必ず役に立つ文法書

 

日本語教師を始めたけど、学習者からの文法の質問にうまく答えることができずに困っているという方は、たくさんいらっしゃると思います。

そんな方にお勧めの文法書を「必ず役に立つ文法書(その1)」で紹介しました。

 

今回は、第2弾として、最近買い足した新しい文法書を紹介します。

 

現在、日本語教師養成講座に通われている方は、本屋さんで、こちらの新しい文法書を確認されることをお勧めします。

 

 

 

   実際に使われる表現と、その文法事項をバランスよく学べる

 

『場面とコミュニケーションでわかる 日本語文法ハンドブック』(中西久実子編,ひつじ書房,2021)

 

 

 

この本は、次のような方のために書かれています。

  • コミュニケーションができるようになることを重視する教科書で日本語を教えているけれど、文法について質問されたら答えられないことがある。
  • 文法を重視する教科書で日本語を教えているけれど、その文法を使ってどんなコミュニケーションができるかわからない。
  • 日本語学習支援者として生活に必要な簡易な日本語を教え始めたけれど、非母語話者のための文法が、母語話者の知っている国語の文法とどう違うかわからない。
  • 文法の体系について学んだことがない。あるいは、文法について学習者から質問されたら答えに困ることがある。

中西久実子編『場面とコミュニケーションでわかる日本語文法ハンドブック』(pⅶ-ⅷ , ひつじ書房,2021)

 


 

 

わたしが実際に使ってみて「これはいい」と思ったポイントは、

 

  1. 主な日本語教科書で、どのように取り扱われているのかが書かれている。
    また、みんなの日本語、げんき、できる、まるごと、使える との対応表もある。
    ( 使える は、『使える日本語文法ガイドブック‐やさしい日本語で教室と文法をつなぐ‐』です。)
     
  2. 日本語教師が知っておいた方がいい文法知識が、細かすぎず、わかりやすく書かれている。
    (某文法書は、情報が多すぎて、読んでいてわからなくなる時もありました。)
     
  3. 「教える時のポイント」を教案の参考にすることができる。
     
  4. 各Chapter毎に、引用した論文や本、もっと詳しい知識が得られる論文や本のリストが書かれている。

 

です。初級を担当する予定の場合、こちらの一冊が手元にあると、安心できると思います。

 

 

こちらの動画では、中西久真子先生がご著書について解説されています。

 

 

 

 

 

   その例文、実際に使われていますか??

 

 

 

『日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』(中俣尚己,くろしお出版,2014)

 

 

教科書の例文を見ていると、「え?! こんな言い方するのかな?」と疑問に思うこともあります。

そんな時、簡単な判断方法として、Googleでググってみて、検索で出てくるか試していました。でも、検索しても、はっきりとしたことはわかりませんよね。

 

こちらの本は、国立国語研究所作成の『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を調査したデータを元に作られているので、とても信頼できるものです。

 

私が「これはいい」と思ったポイントは、

  1. 文法事項の前に来る動詞・形容詞・名詞の中で、どの語彙がよく使われているかについて、「コーパスの順位」と「教科書の順位」が対比して記載されている。この表を見れば、実際に使われている語彙と教科書の例文との差が明確である。
     
  2. 複数の用法がある場合に、どの用法が多く使われているかが、円グラフで示されている。
     
  3. 例文が数多く書かれている。

です。何度も授業をしたことがある文法事項についても、この本を参考にして、提示する例文の見直しをしました。

ベテランの先生も、手元においておいたほうがいい一冊かもしれませんね!

 

 

以上、必ず役立つ文法書(その2)でした。

 

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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