Tue, May 10, 2005

憶う歳月 【永遠と一日】 テオ・アンゲロプロス [Greece+Fr+Ita'98]

テーマ:映画 〔欧州:イベリア,ギリシャ〕

 老人の最後の一日をテーマにした映画。ギリシアの街、テサロニキを舞台とする。詩人として生きた老人は数年前に最愛の妻を亡くし、自身も病に侵され、最後の旅に出ることを決意するが、旅立ちの日にふとしたことからストリートチルドレンとして生きる少年を助ける。娘が生まれた日、妻が残した自身への恋文。娘が売り払ったため廃墟と化した、自身の人生の財産とも言える海岸の別荘での回想。雪の降りしきるアルバニア国境での、行方を失った無数の人影を背後に語られる少年の境遇。夜闇をゆくバスの窓光。現実と幻想、悔悛と希望とが互いに融け合ってゆく。


 車の運転席と助手席に座る老人と少年の顔が映し出される。ブルーノ・ガンツ演じる老人との、その表情の対照性は互いの年齢が逆転しかのようで、少年の表情はすべてをあきらめきったかのように老けこんでいて、老人のそれは泣きはらした赤子のようだ。アルバニア難民としてここで生き、人身売買に身を引き渡される危険とも隣り合わせの境遇を生きる少年のそれは疲弊しきり、張り付いたような笑顔が痛々しい。


 テサロニキはギリシア第二の街で、アテネに比べると古い町並みが良く残っている様子。二ヶ月ほど前にはギリシアにいた。ところどころで意味のわかるギリシア語が懐かしく響いてくる。なんだか悲しかった。

 砂場でお手玉遊びをする子供、それが時間だ。
 私の心は下書きだらけ、何も書き残してはいない。
 なぜ願うことが思い通りにならない? なぜ我々は希望もなく、腐ってゆくのか。苦痛と欲望に引き裂かれて。なぜ私は一生よそ者なのか。ここが我が家だと思えるのは、まれに自分の言葉が話せたときだけ。自分の言葉。失われた言葉をもう一度見つけ、忘れられた言葉を沈黙から取り戻す。そんなまれな時にしか、自分の足音が聞こえない。なぜお互いの愛し方がわからない。
 いつか君に聞いた。明日の時の長さは? 永遠と一日。 何だって? 永遠と一日。
 私は今夜、向こうへ渡る。言葉で君をここに連れ戻す。すべては真実で。すべては真実で。待っている。私の花。よそ者。私。とても遠く。



Mia Eoniotita Ke Mia Mera”(Eternity and a Day / L'Éternité Et Un Jour) / Theo Angelopoulos [+scr] / Bruno Ganz, Isabelle Renauld, Achilleas Skevis etc. / 134min / Greece+Fr+Ita / 1998
1998年カンヌ国際映画祭パルムドール ☆☆☆

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