メディアの思考停止… | 城島充の物書き的日常

城島充の物書き的日常

ノンフィクション作家・城島充の周辺雑記
大阪京橋4月開講!大阪ノンフィクションライター塾 
城島充本人が直接指導いたします!通信講座も開講します!
問い合わせ 06-6964-0750  info@nxtv.co.jp

    




東京でのインタビュー原稿の構成を考えながら

テレビをつけると…。


某民放局のニュース番組で

記者がオスプレイに搭乗したレポートをやっていました。


が、レポートの目的はそもそもなんだったのか。


メディア関係者に搭乗させたのは、

米軍側に明らかに意図があったからです。


搭乗した記者のレポートは

やれ、加速して上空へだとか、

わけのわからん感想を語って…。


同じニュースでは

普天間で抗議活動を続ける住民の姿も映しています。


僕にはそのニュース感覚がわかりません。


「乗っても安全性を確認できない」と、

試乗を拒んだ自治体の関係者もいます。

当然です。


メディアの人間も、同様の判断はできなかったのか?


記者がオスプレイに試乗することで

なにをどう伝えたかったのか、

まったくわかりません。


そもそも安全性が今回の問題の

基軸になっているのがおかしい。


沖縄の基地問題が、

いつのまにか

オスプレイの安全性にすりかわっています。

おそらく、テレビ局に入社して

あれこれニュース番組の企画会議で発言している人は

高学歴、高収入、

今の日本社会ではエリート

嫌な言い方ですが、完全な勝ち組の人たちのはず。


高収入で安定した生活が送れていたら

逆に恐れるものなど何もないと

フリーランスの僕なんかは思うのですが…・。

試乗の機会を与えられましたが、

われわれはその申し出を拒否しました。


そう言い切ることはできなかったのでしょうか。


それでも、

あほらしいレポートのあとで

スタジオに画面がきりかわると、

社員よりも多くのギャラをもらっているはずの

メーンキャスターが

「飛行訓練は各地で行われます。

オスプレイは私たちの問題として考えないといけません」

と語ってこのニュースをしめてしまう…。



なんだ、この低レベルは…。


そら、こんな報道がされるのが今の日本の現状ですから、

橋下市長がやりたい放題できるわけです。


なんか、問題提起すると、周囲からうるさがられてしまう。

だから、事なかれ主義がジャーナリズムの世界にまで

蔓延して思考停止してしまったようです。

なにかを突出して報じると、

やれ訴えるだ、名誉毀損だと騒がれ、

ネットで匿名の書き込みで誹謗中傷される。


そんな社会は異常です。


今からもう何十年も前に

マザー・テレサが

「インドの貧困よりも、日本の精神的貧困のほうが深刻だ」と語りました。

今、それがそのとき以上に深刻な問題になっているような気がします。


いわれのない誹謗中傷など受けずに、

そうしたテーマや連中から離れて生活したほうが

精神的にも楽なのは当たり前です。


でも、少なくともメディアの人間はそれではいけない。


最近、関係者と話をするたび

そのことを痛感します。


また今夜も、本田靖春さんの遺作「我拗ね者として生涯を閉ず」

を読まずには寝られませぬ……。