バイブル… | 城島充の物書き的日常

城島充の物書き的日常

ノンフィクション作家・城島充の周辺雑記
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…といってもいいかどうかわかりませんが…


最近、理解できないことばかりが多くて

憤ったり、落胆したり、失望しかけたり、自暴自棄になったりするのですが、

いつもかばんの底にこの本を入れています。




城島充の物書き的日常




読売新聞の社会部記者として活躍し、

退社後はフリーのノンフィクション作家として

活躍された本田靖春さんの遺作。

病床で自らの人生を振り返った作品なのですが、

担当された編集者が、拙著「拳の漂流」を世にだしてくださった

人なんで昔から本田さんのいろんな逸話は聞いていました。


今、胸をつかれるのは

読売の社会部記者がどんどんサラリーマン化していき、

本田さんがそのなかで反旗を翻そうとするものの

うまくいかない葛藤と向き合うシーン

そしてなにより、

この社会が持つさまざまな病巣に真正面から

ペンで切り込んでいく姿勢です。


今の時代はことなかれ主義がはびこりすぎて、

新聞記者も発表されたことしか

書かない。

いや、僕が社会部にいたころも同じような現象はありましたから

やはり本田さんが活躍した時代から

社会部ジャーナリズムは滅びつつあったのかもしれません。


社会部をやめていくときの憤り、

フリーになって体験したさまざまな人の支えと

矛盾を抱えた人たちの狡猾さ、嘘や裏切り…。


もちろん、スケールもレベルもちがいますが、

本田さんの〝後輩〟としてはほんと共鳴することばかりで…


拗ね者


病床にあっても、

自らをそう呼ぶ気概を

少しは見習わないと…。