退塾希望を伝えてもすぐには受理されず、講師から電話がかかってきた。理由を伝えると驚いていた。


「この時期はみんな慣れない学校生活に疲れている。授業前テストは受けなくていいし、授業を休んでもいい。毎回楽しく塾に通う子なんていない。慣れるまであと1ヶ月はかかる。4年生はもっと緩く考えてよい。


復習テストでは表彰されなかったものの、校舎ではトップ5に入っている。だから劣等感を抱いているとは思いもしなかった。しかし、悔しい気持ちは伸びる証拠でもある。


ゴールデンウィークに麻布や聖光の文化祭、開成の運動会に行って刺激を受けると目標ができて意識が変わるかもしれない」


息子と話した結果、あと半月やってみて決めることに。


そして1週間が経ったが、やはり自分からテキストをやろうとはしなかった。基礎トレすらやらない。先月の復習テストの前は張り切って理科に取り組んでいたけれど、もうその勢いはなかった。


こんなとき、親が中学受験経験者であればどうするのだろう。一時的なものと捉えて当たり前のようにやらせる?もしくは励ます?やる気にさせる言葉をかける?


そんなことを考えたりもしたが、無理矢理続けたところで後になって「中学受験なんかしなきゃよかった!ママがやれっていったせいだ!」と爆発しても困る。



最後に聞いてみた。


あんぐり辞めることに後悔はない?


にやり授業でたくさん答えることができたり、点数が取れたときは楽しかった。3時間半の授業は疲れるけどあっという間でもう慣れた。

でも春期講習で1日じゃできない量の宿題を毎日出されて嫌になった。それでも毎回100点の子がいて敵わないと思った。

ずっと宿題のことが頭にあるのも嫌だし、夏期講習はもっと長いんでしょ。だから無理…



再びサピックスへ電話をした。

たった1週間での決断に、先生はあっけにとられていたけど(笑)最後にこんなことを話してくれた。


「4年生だと受験に対する精神年齢に大きな個人差がある。何も疑問をもたずに勉強する子もいれば、そうでない子もいる。

親が中受経験者であったり、上の子で経験があれば手の抜き方が分かるが、初めてだと一生懸命になりすぎて疲弊してしまうことはよくある。


息子さんの場合、夏頃には学校の勉強だけではつまらなくなるでしょう。そしたら他の塾でもいいし夏期講習だけでもいいので塾に通わせてあげてほしい。もしまたサピックスに来たいとなったらぜひ」



こうしてわずか3ヶ月でサピックス通いはまもなく幕を閉じようとしている。


なのに…辞めると決まった途端、先週休んだ算数のテキストを自らやりだした…

しかも授業聞いてないのに入試問題まですんなり解いた…。思わず勿体ないと思ってしまうけれど、これが続くとは思えないしな…



あんぐりやっぱり続けたい?


にやりそんなわけないじゃん。辞めるから頑張れるんだよ


煽り煽り煽り煽り煽り


きっと心から勉強が嫌いなわけではないんだろう。天才達に圧倒されて勉強では初めての挫折だったのかもしれない。


短い期間だったけど、サピックスは厳しさだけでなく、学ぶ楽しみも教えてくれた。


現に息子は学校では嫌いだった理科が大好きになり、週末は科学館へ出向いて工作やプログラミングに励んでいる。プラネタリウムを理解できるのも面白いと感じるのもサピックスで学んだおかげだ。


ここは私立中学より公立中高一貫受検が盛んな地域なので、もし息子が希望すれば今後目指すことになるかもしれない。


でもいまは息子の興味の赴くままに色々な場所へ出かけ、経験させてあげようと思う。せっかく時間があるのだから、座学と体験で記憶に残るような学習をさせてあげたいと思う。


僭越ながら、中学受験に寄り添うすべての親御さんたちへ尊敬の念とエールを送りたいハート