観たのはだいぶ前ですが、感想をば…
多少ネタバレありかもです。


実際の事件を元にした作品です。
でんでんさん演じる村田の二面性と、吹越満さん演じる社本のどうしようもない人間の弱さと、弱いからこそ一線を超えた時の狂気性みたいなものに引き込まれます。


村田は、明らかに怪しさ満点なんだけど、「あ〜こういう人いるよね〜なんだかんだ言って人が集まってくるタイプ〜」っていうキャラクターで、めちゃくそ怖い。
若い女の子ばっかりを囲った熱帯魚店とか怪しさ満点なのに、社本の奥さんも娘さんも信用しちゃうのは、村田の人柄というかカリスマ性的なものによるのかしら。
そして、人を殺すことをなんとも思ってないのよね。うん。
「人はいつか死ぬ!こいつは今日がその時だっただけだ!」とか、無茶苦茶理論なんだけど、なーんか理屈通ってそうな雰囲気を出すのは、でんでんさんの演技によるものなんだろうな。

この村田という役は、一歩間違うとただのクソサイコパス野郎というフィクション性の強い人間になっちゃうんだろうけど、そこがでんでんさんの演技力というか存在感とか諸々によって、愛嬌を振りまく計算高さとか、暴力性の必然性とか、コメディさとかがうまく合わさって、ただのクソサイコパス野郎以上の恐怖感が出ているように感じました。
恐ろしい隣人、っていうか。


そして社本!社本はほんっとに人間くさい。
村田に屈してしまう部分。面倒な娘のことから目を反らしてしまう部分。あまりの怒りやら情けなさやらで村田を殺してしまう部分。
人間の弱さと調子の良さみたいな部分が詰まってるのが、社本なのかなって思います。
で、だからこそ、私たちは誰でも社本になってしまうのかもしれない。
圧倒的な暴力を目の前にし、その暴力を自らの手で葬った後、私たちは何を思うのでしょう。


そんで、話が前後してしまうけど、最初のシーンからして色々と狂ってるんだよね。
社本の奥さんが、スーパーで買い物をしてるんだけど、何を買い込んでいるかというと、オール冷凍食品。
しかも、お弁当にいれるようなおかずのやつ。
それと、チンするご飯。
それらを家に帰って、レンジに放りまくる。
そんで、それらを皿に乗せて、晩ご飯。
それをもくもくと食べる社本と娘。

途中で覚醒した社本が「メシの準備をしろ!!!」って怒るシーンがあるんだけど、そこで出てくるのもこのご飯たち。
社本、それを美味しそうに食べるんだけど、「それでいいんかい!笑」と突っ込んでしまった笑

結構、この社本家の食事シーンは好きです。
現代のインスタントなものをぎゅーって押し込めた感じがして。


観たのがだいぶ前なので、適当な感想ですが、こんな感じで。
園子温監督好きなんだよな〜。「地獄でなぜ悪い」はほんと頭おかしくて好き笑
冷たい熱帯魚はAmazonプライムで観れますので、是非〜。