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 記事

 

 札幌医科大は1日、患者がスマートフォンなどの端末で測定した心拍数や歩数、睡眠時間などのデータをクラウド上で共有し、普段の健康状態を診療に役立てるシステムの運用を始めた。

 

 患者もシステムを通じて、これまで受けた検査の結果や薬の処方履歴など病院側が持つデータを共有し、閲覧できる。同大によると、患者と病院がこうしたデータを双方で共有するのは国内初という。

 

 システムは、患者が端末で測定した心拍数などのデータを専用アプリで随時送信し、医師が診察の際に役立てる仕組み。例えば、生活習慣病の患者の日々の運動量を確認して治療の方針を立てたり心臓病の患者の病状悪化の兆候を捉えて受診を促したりといった活用を想定している。

 

 データは、国際規格に基づく形式で共有。このため、他の病院でも同様のシステムを導入すれば、患者がこれまで別の病院で受けた検査結果などを共有でき、検査の重複を防ぐといったメリットがあるという。

 

 国際規格に沿ったデータの情報共有は国が促進しており、同大の山下敏彦理事長は「(患者と病院の)双方向性がある画期的なシステム。医療デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にも貢献したい」と述べた。(岩崎志帆)

 

 

 感想

 この取り組みは、医療ミスの防止や医療関係者の業務効率化のために、貢献できるとものだと思った。

 

 私が入院している病院では、看護師が定期的に病室に行って、体温、血圧などを測定し、紙に記録している。ナースステーションで集めたデータをパソコンに転記しており、非効率な作業を毎日繰り返している。

 

 患者側も、医師や看護師に伝えたい体調の変化があれば、気が付いた時に、紙に記録するなど工夫している人もいるが、書き忘れると後で思い出せなくなる。伝える事を忘れて治療が遅れるのは避けたい。

 

 患者にとっても、病院にとっても、適切かつスピーディな対応が求められる。本記事のような取り組みは、医療の高度化につながる可能性がある。

 

 しかし、課題は多いと思われる。

 

 必要なハードウェア、ソフトウェア導入や運用にかかわる費用は高額になるだろう。病院でその費用を賄えるのか? 

 

 運用に際しては、患者側も病院側も、使い方に慣れなければならない。利用者教育は必須だが、現実的に出来るのだろうか? 膨大な時間とコストが必要となるだろう。

 

 また、スマホを使えない病状の患者、子供や高齢者はどのように対応するであろうか? 

 

 医療データは極めて重要な個人データである。外部に流出した場合、運用責任者やシステムメーカーは、賠償責任を背負うことになりかねない。

 

 多くの医療機関や医療メーカーは既に取り組みを開始していると思われる。しかし現実的な課題が多く、中々実現できないのではないだろうか?

 

 とは言え、この記事のように、積極的にチャレンジする姿勢は評価すべきである。

 

 高齢化や少子化が進む中、今後、入院患者数の増加していくことは間違いない。本来は政府が中心となって進めるべき施策である。政府調査で実態は把握しているはずである。

 

 政府、医療機関、開発メーカーと一体になり、制度化やシステム導入援助を検討しても良い時期に達していると思う。