、部屋に入ってきた姉に襲われる林。

逃げ惑う林のスマホが震え、夜明けが来たことを伝える。

林は、「ごめん」と言いながら、逃げ道として緩めておいた木を外し、部屋に太陽の光を入れる。

陽に焼かれる妹を姉は庇うが、結局二人とも陽に焼かれて死んでしまうのであった。

 

ボス達は死んだが、林はクラスメイト達から馬鹿にされ続けている。

給食の場面になり、林は廊下に机を出されているいじめられっ子の女子のスープ皿を掴むと、中身を外に捨てる。

一方、楽しそうに給食を食べるクラスメイト達。

何かを決意した表情で給食を食べる林。

 

そして昼休み?皆が寝ている中、林は一人教室から出て歩き出す。

林の出た教室からは悲鳴と炎が。

そう、林は給食のスープに妹の血を混ぜていたのだ。

林もスープを飲んでおり、少しずつ顔が陽によって焼かれていく。

ただ一人、自分を虐めたり馬鹿にしたりしなかったいじめられっ子の女子を除き、全員に復讐をした林は雄叫びをあげながら炎に包まれていくのだった。

 

 

 

 

内容はこんな感じです。

こちら、台湾の映画なんですね。

Amazonプライムでは吹き替え版のみの配信になっています(プライムで観られる作品だと)。

 

 

私、ホラー作品とか後味悪い系大好物なんですが、痛いのはダメなんですよ………。

血が出るのは別に大丈夫なんですが、エグいのとかグロいのは本当にダメで、そんなカットは結構飛ばしちゃいました。

読むのでも痛い描写ダメだから、映像はもっと無理だったー………。

なので、映画SAWも観てないんですよね。

 

 

さて、感想ですが、「後味が悪い」って言うより、「人間の底なしの悪意」と「人間の弱さ」と「逃げを捨てた人間の怖さ」を感じました。

 

 

①人間の底なしの悪意

これはまさにボス達。いわゆる「最近のキレやすい若者」像を見事に表しているなぁという印象です。

なんとなく面白いからいじめる。

自分とは違うから怪物妹を傷つけてもいい。

かと思いきや、自分の彼女が殺されれば、これまでの悪行を棚に上げて、被害者面して復讐をしようとする。

すごく分かりやすいほどの悪意ですよね。

 

クラスメイト達も一緒。

虐められている奴は虐めてもいい、みたいな雰囲気ができているわけです。

 

でも、多分これって決してフィクションの世界だけじゃないですよね。

自分達にも、心当たりがあるような。

「いじられキャラの人には何を言ってもいい」みたいのも、一種の悪意なわけで。

○○叩きみたいのも一緒。

自分が普段直視していない人間の闇のようなものをまざまざと見せつけられている気がしました。

 

そうそう、それと、一番怖かったのはボス彼女だなー。

この子、めちゃくちゃ可愛い顔してエグいこと言うし、何より姉に襲われた時の無表情さね。

「あー、もう無理ぽ。助からんっすねこれ」みたいな感じで、もう諦めてんの。

「死体に隠れて死なないようにするのかな」とか予想してたのに、まさか自分から出頭するみたいに妹の歯を見せつけるとは………。

めちゃくちゃサイコパスみを感じた。

 

 

②人間の弱さ

私は映画を通してこれを一番感じたかな。

 

例えば女教師。

その場が丸く収まればいいから、強い者を優遇する。

これは、いじめを相談する林に対しての態度ですね。

「証拠がないわ」「あなたにも落ち度はあったんじゃない?」

言うに事欠いて「ボス君達はクラスの中心」と。

自らの保身のために、いじめがあったらややこしいことになるから、弱い林を切り捨てて、強いボスに服従したわけだ。

 

そして林もそう。

〈起〉で書いた老人のマンションに行った時、ボス達は(彼らの性格と言動を見れば当然だけど)老人をいじめるわけ。

しかも、これが監督のいやらしいところで、物理的に殴ったりするわけではなく、観ている側が不快になるような、馬鹿にした態度でいじめるわけ。

相手が屈辱を感じるような感じで。

で、林も最初はそういった行動に嫌悪感とか罪悪感を抱いているわけ。

でも、次第に楽しそうに老人達をいじめるようになる。

それは、今まで自分が「いじめられる側」にいたのが、「いじめる側」という強い立場になったと錯覚したから。

これまで自分にあんなに酷く当たってきたボス達と、まるで親友みたいな親近感を抱いているんだよね。

 

妹に対しても、林の弱さが出ている。

ボスに逆らうことはできない。でも、酷い奴にはなりたくない。みたいな中途半端な立ち位置。

ボス彼女にも、「お前はほんとに中途半端な奴だな!」みたいなことを言われちゃう。

表立って復讐に反対は出来ないから、「ここから逃げろよ」と中途半端な優しさ。

だけど結局妹を裏切って、妹のために緩めておいたネジを自分のために外して、姉妹を殺してしまう。

 

林はすごい嫌な奴なんだけど、多分誰よりも私達で、林自身もそんな中途半端な自分に嫌気がさしている。

だから私は林のことは嫌だと思うけど、同時にどこかで勇気を振り絞って欲しいとも思ったんだ。

 

 

③逃げを捨てた人間の怖さ

最後のクラスメイトに復讐をする林は怖かった。

それまでは「死にたくない」「生きていたい」という一種の逃げをしていた林だけど、それを振り切った彼は怖かった。

クラスメイトの給食に血を混ぜているところは予想できたんだけど、自分も飲むとは予想できなかった。

林が飲んだ場面を見ても、彼はこれから暗闇で姉妹みたいに生きていくと思ったから、死んだのはびっくりしたなぁ。

 

でも、多分林が私の予想みたいに生にしがみついていたら、多分復讐はできなかったんだろうとも思う。

「生きる」というのは、彼にとっての逃げ=弱さにつながってしまうから。

「死ぬつもりで頑張る」というのと、「どうせ死ぬから頑張れる」は違うんだろうな〜なんて、今感想をつらつらと書きながら思いました。

ここまで振り切らないと動けなかった林を一笑するのは容易いけれど、きっと林は誰もが抱いている後ろ暗いものを集めたキャラクターなのでしょう。

 

 

さー、つらつらと書いたので疲れました笑

ま、備忘録兼ねての感想なので、まあいいや。

痛い系の描写が大丈夫な方にはおすすめですー。

 

 

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