Windows 10やWindows11の初期状態からインストールされているブラウザ「Microsoft Edge」ですがPC玄人ほど日常的なネットサーフィンには使わずにGoogle ChromeをはじめとしたOS付属とは別のブラウザを使用しています。さまざまなアプリのサポート情報やヘルプの表示にOS標準のEdgeが使われていることが多いので全く利用しないわけではありませんが利用頻度は少ないと思います。
Edgeの使いにくさはMicrosoftのユーザーを無視した我田引水型の行いそのものを体現していると言えます。Edgeでは激推し中のCopilotへ誘導するためにサイドバーの右上にCopilotボタンを配置していて、マウスカーソルが乗る(マウスオーバーする)と開かれて使わせようとしてきます。
マイクロソフトはEdgeでCopilotを使わせようとするだけでは飽き足らずに、先月には他社のブラウザであるChromeの設定に対して干渉する事態を起こしました。
3月のWindows Updateで仕込まれていたMicrosoft Bing Chrome拡張のポップアップ(下のスクリーンショット)は、Chromeをインストールしているユーザーをターゲットにしていて目にしたことがある人もいると思います。
※スクリーンショットの画像は保有しているWindows 10 PCの遅行評価環境で採取
唐突にポップアップ表示が出て、数行の説明でChrome拡張インストールを決断させようとしてきます。「やめておく」と「はい」の選択となっており、中身の効用やリスクの説明なしに利用規約とプラウバシーポリシーを突き付けてきます。考えなしに「はい」を押すとChromeを利用していてもBing検索を使うようになります。Bing検索は最近はGoogle検索も劣化したと言われていますがそれよりも更に酷いものです。例えばBing検索は公共機関の検索よりもフィッシングサイトを上位に表示したり、大手ECサイトに似せたなりすましサイトの広告を積極的に表示したりとセキュリティリスクのあるレベルで低品質です。
ちなみにこの種の表示手法はアドウェアの常とう手段です。様々な広告を表示されて利用契約を迫ってきます。今回、このポップアップ表示をするためのプログラムを事前の予告なくマイクロソフトがWindows Updateに混ぜ込んできている点を考えるとかなり悪質です。現在のWindows Updateでは月例更新が1つにまとめられていてユーザー側には個別選択の余地がありません。
他にも購入者が購入したままの状態で使う権利を侵害していると言えるのが、Windowsメールの「新しいOutlook」への強制切替です。Windows 10 22H2以降は新機能をリリースしないという自らの宣言を反故にしいるのでこの調子でマイクロソフトの増長が続くと購入者の不利益が更に拡大するかもしれません。
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