
文化庁『日本語教育実態調査報告書』
を 読んでみた
日本語教師の置かれている状況を調べたいと思い、文化庁の『令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要』を読んでみました。
(参考資料)
文化庁 令和2年度国内の日本語教育の概要
・全文
・パンフレット版
私が気になったのは、次の点です。
・日本語教師の方の年齢構成
・日本語教師の働き方
・日本語学習者が学んでいる場所(機関)
・日本語学習者の出身エリア
日本語教師の年齢構成
まずは、日本語教師の方の年齢構成です。
(引用:文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 p12)
「年代別日本語教師等の数」を見ると、50代、60代、70代以上の方が、50%以上となっています。人生の先輩方が大活躍されています。
一方、20代の方は4.9%しかいません。
20代の方がこんなにも少ないと、5年後、10年後の業界が、ちょっと心配ですね。
一般の企業でも、このような年齢構成の会社の10年後を想像すると、減収していく可能性が高いような気がします。
日本語教師の働き方
ではなぜ、このような歪な年齢構成になっているのでしょうか?
それは、働き方に理由があるのかもしれません。
日本語教師等の数 (3)職務別の状況
(引用:文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 p7)
日本語教師の働き方を見てみると、その半数以上がボランティアとして日本語教育に携わっているのです。
これは私の推測ですが、国際交流協会や地域の団体などで、ボランティア活動されている方は、50代、60代の方が多いような気がします。
それで、その世代の方が多くなっているのではないでしょうか。
(「ボランティアさんと、日本語教師は違うよ」という声が聞こえてきそうですが、この調査報告書では、ボランティアの方も日本語教師“等“としてカウントされています。)
常勤として働く方がとても少ない(14%程度)と、大学卒業後、日本語教師を目指そうとする方も少なくなってしまいますよね。少し大げさに言うと、まだまだ職業として成り立っていないのかもしれません。
日本語学習者が学んでいる場所
次に、日本語学習者についてです。
国内の日本語学習者の半数以上は留学生で、「大学等機関」が27.5%、「法務省告示機関」が33.9%となっています。
「研修技能実習生」が、もっと増加しているのかかと思っていたので、少し意外な結果でした。
(引用:文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 p14)
そして、「不明」が18%となっているのですが、教えている側が把握していないと言うことになるので、何かヘンですよねぇ。一体、どんな学習者なのでしょうか?気になります。
日本語学習者の出身地域
日本語学習者の出身地域は、私の予想通りの結果でした。
やはりアジア地域が圧倒的に多いです。
日本語学校のサイトなどで、欧米からの学習者が多いと思うようなイメージ写真を目にすることがありますが、そのような学校は“めったにない“ということがこのデータからわかります。
日本語学習者の出身地域別割合
(引用:文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 p19)
では、どの国が多いのでしょうか?
答えは、もう皆さんご存知ですね。
「中国」です。
そして中国に次いで、「ベトナム」が22.3%となっています。
中国語・ベトナム語を学んでおくと、授業の際にとても役に立ちそうですね。
日本語学習者数(国・地域別)(上位20か国・地域)
(引用:文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 p22)
また、少ないですが「日本」と答えた日本語学習者もいます。
詳しい背景はわかりませんが、もしかしたら、国籍は日本だけど、母語が日本語ではない方かもしれませんね。
おわりに
文化庁 令和2年度日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要 を読み、日本語教師と日本語学習者について知ることができました。
ぼんやりと「~かな」とイメージしていた部分が、データではっきりと知ることができました。
もちろん数字が全てではありませんが、時々は、数字を見ることも大切なのではないでしょうか。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。