EPSON フラットベッドスキャナー GT-S660のレビュー | 特選街情報 NX-Station Blog

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エプソンのフラットベッドスキャナーを買ったのは約25年ぶりになります。以前使用していたのは1999年製のGT-7600SというSCSI接続のスキャナーでした。とても高精細で高解像度の画像を出力できましたがPCの性能が追い付いていなかったのでかなり低解像度で常用していました。その後はプリンタ複合機のスキャン機能で間に合わせていましたがプリンタの故障に伴い今回のEPSON フラットベッドスキャナー GT-S660を購入しました。

 

主な用途としては、領収書やレシート、周辺機器に同梱されている小さなマニュアルなどをスキャンしています。だいぶ少なくなりましたが紙の資料やカタログなどを廃棄する前に念のためにスキャンすることもあります。

 

以前の購入直後に書いたブログ記事 「EPSON GT-S660 フラットベッドスキャナーを購入」 (2024年4月6日) では最初に感じたことやA4サイズ 1枚のスキャンに掛かる所要時間などについて書いています。この記事では約4か月使用してきて、気付いたことを追加して詳しく書いています。

 

EPSON フラットベッドスキャナー GT-S660

 

梱包箱もとても小さく、スリムになっていました。

 

 

付属品・添付物はUSB microケーブル(約1.5m)、セットアップガイド、保証書です。

 

GT-S660 本体の表側

 

外形寸法(W×D×H)は249×364×39mm、質量 約1.4kgと15.6インチノートPCと近いサイズ感です。

青いテープは輸送用に固定するために貼られているものなので剥がしてから使用します。

 

GT-S660 本体の裏側

 

裏面は平ではなく横が少し薄くなるデザインになっています。縦置き用スタンドがついています。水平に置く場合には4つのゴム足で接地する形です。

 

 

付属品の確認後、テープ類を外して、セットアップを始めます。

 

GT-S660の裏側、縦置き用スタンド

 

スタンドはスライド式です。手前の側面にゴム足2つが見えますが、縦置きで使用する場合にはこちらが下になるように設置します。縦置きの場合にはスタンドと2つのゴム足で接地する形になります。

 

接続はUSB micro

 

接続はUSB microコネクタです。一昔前のAndroidスマホに有った形ですね。2023年の発売ですからUSB-Cにして欲しかったです。PCからのUSBバスパワーによる給電で動作します。

 

GT-S660の操作パネル 4つのボタン

 

GT-S660の操作パネルは、4つのボタンが並んでいます。左から順に紹介します。

 

PDF ナビボタン
スキャンした画像を PDF 形式で保存します。

メールナビボタン
コンピューターのメールソフトを起動させ、スキャンした画像を新規作成したメールに添付します。

コピーナビボタン
コンピューターに接続しているプリンターで印刷(コピー)します。

スキャナビボタン
スキャンした画像を編集したり、保存方法を指定したりしてスキャンでき ます。
 

 

GT-S660の青色LED

 

GT-S660の青色LEDはUSB接続中に常時点灯していて、スキャン中に点滅します。

 

EPSON フラットベッドスキャナー GT-S660の原稿台

 

EPSON フラットベッドスキャナー GT-S660の原稿台は最大有効領域  216×297mm(8.5×11.7インチ)、最大原稿サイズは A4、USレターとなっています。A4の場合には型名のプリントされている角のところに合わせます。黒色で写真だと分かりにくいですがプラスチック成型で→原稿サイズが示されています。隅から2.5mmずつが読み取れない部分とのことでフチなし印刷したものをスキャンする場合には、隅を空けて原稿を置いておまかせスキャンにするか、最大サイズでスキャン後にトリミングしないと欠けてしまいます。
 

 

 

私の場合は折り目やシワがついた紙をスキャンしたり、PCの電子基板をスキャンするにはフラットベッドでなければならないので納得の上でGT-S660を購入しているので不満はありません。1万円程度と安価なのでスキャナー初心者の人も気軽に買うと思いますがうまくスキャンするにはコツが要ります。

 

 

光学解像度(主走査×副走査)    4,800×4,800dpi
読み取り解像度    
 ドキュメントモード:50~1,200dpi(1dpi刻み)、
 フォトモードは50~9,600dpi(1dpi刻み)

読み取り階調    RGB各色16bit入力、8bit出力

 

仕様では上記のようになっています。dpiを上げればセンサーをゆっくり動かさなければならず、データサイズも増えます。再び紙に出力するには最低でも300dpi、できれば600dpi以上が望ましいです。領収書のスキャンでは電子帳票として認められる解像度以上でなければなりません。

 

600dpiだとモノクロ印刷物をスキャンしたデータを再び紙に出力してもおおよそ遜色ない程度になりますが、精細なイメージ、フォントの種類によっては違和感を感じました。

 

 

 

商品情報

 

 

 

 

EPSON フラットベッドスキャナー GT-S660 [エプソン]

最大4,800dpiの高画質スキャン
最大光学解像度4,800dpiを実現。写真やグラフィックなどの画像を美しく再現します。
さらに、「逆光補正」や「退色復元」など、写真を美しくよみがえらせる画像補正機能を搭載しています。

 

価格ドットコム EPSON(エプソン)  GT-S660 レビュー・評価

スキャン速度が遅い、付属ソフトが使いにくい など酷評されています。

 

確かに25年前に使っていたスキャナーもとても遅かったです。高解像度だとさらに遅く、データ転送エラーになることもしばしばでした。音楽を聴きながらとかテレビを見ながら作業していた記憶があります。新しいスキャナーだから進化しているかなと思いましたが少し退化したかもと思います。軽量・コンパクト・低価格にするために速度は犠牲になっていると思います。スマホのカメラで自動整形機能が付いたスキャナーアプリを利用するのに慣れている人には耐えられない遅さと手間だと思います。

 

製品仕様には以下のように原稿台読み取り速度が表示されています。

原稿台読み取り速度

スキャナー GT-S660 仕様 「原稿台読み取り速度」より抜粋

読み取り速度測定条件はこちら。」の注釈まできちんと読む必要がありました。

(注)    スキャンボタンを押してからスキャン状況を示すダイアログ表示が消えるまでの時間を測定。

上記は原稿台にセットを終えて、「スキャン中」となっている時間が10秒という意味です。

付随する作業時間を全く考慮していません。

つまり、原稿カバーを開けて1枚目原稿をセットしてボタンを押す、原稿カバーを開けて1枚目の原稿を取り除き2枚目の原稿をセットしてボタンを押すという実際の作業をすると原稿のセットやソフトのバックグラウンド処理に時間がかかるので1枚当たり合計で25秒はかかりました。片面読み取りなので原稿を裏返してセットして読取するのもかなり大変です。実用速度はA4サイズ300dpi 25秒/1枚、操作者が手慣れていてミスやエラーなく読取りできて約2枚/分の処理になります。

 

ですからGT-S660は大量の紙の資料の電子化、紙の雑誌などの電子書籍化するのには向いていません。

読取速度と作業所要時間を誤解していた人、用途の向き/不向きを正しく理解しないで購入してしまった人やソフトの使いにくさなどを感じた人が相まって低評価の製品レビューがネット上にあふれているように思います。

 

Epson ScanSmart

 

付属のソフトEpson ScanSmartもちょっと不親切です。写真や文書などを簡単・手軽にスキャンして保存や送信したい人向けに開発されているとのことで効率よく大量に事務処理するようには設計されていません。利用者としてはあらかじめ設定したら、確認ボタンや保存を押さずにスキャナー本体のボタンで指定した形式で連続でスキャンしたいと思うのにそれが簡単にはできません。

 

スキャナー Epson ScanSmart [エプソン]

 

設定のカスタマイズで保存先の編集をしてオンラインストレージサービスのGoogle Drive 、Dropbox、OneDrive 、Evernoteのチェックボックスをオフにしているのにスキャンボタンを押すと「スキャン結果の確認」画面で「保存先の選択」が立ち上がります。そして「保存」を押すだけです。これをスキャンごとに繰り返しす必要があります。この遷移は直実行のパターンが設計されていないので、「OneDriveに送信」だけ1つにしても同じだと思います。あらかじめカスタマイズしているのですから1枚ずつスキャナーの解像度や保存先を選択するようなことはなく、「保存完了」や「送信完了」の一定時間表示後に消えるメッセージ表示(トースト通知)と思います。

 

保存先の編集

 

スキャン中からスキャン結果の確認へ遷移するところの表示がとても分かりにくいです。

 

Epson ScanSmart スキャン中

 

初見で「次回からこの画面をスキップする」のチェックを付けてもスキャン結果の確認は表示されましたので何の事だろうと混乱しました。「スキャン結果の確認」画面で「次回からこの画面をスキップする」のチェックを外しておくと1回ごとのスキャンで「保存先の選択」が立ち上がらなくなることが分かりました。”この画面”が示すのが実際は「保存先の選択」のことのようです。「スキャン結果の確認」画面で”この画面”と表示していたら「スキャン結果の確認」だと認識してしまうと思いますがそこも違っていました。

「スキャン結果の確認」画面にある「削除」「右回転」「トリミング」「貼り合わせ」の機能を使わずに「保存先の選択」へ遷移するという意味で「次回からこの画面をスキップする」と表示しているのかもしれませんね。

 

原稿台に用紙セットしてEpson ScanSmartを起動、PC操作でスキャンを開始するか、本体のスキャン開始ボタンを押すとスキャン動作が始まりますが、いずれも連続してスキャンすることができました。一通りスキャンを終えて「次へ」を押すと「保存先の選択」が表示されてファイルが保存されました。この方法でもPDFのように複数ページを1ファイルにできますが1ページ、1ファイルにするときには都度保存するしかないと思います。

 

こうしたソフトウェアの表示、表記の示す対象の間違い、動作の分かりにくさ、選択の繰り返し表示が利用者にとってはストレスになります。今後のソフトウェアの改良に淡い期待をしておきます。

 

スキャナー GT-S660 ソフトウェア説明 [エプソン]

コピーやオンラインストレージサービスに転送も可能
スキャンしたデータをプリンターに転送すれば、コピーのように使用できます。
また、オンラインストレージサービスのGoogle Drive 、Dropbox、OneDrive 、Evernote に直接転送が可能です。

 

ソフトウェアの説明を読んで私が考えたことですが、このスキャナーの開発者は1枚ずつ手差しや原稿台に配置できるスキャナーを選んでいるユーザーだから1枚ずつ保存先や送信先が違うのではないか?と考えたのかもしれません。クラウドストレージの使い分けをしていると便利なのかもしれません。

 

 

ところでやはりスキャンに対して省力化しながら速度を求めると、A4やB5など定型サイズを束でセットして連続給紙で読取りできるオートドキュメントフィーダー(ADF:Automatic Document Feeder)搭載のスキャナーに限ると思います。ADF搭載のスキャナーは固定式のセンサー読取り解像度を300dpi程度に抑えて、高速で紙を流して時間当たりの読み取り枚数を増やしています。そのため極端に薄い/厚い紙、破けたりシワや折り目がついていたり、サイズが違う紙が混入すると紙詰まりしてしまいます。

 

定形の原稿の枚数が多い人、原稿のセットの手間やスキャンの待ち時間を減らしたい人向けの製品を紹介しておきます。


A4ドキュメントスキャナー EPSON DS-C480 [エプソン]

A4カラー モノクロ 30枚/分 (注1) · 20枚給紙枚数 · 両面同時読み取り · Wi-Fi 5Ghz対応 · PCレス機能 · カラータッチパネル · e-文書対応

 

 

 

 

Epson ScanSmartの画像処理機能については試せていないので別途試すことができたら追加のレビューをしようと思います。

複数枚の写真を一度にスキャンしてそれぞれの画像データとして出力したり、貼り合わせて出力したり、退色補正や埃の除去もできるとのことです。

あとはe-文書モードというe-文書法および電子帳簿保存法の要件を満たした設定でスキャンできる機能についても確認したいと思います。