最初で最後の、いっしょのクリスマス | 中絶、うつ病、そして明日への希望

中絶、うつ病、そして明日への希望

望まなかった中絶、それを思い出して苦しむ日々。同じ体験をした女性たちにとって、少しでも救いになるとともに、一人でも多くの女性が同じ苦しみを味わうことのないように願います。

2009年12月25日

クリスマス。
今日は会社の最終日。

周りの人は、私が妊娠してるなんて
まったく気付いてない。
当たり前なんだけど、不思議。

私は今、私の命と、赤ちゃんの命
ふたつの命を持っているんだ。
体は一つなのに、命はふたつ入っている。


でも、外見ではひとつの命、ひとつの体。
命って、繋がっているんだって実感する。
今は私と赤ちゃんと、ふたつの命が重なっている時期。
リレーのバトンを渡すとき、一瞬二人の人がバトンを確実に持っている瞬間がある。
今の私は、その前走者にあたるのかな。





子どもと一緒の、最初で最後のクリスマス。


定時で終えて、帰宅する。
地下鉄に乗ると、友人Y子からのメールが来ていた。

「うちにおいでよ。一緒に過ごそう」

Y子は中学の時からの親友で、今回の経緯もすべて知っている。

ちょうど次の駅は青山一丁目。
浅草に住むY子の家まで、銀座線で一本だ。

私は青山一丁目で降車し、「行く」と返事した。

本当は、家に帰って、お腹の子と向き合うつもりだった。
だけど、こんな日に一人はきっと辛いだろう。
現に、今だって泣きそうなのを必死でがまんして電車に乗っているんだ。

私は浅草に向かった。
予約を入れておきながら、中絶する覚悟が定まらない。
私は電車内で、彼にメールを送った。



天国の赤ちゃんへ

もっともっと、強い人のもとへ行けばよかったのに、
どうして私だったんだろう。
私は弱すぎて、あなたに2度目のクリスマスを
過ごさせてあげることもできなかった。


きっと、これからも
毎年思い出していく。
来年からのクリスマスは、
私には楽しむ権利なんてない。